2:レイ少佐との対面
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason2ー新たな出会い編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
自動ドアが開いて総司令なるものが入ってきた。なんと20代後半の若い女性であった。
「ソフィア様、ジュリア様、初めまして!私、少佐のレイと申します。この度はご協力いただけるとの事恐れ入ります。では、エンハンスト・バトル・スーツ通称EBSまでご案内致します。」と言って2人をエスコートした。
エレベーターで1階に上がり、そして巨大な格納庫に案内され中を眺めると天井が高いドーム構造の格納庫内にEBSと言われる巨大な人型ロボットが5体並んでいた。身長は15mはありそうだ。5体ともそれぞれカラーリングが違っており、また装備とデザインも少しずつ違っているようだが、デザインモチーフとしては、やはりヨーロッパ中世のプレートアーマーが彷彿とされる。
まず、5体の基本デザインを解説すると、
頭部のデザインがプレートアーマーの兜のような流線型のデザインになっており、頭頂のトサカのようなパーツが後ろに流れている。首をガードするかのように両肩のアーマー部分が立ち上がり、鎧がまわっている胸部は分厚く立体感がある胸板を構成していた。その胸部の中心がコックピットになっているようだ。両肩部分には太いアーム部分が人間の腕のように突き出している。胸部に比べるとウェスト部分は回転するために細くなっており、腰回りはパネルアーマーがまわっている構造になっていた。腰下には身長の4割を構成する重々しく頑丈な脚部が配置されている。
レイが「この5体の中のゴールドがソフィア様、シルバーがジュリア様になります。試乗されますか?」と聞いた。
ソフィアが、「へー カッコいいじゃない!!あれはどうやって操縦するの?」
「はい、胸部にコックピットがあります。まずこちらのEBS用スーツを着用して頂きますと、ヘルメット内部にセンサーがあり脳波をスキャンする仕組みになっています。脳波を受けてEBSは動くのですが、まずコックピットに座ってもらいましたら、両手両足の端末部分はその強度を調整するデバイスになります。仕組みを簡単に説明しますと、EHでないと脳波を経由してこのロボットに指令が出せないのです。通常の人間が操縦するマニアルモードもございますが。EHの方が言うには、脳でイメージした通りにこのロボットは動くと言っています。ただ・・・疲労が激しく通常は30分程度の操縦が限界のようです。」
ジュリアが、「わかったわ。じゃ本当に使えるかどうかやってみましょうか?」と言った。2人がEBS用スーツを着用した後、レイは足場のような構造の簡易リフトに案内し搭乗口の胸の位置まで上がった。そしてソフィア・ジュリアがそれぞれの機体のコックピットに入って行った。2人ともヘルメットを着用し、ロボットを起動してシンクロすることもできたようだ。
レイがEBSのガードを開放し、この巨大な格納庫のシャッターを開くボタンも押したところ、壁面の頑丈なシャッターが少しずつ音を立てながら巻き上がり外が見えてきた。かつて摩天楼のように聳えていたタワーマンション群は跡形もなく、代わりに山間の荒地のような風景が広がっていた。
「この機体はお2人のDNAを分析して、そもそも動かしやすいようにセッティングされているのです。まず足のアクセルを少し踏むと動き出します。動きをイメージしながら両足で踏んでください。」とレイが言った。2人はそれを実行してみて、やはりEHなのですぐにイメージ通りに動かすことができたようである。
ソフィアが、「動いたわね!意外に簡単ね!外に出てみましょうか?」とジュリアに言った。
2体はゆっくりと歩いて外に出ていった。まずジュリアが走ったり、ジャンプしたりと基礎動作を確認している。ソフィアもそれを真似てロボットを動かしているようだ。ジュリアが、コックピットのパネル部分にあるアームドデバイスの①を押してみると、左腕外側にはすでに細長いシールドが装備されているのだが、背中に刺しているロングソードを自動的に抜いた。ソフィアも同じようにすでに左腕にシールドが装備されており、①を押してみると右腕甲の部分に装着されているパワードマシンガンがアクティブになった。なるほど、この①ボタンは彼女達の一番得意なファイティングポーズを実行するものなのだ。
ソフィアが、「レイ!このマシンガンはジュリア目掛けて撃っても大丈夫?」と聞くと、「とても強力なブラスターマシンガンなのですが、パワーをミニマムにして撃ってください。」と指示が帰ってきた。そして2人の模擬戦が始まったのだった。
まずはジュリアがロングソードの型のように振り回して機体とのマッチングを確認していた。ソフィアはアクロバットのように機体を動かしながら、マシンガンをジュリア機に向けて試射している。
「結構、いいマッチングね!ほんとイメージ通り動くみたいだわ。ソフィアはどお?」とジュリアが聞くと、
「そうね!いい感じね。まるで自分の体が動いているような感じがするわ。なんか今までにない感覚だわね。未来の技術ってすごいわね!」と答えた。
ジュリアが、「ねえ、レイ!他に装備はあるの?」と聞いた。
レイが「そうですね。ジュリアさんの方は、基本装備としては、まずはシールドの先からナイフが飛び出るのと、左肩の部分からレーザーキャノンが撃てます。また両脚部のブーツ部分にナイフが格納さています。ソフィアさんの方は、背中の右寄りに付いている長い筒状のものは引き出すと右手でアングルを変えられて強力なスナイパーレーザーライフルになります。ジュリアさん同様に左肩の上にレーザーキャノンも付いていて、ブーツ部分にナイフが格納されています。」
「なるほど、わかったわ!」
「それと今は使わないで欲しいのですが、背面左右にソケットがあります。その持ち手を引き出すとレーザーブレードが出てきます。これはほとんどのものを切断できるのですが、パワーに限界があり現段階では10分程度のみが持続使用可能時間となります。投げれば槍のようにも使えるものなのです。」
「えっ、それすごいわね!ちょっとデモで使わせて欲しいわ。」と言ってジュリアは左手で背中からそのレーザーブレードを引き出してみた。するとブルーに光るサーベルぐらいの長さのレーザーの塊になった。「軽いわねー!」と言いながら左手に持ったブレードを投げた。やはり槍のように飛んでいき地面に刺さった。
「へー、すごいわ!これ使えるわね!!」とジュリアが関心している。
レイが続けた。「あとジュリアさんには、以前の戦い用に開発されたものを巨大化して、さらにグレードアップしたフライングエンジェルなるものが装着可能です。それは旧タイプより空中での動きがかなり俊敏になっているとの事です。また、ソフィアさんには、コックピット内にスーパーコンピューターが内蔵されています。それを使って強力な電波が出るので敵のハッキングが可能だと聞いています。」
ソフィアが、「それも凄いわね!あとで実際やってみたいわね!」と感心している。
2人は暫く動かしていたが、20分経過しやはり疲れたようで、ソフィアが
「やっぱり、この機体を動かすと凄く疲れるわね。」と言った。
レイが、「単調な動きであれば、EHを経由しないオートクルーズモードもあります。移動時などに使用します。」と付け足した。
「そろそろ、降りてみますか?」「静止状態にしてコックピットを開けてみてください。」とレイが言った。すると開いたドアの右下から脱出ワイヤーが下がり、それに捕まって2人は地面まで降りてきた。
「なるほど!これは使えるわね!」とジュリアの感想である。
「そうね!全く思い通りに動くのね。時代が進むとこんな体験ができるなんて・・・」と言ってソフィアは驚きながら笑った。