3:5体のエンハンスト・バトルスーツ (EBS)
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason2ー新たな出会い編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
2人は地上からこの2体の勇姿を眺めている。ソフィアの機体はゴールドを燻した渋いコパーカラーでレッドのアクセント配色になっている。それに対してジュリアの方はガンメタリックよりは薄い艶消しの渋いシルバーでブルーのアクセント配色になっている。頭部はまさにプレートアーマーの兜そのもののようなデザインであり、アーマー部分のデザインはかつてのバトルスーツになぞってあり、そのデザインを未来風にアップデートした感じでスタイリッシュな威圧感も感じられた。
3人は再び格納庫に戻って他の3体も眺めている。2体が同じブラウン系レッドカラーで、残り1体がオールブラックカラーである。この3体も微妙にデザインが違っていた。
レイが、「ブラウンレッドの機体があなた方と同じようなラティーナアマゾネスのツインズの姉妹で、ブラックの機体がモンゴロイド系の女性が操縦します。後ほど紹介いたします。」と付け加えた。
ガリオンをスリープモードにして格納庫で待たせ、BLANCツインズはレイと一緒に地下のカフェテリアに入ってきた。時間は朝6時を回ったところである。ツインズは居眠り中にタイムトリップしてきたので、先ほどの操縦ですでに疲れを感じていた。3人はここの地下農場で栽培されている食物を使用して作ったトーストやグリーンサラダそしてチコリコーヒーをとりあえず取った。
そしてレイが、「あいつら、メイルの奴らは、火星からの資源を月の基地工場に運び加工生産しているんです。そしてその兵器を次々と宇宙ステーションに運びそこから地球に送り込んでいます。破壊してもキリがありません。月からは遠隔操作ができるため、指揮官機が数機降りてくるだけで、あとはバグタイプの無人戦略ロボットなのです。あいつらは、人類を抹殺して地球を乗っ取ろうとしているのです。奴らの相手は、あなた方EHでなくてもある程度は可能なのですが、我々はもう一段階進みたいのです。まずは宇宙ステーションの破壊です。そして最終ミッションは月面基地の奪還なのです。」
ソフィアが、「あのEBSは宇宙にも行けるってことなの?」と驚いて聞くと、
「はい、そうです! 我々は月面基地を建築した際に、水を利用し水素と酸素に分けそれを巡回させるエコ・システムも開発してあったので、それをロボットにも転用してあります。そもそも武器系統のレーザー系のものは宇宙エイジを想定して開発されていますので。」
ジュリアが、「宇宙で戦うのって想像がつかないわ。経験者はいるの?」ときいた。
「今の所いませんね。無重力状態なので制御が難しいという話です。」
さて、このレイという少佐は日本人女性にて28歳だ。あたかも日本人ぽい雰囲気でストレートの黒髪が肩ぐらいまでありそれを後ろで束ねている。細い切長の目がキリッとした聡明な表情で品行方正な雰囲気である。 防衛大学を主席で卒業後、オセアニア防衛軍本部に配属されたエリートなのだ。実は彼女もノーマルBSのパイロットとしての戦闘経験があるのだが、ただ普通のホモサピエンスのため実戦ではEHには敵わないと自覚している。そのため、この作戦ではBSをよく知る士官としてEBS部隊の担当士官となったのだ。彼女はツインズがここに送られてくる前に、彼女らの活躍の歴史を大学では学んでいたため、実際の歴史上の有名人を目の前にして少々緊張した面持ちであった。
「ソフィアさん、ジュリアさん、実は私達軍人は防衛大学で歴史としてあなた方の活躍を学んでいるのです。だから、今 歴史上の偉人を目の前にしてとても感激しています。私は防衛軍の士官として、今回あなた方から色々と学びたいと思っていますので、何か改善点がありましたら遠慮なくお申し付けください。」と言った。
ソフィアが、「あら、私達って歴史に残ってるのね?なんか不思議な感じでしょ?歴史に出てきた人が今目の前にいるのって? こんなもんかとか言って残念がらないでね!」と言ってクスクスと笑った。
ジュリアは、「で、他のメンバーの3人ってどんな感じなの?」と話題を変えた。
「そうですね。アマゾネスのツインズは、あなた方2人のように全く見た目は同じです。というか、100%同じに見えます。区別がつかないほどですね。あなた方のようにお互い違う役割で補完するというのではなく、全く同じ動きでシンクロする戦闘タイプなのです。なんとなくイメージつきますか?」
「なるほど!わかるわかる!」とソフィアが相槌を打った。
「それと、モンゴロイドの女性は、日系の遺伝子が強く代々ニンジャの血統を受け継いでいるのです。なので、そのDNAが戦い方に出ていますね。」
すると、ジュリアが、「ニンジャねー それ、面白いわね!一回対戦してみたいわ!」と目を輝かせて反応した。
「ジュリアさんが興味を持つのはわかります。一般的に言ってですが、攻撃が当たらないようです。」
続けて「だけれど、パワーが問題ってことね?」と言った。
「そうなんです。よくお分かりですね!」とレイが驚いた。
ソフィアが、「でも、なんか面白いチームじゃない!?それぞれ得意分野があって!でも他の3人はこの時代の人なんでしょ?」
「そうです。今の時代EHはなかなか生まれないのです。あなた方の同時代のEHは数人いたのですが、すでに亡くなっています。」
ソフィアが、「あら、そうなのね?EHはあまり歳を取らないと聞いていたんだけど、そうでもないってこと?」
「いえ、メイル達に空爆された時に丁度軍事施設内にいたため残念ながら爆死してしまったのです。とても貴重な4名を失ってしまいました。」と残念そうに言った。
ジュリアが、「そうか、やっぱり不死身ではないから仕方がないことね。じゃ、その3人がこの時代のEHってことよね?」
「そうなりますね。そして、この戦時下では、もうEHを産むことができなくなってしまったのです。しかし、我々人類はEHなくしては戦いに勝てないのです。」と暗い表情に変わった。
ソフィアが、「でも、レイ! メイルと戦うのは我々EH5人だけってことじゃないでしょ?」と。
「もちろん、我々『ノーマル』やフィーメイルアンドロイドもBSに乗って戦いますが、せいぜい主に無線操縦のバグ型ロボットが相手です。あなた方には、メイルが操縦するリーダー機を破壊してもらいたいのです。一回の襲撃でだいたい奴らは10機、そしてバグマシーンは100機は降りてきます。」
ソフィアが、「100機?それに対応するあなた達のBSは何機なの?」
「そうですね・・・今のところ30機は稼働できるかと。以前は100機あったのですが、度重なる戦闘でメイルが操縦するリーダー機に相当やられてしまったのです。ただ、少しづつ増産はして行っていますが、資源が確保しづらくなってきているのが現状ですね。ですので、我々は勝手ながらあなた方に人類の運命を託すことにしたのです。」と言った。
ジュリアが、「なるほどねー ほんと勝手な事言ってるわね〜 だいたい私達が呼ばれるときは劣勢の時だからそれは予想してはいたけど。で、その規模で宇宙でも戦えるの?」
「ジュリアさん、宇宙に打ち上げる数に限りがあるのです。戦略的にはあなた方5名が優先ですので、それを格納する小型スペースウォーシップ1隻がやっとなのです。そのウォーシップには宇宙空間で無理がないフィーメイルアンドロイド達が乗船します。20名乗りのスペースシップなので、あくまでもスペースステーションを潰した際のバックアップ的な役割となり、そして、あくまでもEBS5体が主役になる予定です。」と作戦の概要を軽く説明した。
するとソフィアが反応し、「メイルアンドロイドの総数はどのぐらいなの?」
「そもそもすでにいたメイルアンドロイドの他に月面で生産されたアンドロイドもいますので、ざっと200はいるでしょうか?ただ、バグ型ロボットは地上でしか機能しませんので、あなた方が宇宙で戦う相手は、そのメイルアンドロイドのみとなります。」
ジュリアが、「200機を5機で破壊するわけ??」「それって、勝算はあるのかしら?」
レイが、「まずは、奇襲します!それで宇宙ステーションごと破壊すれば大方は破壊されます。かなりの遠距離からのスナイパー攻撃は実はソフィアさんの担当なのです。それと、敵はあまり訓練されてはいないので、我々がEBSに慣れさえすれば撃退可能です!その要となるのがジュリアさんです。」と力説した。
ソフィアは、「他の3人は私達がきたことは知っているのかしら?」と少々気になって聞いてみると・・・
「もちろんです!メンバー全員からの希望もあり召喚させてもらったのですから。」
「えっ そうなんだー!!」と2人が同時に驚いた。続けて、ソフィアが、
「じゃ、早速あと3人を呼んで実践に向けてのシミュレーションをやらないとね!」と提案したところ、間髪を入れずに、
「すでに他3名はスタンバッています。ここで訓練していますので。そして、戦闘のシミュレーションが完了した時点でオプショナルアタックユニットの装備ができますので、その際には相談ください。」と付け足した。
ジュリアが、「そうそう、ガリオンも貴重な戦力になると思うんだけど、彼が乗れるようなものはないのかしら?」と一応聞いてみると、
「失礼しました。失念していました。実は4足動物型のBSもガリオン用に開発されています。彼も同じようなデバイスで搭乗し攻撃兵器を操れるものとなり、地上限定とはなりますが最強兵器になると思われます。これは昔にソフィアさんがインプットされた情報から開発されたものです。ただ、調整が必要になるので、後でソフィアさんに手伝っていただきたく思います。」 ソフィアが頷いた。
ジュリアは、「いいわね!じゃガリオンも私とまた組めるのね!? それじゃ、もちろん最強でしょ!!」と、彼女の頭にはすでに戦闘でのイマジネーションが広がっているようだ。
3人は朝食を取った後、レイの案内でこの戦闘の間に宿泊する2人部屋に案内された。
「他3人の紹介を兼ねて9時から訓練をスタートしますので、それまでここでお寛ぎください。」と言ってレイは出ていった。
この地下の部屋は以前のタワーマンションの彼女らの部屋とは程遠く、ベッドが2つと2人掛けのダイニングテーブルがあるだけの簡素な空間であり、長く滞在したいとは思えないような空間でもあった。また、2人は地下施設内はどこも同じようなものあろうと推察していた。
ソフィアが、「しかし、ジュリア、まいったわね・・・またまた命を賭けた戦いになるのね。1つ終わったと思ったら、すぐまた始まるって全然休めないわよね。さすがにEHの私でも疲れてきたわ・・・」とソフィアにしては珍しく愚痴をこぼしている。
ジュリアが、「へえー ソフィア、珍しいわね。あなたが愚痴るなんて。私は意外に今回は面白そうって思ってるのよ。だって、前の世界では考えたこともなかった宇宙に行けるのよ!なんか、今からワクワクしてきたわ!」とジュリアにしては逆に珍しく楽観的になっているようだ。
ソフィアが、「そうね、多分あまり眠っていないから睡眠不足でペシミスティックになっちゃっているのかも。9時までは2時間はあるからちょっと仮眠でもしましょうか!?」と言って2人はベッドで仮眠することにした。