3:コスキュダル最前線にて
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason3ー余燼が燻る編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
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それから武術に合格した冒険者達は前方に移送されることになり、他の奴らは輸送車で移動するのだが2人はバイクがあるから何だかんだ理由をつけてバイクでついていくことにした。そして着いた先は海に面した最前線のコスキュダルだった。ボスポラス海峡を経だてた対岸の街へは長い橋が渡っている。アジア側とヨーロッパ側にイスラムの荘厳なモスクが幾つか見えている素晴らしい風景であるが、このいかにも戦闘態勢に見えるこちらの状況に対して対岸の住民はまるで無関心のようで、その温度差に2人は驚いている。
「へえ〜 向こう側のヨーロッパのイスタンブールの街って良さそうね!何なんだろう?? ヨーロッパとイスラムがいい感じで混ざっているわね。しかし、こんなにここに兵器が密集しているのになんで向こうの奴らは無反応だんだろう?あくまで中立都市だし、攻めてくる気はないだろうとたかを括っているのかしら?」とリンダが独り言を言っている。ハナはあまりこう言った歴史だの民族だのには興味がなさそうで体育座りをしてそのまま居眠りをしているようだ。
そしてこの海岸に列を組んで並べられているバトルスーツを見ていた。50機ぐらいはあるだろうか!?リンダはその中でもデザインと大きさが違うスマートな型のBSをカウントしてみている。10体がいかにも未来から来たようなデザインと1回り違う大きさを感じさせる機体であった。そして、よくよく観察していたらその未来仕様のようなBSの装備に不思議なガン装備もあった。昔の戦争で使われていた今では量産できなくなった実弾が入るバレルがあるのだ。その弾丸のサプライは不明だが実弾を使う機体があるのだった。
「何この子?座りながら居眠りしてるじゃない?」と冒険者の中の1人の女性が声をかけてきた。
「そうなのよ。この子お子ちゃまだからね〜 気にしないで!」と軽くあしらおうとしたところ、
「あなた達どこからきたの?」と彼女らに興味があるらしく相手は会話をしようという姿勢になっていた。よくよく見てみるとアフリカイスラム系の女性冒険者で髪の毛はドレッドヘアーで後ろに束ねられており、180cm近くはある長身で唇は厚く瞳も黒く大きかった。
「どこってとこじゃないけど、まあ放浪しているんだよ。」と真相を聞かれるとまずいと思い適当に答えた。
「私は見ての通りアフリカから来たんだけど、金がないからヨーロッパに渡れないんだ。だからこの機会を利用してヨーロッパに渡りたいと思ってるんだ。あと少しもう目と鼻の先にあるからね。」と言った。
「そうなの?戦いに参加して報奨金が欲しいわけじゃないのね?」とリンダは少し驚いて聞いた。
「私ら冒険者だから、別にこの国の役にたとうとは全く持って思ってないし、ここに参加している奴らの大半は真剣には戦わないと思うよ。だってマジにならなくても生きて戻ってくれば報奨金がもらえるんだからさ。」
なるほど、それはそうかもしれないとリンダは気付かされた。ということは数は多く見えるのだが正規軍の軍隊を破滅させれば他は散り散りになるのか!?と思った。
「まあ、私らもそんなもんだよ。ところであんたの名前は?」と聞いた。
「私はイマン、よろしくね!」とその女性は笑顔で答えた。
「イマン、私はリンダ、そしてこっちの眠っているのがハナ、よろしくね!ここにいる間は仲良くしましょうよ!」と握手を交わした。
「でも、あんた、なんでヨーロッパにそんなに行きたいわけ?」と少し不思議に思い聞いてみると、
「北アフリカの砂漠のオアシスに私の村があったの。ベルベル人って知ってるかな?そもそも先祖はコーカソイドなんだけどイスラム教の民族で、今ではあまり見た目では区別はつかないんだけどね。まあ私はそのベルベル人なわけよ。だけど、紛争に巻き込まれて他のアラブの戦闘民族に村が虐殺されてしまったの。私は幼かったから戸棚の中に隠れて免れたんだけどね。その一行が去った後付近の村の人に拾われて育てられたんだけどさ・・・まあよくある話であいつらへの復讐がきっかけで冒険者になったわけよ。」となぜか本当はあまり言いたくはない過去を話してくれたのだった。
「そうだったのね!? 実は私も同じようなものよ。ここにいるハナもそうよ。家族なんかいないしあまり覚えてもいないんだよ・・・」とリンダも本心を言った。
「やっぱりそうなのね!? なんか境遇が同じようなニオイがしたのよ!」と言って同志に会ったように喜んでいる。
「だから、私決めたの!絶対復讐するって!! 絶対この機会をうまく利用してヨーロッパに渡ってアラブの敵対勢力に入りたいのよ!」
「なるほど、あんたの気持ちよくわかったわ。じゃ、この戦いが始まったとしても、無理せずうまく戦線を離脱して絶対にヨーロッパに逃げてね!それでもしスロバキア王国に辿り着いたら、『ジュリアの友達のリンダの紹介』だって第二王子に言ってみて!いいことあるかもしれないからね。絶対に死んじゃダメよ!!」とこの場では可能な限りの前向きな言葉をかけてあげた。
翌朝2人はこれで情報を得られたと判断し密かにこの戦線を離脱したのであった。冒険者登録のテントに用を頼まれたという口実でバイクで戻り、そこからはどさくさに紛れて再度ブルサの街に戻り待機していたブライアンの船に乗船しセーフとなった。ミッションコンプリート!そして、帰還後すぐにジュリアに一部始終を報告したのだった。