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44:いざ、出陣!!

この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。


このエピソードからはSeason2ー新たな出会い編ーのスタートです。

実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)

そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。

パーティーメンバーはその間クリミア半島の状況の把握と武術の訓練をしながら、この街の生活を楽しんでいた。やはりリンダもここの中世ヨーロッパのような街を気に入ったらしく、ジュリアと様々な場所に足を伸ばし友好を深めていた。


そうそう、リンダがジュリアとお手合わせをしたのだが、完敗したのはいうまでもない。逆にそれが要因で彼女は今ではジュリアの舎弟のようになって敬っているようだ。

その間マルクはクリミア半島への遠征に使う戦闘車両を準備していた。ノーパンクタイヤの装甲車両でルーフトップにレーザーキャノンと前後にブラスターマシンガンを装備した車両だが、4人乗りのため2台手配した。


ついに約束の2週間が過ぎ城からの迎えにより、オーダーした武器類とアドラー本人が到着した。その時出発の準備を終えた4人は城の広場で出迎えていたのだが、バンのドアが開き降りてきた男はアドラーであったがあの時のアドラーではなかった。違う人物ということではなく、浮浪者のような雰囲気であった彼の風貌が全く変わっており小綺麗な身なりになっていたので全員驚いているところだ。髪の毛は耳元で揃えられており髭も綺麗に整えられている。ブラウンの髪に無精髭が似合っておりグレーの瞳の身長が175cmある筋肉質な男であった。35歳とは聞いてはいるが少し渋めの好男子に変わっていたのだった。


同郷のリンダが早速反応し「アドラー、変わったわね!そのほうがカッコいいわよ!」と茶化しているが、本人も「これが本当の俺だよ!鍛冶屋でこもっていると見た目とかどうでも良くなるからああなるんだぜ。」と少し恥ずかしそうに言い訳をしている。


「おい、みんな! 全部揃ったぜ!さっそく確認してくれ!」と言って武器類を投げ渡した。見事なリンダの双剣にマルクの両槍そしてジュリアの長槍であった。最後に彼のメカニカルボウガンも出しながら、研ぎ石もメンテナンスで必須なため、その一連の装備も一緒に降ろしている。渡された斬鉄剣を思い思いに確認し全員がその出来栄えに感動しているようだ。


早速ジュリアが、「アドラー、時間がない中全部仕上げてくれて本当にありがとう!じゃ全員揃ったから早速出発するわよ!あなたは同郷のリンダと一緒に2号車に乗って!あなたの装備もあるから2人の方がスペースもあるからいいでしょ。」と言い2台の装甲車両に分かれて乗り込んだ。彼らは国内の南側の平野を横断しウクライナに入りクリミア半島まで南下するルートをとっている。スロバキアの風景はまさに緑の丘が連なるスイスのような綺麗な景観だ。そして順調に走行し予定通りウクライナのチェルニフツィあたりでキャンプをすることになった。陽が落ちる前になだらかな緑の丘に2台の装甲車両を並べてタープを張った。ジュリアとしてはこういったキャンプは移動中の定番であったためいつものように準備しているのだが、ヒデとマルクはキャンプをいう名の野宿は初めてのようで手順が分からず右往左往していた。焚き火を起こしているのはもちろん鍛冶屋のアドラーで、料理は野宿に慣れているリンダが串焼き料理を準備中だが、5人とも焚き火を囲んで和気藹々な様子である。


焚き火に枝を焚べながらアドラーが「ねえ、ジュリアさん、あなたが只者ではないことは何となくわかっているんだが、一体何者なんだ?」と頭の中に空想の世界が広がり収拾がつかない様子である。ここにはいつも代理でジュリアを説明してくれるイメルダがいないのだがマルクがいた。それを聞いたマルクが、「あなたはあの廃村にいたから知らないのは無理もないが、ユーラシア帝国が敗北したのは知っていると思って話すことにしましょう。あの帝国を滅ぼした立役者が実はこのジュリアさんなんだよ。その時その戦闘現場がアニメフィルターを通ってアニメ化された映像がリアルタイムで全国に放映されていたんだ。僕もその日に初めてジュリアさんの剣技を観て本当に美しくて感激してしまった。それはまるで剣を持って舞う舞姫だったよ。それからは僕の推しとなり、実際にリアルで会えた時にはもの凄く感激し今でも胸がいっぱいなんだ。」と興奮しながらジュリアのことを説明した。


「もしよければその時の映像の録画があるから観るといい!」追っかけと知られるのが恥ずかしいとは思うのだが是非ジュリアの素晴らしさを知ってほしいと言う気持ちが先に立って付け足した。リンダが「えっ、私も観たい!やっぱり同じパーティーの仲間の勇姿は観ておきたいわよね!」と言いマルクにねだっている。「しょうがないなー 今そのデータを持ってくるから君らの車で観てみてくれよ!」と言ってバックに取りに行った。この遠征にも持ってきていることにジュリア本人も驚いたのだが、そんなに慕ってくれているとはつゆ知らずある意味彼の演説を聞いて少し感動しているようであった。


2人が車両でそれを観ている間、3人は焚き火を囲んでいる。ジュリアが、「マルク、ヒデありがとう!そんなに私を慕ってくれているとは思わなかったわ。」と静かに感謝を込めてお礼を言った。


「いえ、僕はジュリアさんとこうして一緒に行動できるだけで本当に幸せなんです。ヒデには付き合わせしまっていると思いますが。」とマルクは答えた。「いえいえ、王子、私も一緒に冒険できるのが楽しいですよ。」とヒデも笑顔で答えた。そして続けて、「このクエストは、私の国にとっても実は重要なのです。そのアンドロイド達がセバストポリを手中に収めた結果、対岸のイスラム勢力を取り込んだり連携したりした場合は、我々の東ヨーロッパは戦争の火種を持つことになってしまいます。いつ攻められてもおかしくない状況に陥ってしまうのです。 


その火種を我々で処理できるのであればそれに越したことはないのです。だから、逆にジュリアさんに感謝しています。絶対奴らをやっつけましょう!」と気合が入っていた。彼女は本当にいい子達ねと心から思い、こんな子達のお姉さんになれるって言うのはある意味幸せなのかしらとも思い始めていた。


暫くして動画を観てい2人が戻ってきて、「いやー、ジュリアさん素晴らしい!普通の人間じゃあんな動きはできないよ。一体あなたは何者?」とアルダーが真剣な顔でジュリアを見ている。リンダも「私は決めたわ!あなたを師匠と仰ぐことにしたわ!覚悟してね!」と彼女も感激して勢い余っているようだ。ジュリアはなぜかこの瞬間にパーティー全員が一丸となった気がした。


早朝2台の装甲車はセバストポリに向かった。そしてオデッサ、ヘルソンを通過してクリミア半島に入ってきていた。黒海はやはり黒い海というだけあり、海の色が濃いブルーであり白いビーチがその縁取りをしていた。かつてはその暗い海を人々がリゾートとして明るく演出していたのであろうが、この変わり果てた風景を眺めながらジュリアは古き良き時代に思いを馳せていたのであった。暫くぼーっと流れ行くこのリゾート地を眺めていると、ヒデがそろそろセバストポリに到着しますよと教えてくれた。この街自体はそもそも軍港であったため街の規模自体は大きいのであるが、奴らが占拠している旧ユーラシア帝国の領事館は街中の港寄りに位置しているため、彼らはギルドがある少し離れた繁華街の安宿に2部屋取り男部屋と女部屋とに別れた。


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