10:サンパウロ到着
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason2ー新たな出会い編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
「ついに冒険のスタートね!まずここからは高台に位置するサンパウロに行きましょう!多分街は廃墟になっていると思うけど、その中にレジスタンスの拠点があるみたいなの。」とジュリアが言った。上空から眺めると地形的に岸辺が海に飲み込まれたような風景だが、それでも綺麗なビーチが点在していた。
「ねえ、シノ、この世界では海で泳げるの?」とジュリアが聞いた。
「いえ、残念ながら、世界共通で泳ぐと有害だと教わっています。ただ私達は内陸の湯沢でしか育っていないので、残念ながらそれを体験したことはないのです。」と答えた。
ジュリアが、「へえ〜 じゃあなたは湯沢から出たことがないのね?それはそれでかわいそうね。私は私の世界でだけど、北半球を一周したことがあるわ。今乗っているようなヴィークルのホバージェットでだけどね。物凄く楽しかったわよ!」と言った。
シノが「そうなんです。私達の世界の人類はほぼ皆さんそうだと思います。戦時下ということもあると思いますが、国外への移動というものが現実的ではない環境なんだと思います。だから、私もこのミッションは楽しみにしているのです。」と答えた。ジュリアは、『あの地下街と地上のバトルフィールドしか知らないなんて可哀想だな。でも知らなければそれで済んでしまうのかもしれない』とも思った。
シールド越しに見える空が夏空の雲模様のため不思議に思ったのだが、湯沢はすでに冬なのにここは夏なのだ。そうそう南半球だから季節が逆転しているからなのだとはたと気がついた。
「そうか、ここは真夏なのね! しっかし暑そうね!今のところ放射能汚染は大丈夫そうだけど、気温が50度以上になっているだろうからバトルアーマーを着用してないと死ぬわね!」とジュリアが言った。
シノが、「この暑さの中、ギャングたちはどこに潜伏しているんでしょうね?」と下界を眺めながら少し不安げな表情である。
「そうね、私もわからないわ。ちょっと高度を落として奴らに狙われないようにしましょう。このジャイロジェットがやられると私らお陀仏だからね〜」とあまり心配しても体に良くないわよっという感じにお気楽に答えてあげた。
「そうそう、シノ! それと何か出てきたら、まずは私とガリオンで対処してみるから、あなたは、シールドを張ってこのジャイロジェットに付いているブラスターマシンガンやレーザーキャノンで敵を撃って欲しいの。動きが止まった時にやっつけるから。」とジュリアは緊急時の指示を出しておいた。
シノは、「わかりました。まずはこの機体を守るってことですね。」と納得して答えた。
しばらく低空飛行をしているとサンパウロの廃墟ビルが見えてきた。廃墟が緑のジャングルに飲み込まれているような荒廃した光景である。
ジュリアが、「確か・・・一番高いビルの東に3ブロック行ったあたりにカトリック教会があるらしいのよね〜 まだ残ってるかしら・・・」と乗り出して眺めていると、シノが「あっ あれですかね??」と指を差した。」
「そうね!あれね。とりあえずあの教会の空き地に着陸して、接点を探しましょう。」とジュリアが言って下降して行った。
爆撃で破壊されたカトリック教会の敷地内になるのであろうか?かつての駐車場跡に降りた。2人はフル武装しヘリメットも被り、ガリオンも起こして静かにリアハッチから降りた。そしてジュリアは辺りを見回して機体のバニッシュモードをオンにした。それは光学迷彩によって消えたように見せるのである。彼女らは不意な攻撃に備えてシールドを構えながらゆっくりと教会に向かって歩いている。まずは、囮としてガリオンが走って教会に入って行ったのだが何も反応はなかった。そして2人もそれに続いて入っていったのだった。
「しかし、この教会はオンボロね〜!こんなところに神はいるのかしら? でも、ここで待てということなんだけど・・・」と言いながらジュリアは内部を見渡しているが何も動きはない。
「じゃー しばらく、この長椅子に座って祈りでも捧げてましょうか?」と言って座わり、しばらくの間静寂の時が流れていた。すると伏せて静かに待っていたガリオンが何かに反応した。
ジュリアも反応し、「何か来るわよ!気をつけて!」と小声で言うと、教会の祭壇の右裾の3階部分から人影が見えた。
その影は「君らは日本から来たものたちか?」と聞いている。
「そうだ。私はジュリアだ!」と簡単に答えた。すると教会の至る所から武装した人間が30人ぐらい出てきた。どうやらカッコからしてレジスタンスのように見える。
ジュリアが「あなた方はサントスの仲間なのか?」と大きな声で話しかけた。
「そうだ、今そっちにいくから動かずにいてくれ!」との返答があり、最初に姿を見せた3階の男性が天井に張ってあるロープの稼働フックに両手を掛け滑りながらジュリア達の手前に素早く降り立った。
その男が「オレがサントスだ。君たちも顔を見せてくれ!」と言った。彼は身長178cmぐらいで筋骨隆々、日焼けした浅黒い肌に無精髭を生やし、ブルーネットの短髪だが前髪を上にリーゼント気味に持ち上げたヘアスタイルのイケメンであった。年は30代半ばぐらいであろうか。リーダー格としてのカリスマ性も感じられる雰囲気である。
2人はヘルメットを脱いで、名前を言って挨拶した。
サントスは、「これはこれはお嬢様方。お初にお目にかかります。こんな無法地帯までようこそお出でくださいました!事前に日本政府からは我々のサポートに2人送るとは聞いていたけど、君達とは驚いたね!」と言ってふてぶてしく笑っている。
2人は、この笑いは『こんなか弱そうなお嬢様にここで何ができるのか?』と言った含みを強く感じた。
「まあ、はるばるお越しいただいたので、まずは歓迎させてもらいましょう!ここに長居は禁物なので、我々の地下施設にご案内しましょう。」と言って、部下に2人を案内させてまた消えてしまった。2人は部下の案内に従って教会の奥に入り、地下に降りる階段を下がっていった。すると暗い地下通路があり、トーチの光に導かれて洞窟の突き当たりに着いた。部下はモールス信号のような小刻みなノックをすると、なんと岩に見えていたドアが開いたのだった。ここにこんなドアがあるなんて想像もつかない設定である。そして中に入ると、どこかで見たような地下街が広がっていたのだった。