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41:古都 ポジョニにて

この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。


このエピソードからはSeason2ー新たな出会い編ーのスタートです。

実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)

そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。

ジュリアの愛機モーターグライダーもこの前の海賊との遭遇の一件で武装強化されていた。すでに装備されているルーフトップのレーザーキャノンにプラスし両翼にブラスターマシンガン、そしてコックピットの床20cmスクエアを開閉できるようにしてもらって、そのからグレネードを落とせる設定にしたのだった。そう、この前悟ったのであるが、このモーグラで移動するときにはガリオンには頼れないので自分で完結するしかないのである。


彼女はまた初夏の天気がいい日の朝に海上から飛び立って行った。ミハスから南仏、北イタリアそしてオーストリアを抜けて行きスロバキアの平原が見えてきた。ドナウ川の対岸がポジョニだ。そうやって空からスロバキアを見てみるとまるで自然の要塞のように後方は山脈に囲まれ平野はドナウ川を越えないとならない地形になっているのだ。 ここまでのゆったりとした8時間の空の散歩はジュリアにとっては憩いの時間になる。このモーグラに乗っているとまるで自由な渡り鳥になったような気持ちになるそうだ。そう、ノマド気質のジュリアにとってはホバージェットに続きお気に入りの相棒なのだ。夕方4時過ぎにポジョニ城の城前広場にふわりと着陸すると、なんとマルクとヒデが出迎えにきていた。


「モーターグライダーらしきものがこちらに向かっているという衛兵からの報告があったので、絶対ジュリアさんだろうと思いお迎えにきました!」とヒデが言った。

マルクも「あれから中々お会いできなくて寂しかったですよ!」と珍しく甘えたことを言っている。第二王子という立場があるので相棒のヒデしか知らないことではあるのだが、実は彼は強いお姉さんキャラが大好きなのだ。


「マルク、ヒデ、出迎え有り難う!元気でしたか?」とジュリアも珍しく優しげに声をかけた。なぜなら今回彼女がフラッとここに赴いたのは、せっかくパーティーを組んだ彼らと刺激を求めて何かしらの冒険をしたいと密かに思ったからなのだ。


ヒデが、「ジュリアさん、今回の訪問の目的は?」と単刀直入に聞いてきた。まあ、いきなりの訪問なので無理もないだろう。

「そうね〜 特に意味はないけど、私シーサイドリゾートが好きだけど、ずっといると変化が必要というか・・・ここはまるでタイムトリップしたような中世のヨーロッパみたいでしょ!? だからここも好きな空間の1つなのよ。今回はここの住人になった気分で少し滞在したいと思ったの。」


マルクが、「なるほど〜 ジュリアさんのご要望わかりましたよ!じゃー 折角僕たちはパーティーを組んでいますので、ソフィアさんがいないのは残念ですが、普通の冒険者のようにここに滞在してみるってのはいかがですが?」とまさにジュリアが望んでいるような設定の答えが返ってきたのだった。あまりにも意図した通りだったので少々驚いたのだが、

「そう!それよ!マルク!!さすがよく女性の気持ちがお分かりね!」とニコッと言って王子であるマルクを少し持ち上げてみたところ、本人は慕っているジュリアから褒められたことに感激し少し頬を赤らめていた。


「では、ジュリアさんの格好はとてもかっこよくて僕は大好きなのですが・・・ここの町では一目で『あのジュリアさんだ!』と目立ってしまい、普通に楽しむどころではなくなってしまうと思われます。ウチのメイドに言って服を用意させますので、着替えてから久々に冒険者ギルドにでも行ってみましょうか?」と緊張した面持ちで提案してみた。

もちろんその流れになり、一行は普通の庶民が着るような服に着替え、また冒険者のように武具をつけることにした。


ジュリアはメイドが揃えてくれた服の中からフォークロアなペザントブラウスのオフホワイトを選び、その上にレザーでできたアーマー仕様のビスチェを装着した。パンツは手持ちのブラックデニムにレザーブーツである。これはこれでバストも強調されて中々セクシーでスタイリッシュだ!そして、その上に目立たないようにとカトリックの修道士が着るような薄手のガウンも羽織った。フッドが付いているので顔を隠せるからだ。庶民服と言ってもジュリアらしくブラウスのホワイト以外はオールブラックになってしまったのだが、まあ、彼女だとは普通の人間であれば多分わからないであろう。またマルクもヒデも同じようにペザントスタイルに着替え要所要所にやはりレザーのアーマーを装着している。ジュリアとしては今まで真剣な戦闘が続いていたため、たまにはこういった庶民のような生き抜きが必要だったのだ。そして、時間も夜6時ごろになってきたので、早速3人で冒険者ギルドに向かった。


ジュリア達はアイボリーやベージュカラーの壁にテラコッタカラーの屋根瓦が乗っている中世風の可愛らしい家々を眺めながら石畳を歩いている。道行く人々も思い思いの個性的な格好であるが俯瞰してみるとやはり中世ヨーロッパのファッションなのだ。時間的にも最終の掻き入れ時のため道端の屋台も活気を帯びていた。3人はギルドに入りクエストが掲示されているボードを眺めている。そして、ヒデが何やら見つけた。


「このクエスト・・・僕は初めて見ましたよ。一応まめに確認はしにきてたのですが・・・アップしたのは昨日ですね。」とボードの左上にある小さな書き込みを指で刺していた。読んでみると『-クリミア半島のセバストポリのギルドからのクエスト- セバストポリ近郊に不穏な動きあり。見知らぬ5人の男が残虐行為をしながら配下の人間を増やしセバストポリを牛耳ろうとしている。領主からのクエストで排除の依頼』という内容であった。


マルクが、「なるほど〜 確かこのクリミア半島は黒海沿岸にあって以前は素晴らしいリゾート地だったらしいんですが、温暖化で10度気温が上がってしまいリゾートどころではなくなってしまったとは聞いています。ただ、今でも対岸のアラビアとの戦略上の要所になっています。ここの領主はロシアに属していたのですが、帝国が崩壊した今ではウクライナ自治州となって、多分ロシアに援軍を依頼しているのでしょうが、ロシアも今はそれどころではないので対応しきれていないのでしょう。それで本来なら軍部が対応する案件なのですが、冒険者ギルドまで降りてきているんだと思います。」と一国の王子らしい講評をした。と、ギルドでの会話はこれで終わったのだが、ヒデが周りを見回しながら、「このギルドの道を挟んだ正面はギルドが運営する酒場になっているんです。冒険者たちが集まっているので色々と情報があるかもしれませんよ。行ってみましょうか?」と提案した。


マルクも「そうだな、そろそろ夕食の時間でもあるし、ジュリアさん、実はこんなところで食事をしてみたかったんでしょ?」と笑顔で彼女の顔を覗き込みながら聞いた。

「マルク、そうよ!またまた私の気持ちを良くわかるわね!」という返事が来て彼もまたもや顔を赤らめている。


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