31:皇帝と対面
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
実はこのシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
ジュリアが、「みんな!奴らは自爆するの!だから皇帝がいる部屋に逃げましょう!」
と言って、全員皇帝の部屋のドアを破壊し入っていった。
そして、入ると同時にアンドロイド達が自爆し地下フロア全体がものすごく揺れた。
同時に部屋の中も破壊され破片が飛び散りさっきの入り口を塞いでしまった。
しかし運よく中継をしていたドローンもまだ1機が無事飛んで中継を続けている。
皇帝の部屋に入ると、人間のナイト5名がさらに道を塞いでいるのが見えた。
その奥には大きなベッドがあり皇帝自身が病に臥せているようである。
アンドレイが、『僕が逃走した半年前は元気そうだったんだが・・・いきなり癌にでもなったんだろうか?』と少し不思議に思った。
『ここが最後の戦いだ!
5名の重戦士が守るこの部屋さえクリアすれば僕らの戦いは終わるんだ!』と実感した。
まずはソフィアがブラスターガンを撃ちまくり、それを5人のナイト達はシールドで防御している。
敵は5人ともロングソードにシールドの装備である。中世ナイト風のシルバーのプレートアーマーに身を包み、実際人間かどうかは確認できない状態である。
まずはアンドレイが中央のナイトに攻め込んでみた。
すると機敏に彼らはフォーメーションを取り、アンドレイを取り囲み挟み撃ちされそうになってしまった。
するとサーシャが兄を助けるべく彼らの右側背後に周り最右翼のナイト目掛けてボウガンを放った。そして背中に命中しアーマーを貫いた。
アンドロイドには通用しなかったのだが、そのボウガンの威力は凄まじいものがある。
それを喰らった場合はまずは致命傷になるのだ。
これで1人が脱落した。
サーシャが右側に回り込んだ時点で、同時にジュリアも左側に周り最左翼のナイト目掛けて
ロングソードを力一杯振り下ろした。彼はそれに気がつきシールドで塞いだが割れた。
この間ソフィアも中心の3体目掛けてブラスターガンを撃ちまくって動きを牽制していた。
またもやジュリアとの戦闘では、重いプレートアーマーは逆に命取りになるのだ。
なぜなら彼女の剣は斬鉄剣だからアーマーをも貫いてしまうからだ。
案の定、ジュリアと戦っているナイトはすでにシールドを持つ腕を切り落とされている。
しかし血が出ない体のようなので、彼らもアンドレイ達と同じようにサイボーグなのかもしれないと思った。
ジュリアが「こいつらもサイボーグよ!」とみんなに向かって叫んだ。
次にこのナイトは剣で突いてきたところを彼女はそれをからげて逆にロングソードを胸元に突き刺した。もちろんアーマーを貫通し潰されてしまった。
これで3体が残る。
左側の1体をサーシャとアンドレイで対応しているので、
残りジュリア側の2体を彼女とソフィアで対応することにした。
ソフィアがブラスターガンを胸元で撃ちまくり格闘しながら2体の動きを止めているところにジュリアが勢いよく入りこみ、まずは左側のナイトの腹部に剣を突き刺した。
それを素早く抜き、そのままロングソードを外側右方向に振り回し隣のナイトの首を刎ねて首が宙に飛んだ。
アンドレイの方もアンドレイがナイトの腹部を刺してこの戦いのフィニッシュを迎えようとしていた。
ふと気づくとサーシャが皇帝のベッドに歩み寄っている。
皇帝はすでに延命装置に繋がれている状態で意識がないように見えた。
彼はサーシャの記憶の中では歳の割には武人らしく筋骨隆々なイメージがあったのだが、
今は見る影もない。
痩せこけて骨ばったただの老人と化していた。
肌が黄色くなっていて見るからに癌の病状である。
サーシャが飛んでいる1機の撮影ドローンに向かい、
「皆さん、これが皇帝なんです。こんな姿だとは想像はしていませんでした。この延命装置を切ればユーラシア帝国は終焉を迎えることになります。皆さん、私がそれを実行します!
この忌まわしきユーラシア帝国が幕を閉じた後は、皆さんにもご協力をお願いしたいのです。今こそ武装蜂起をして自由を勝ち取る時が来たのです!」と簡単に演説した。
そして延命装置のスイッチを切ったのだった。
皇帝はそれにより絶命したのだが、切った後にパネルが稼働し10分の秒読み体制が始まった。
アンドレイが「やばい!これはこの地下バンカーの爆破装置が始動した音だ!」と焦っていた。
ジュリアが死んだナイトの兜をとって確認していたのであるが、なんと5人全員が皇帝と同じ顔をしているのだ。なるほど彼らは影武者で皇帝のクローンサイボーグなのであった。
と言うことは、『皇帝は既に意識がなく、生きているだけの存在で、このクローン達が操り人形のように民衆の前に登場していたのか!?』とアンドレイとサーシャは悟った。
『と言うことは・・・この帝国の実権を実際に握っているのは元老院の貴族達になるのだ』とも悟ったのである。
我に帰ったサーシャが「10分でここから逃げられますか?お兄様?」と聞いた。
アンドレイが、「確か、この部屋の奥に地下道があって、そこから地上に出られるはずなんだが。」と部屋の奥に向かって歩いていった。
確かにドアはあり、アンドレイは以前使用したパスコードを入れた。
だが皇帝の指紋も要求していたのだった。
しかし、時間がない!
アンドレイは皇帝のベッドに戻り、彼の指を切り取り指紋認証デバイスにセットした。
どうやらそれで無事そのドアは開いた。
「みんな!ここから地上に出られるから急いで来てくれ!」と呼んだ。
アンドレイ、サーシャ、ソフィア、ジュリアの順にその地下通路に入っていった。
暗く湿った炭鉱のような通路を4人は恐る恐る歩いていたが、バンカーの爆発まで
5分を切ってしまっていた。
アンドレイが「みんな、急いでくれ!この地下道の中で爆発したら生き埋めになるかも知れないから。」と言って危機感を煽っている。
ソフィアが「アンドレイ、この先はどこに繋がっているのかわかる?」と尋ねた。
アンドレイが「我々が攻め込んだ場所わかるかな?たぶん湖を超えた先に出ると思うよ。」
と、ということはある程度の距離があるわけだ。
ジュリアは、入り口の番をさせていたガリオンにメッセージを送り、スーパーソニックジェットまで戻らせてあった。
残り時間あと3分になってしまった。
4人は必死にこの地下道を進んでいる。
アンドレイは、ついに念願の皇帝を抹殺したことに興奮していたのだが、ここから出られない場合は地下に生き埋めにされてしまうという、生きるか死ぬかの微妙な命の所有時間の中で今までの記憶が走馬灯のように蘇ってきていた。
まだこの先に光は見えてこないが上に上がる階段の坂道になっているようだ。
ということはもう湖の下を通過したのではないか?とも思い、あと少しの距離となったことを確信した。
「みんな、もう少しだ!頑張ろう!!」
持ち時間あと1分になってしまった・・・
と思ったところで、10m先に微かな光が見えた。
地上へのハッチから光が漏れているようだ。
「あそこが出口だ!みんな走ってくれ!」と言ってアンドレイはそこまで走った。
階段の上にハッチドアがあり再度パスコードを入れる設定になっているので、アンドレイは祈りながらパスコードを入れた。
『やった!開いた!!』彼はまた神に感謝した。
そしてこの地上へのハッチを上に押して開けた。
すると眩しい緑の光が飛び込んできた。『助かった!』
全員全速力で階段を登っている時に地下で大きな爆発が起こって激震が起こった。
アンドレイがそのハッチドアを押さえて、残り3人全員を押し出していた。
サーシャが、「お兄様、助かりました!有難うございます。みんな無事です!」と言った。
ソフィアも「アンドレイ、やったわね!皇帝も倒したし、アンドロイドもやっつけて、私たちも無事に出られたわ!」
ジュリアも「危機一髪だったわね!しかし、アンドロイド達が帝国に来ていたなんて驚きだったわ。あいつらの目的はなんだったんだろう?」と独り言を言った。
サーシャがジュリアのそばに駆けつけて来て、「ジュリアさん、さっきは本当にありがとうございます。死ぬところでしたわ。私はあなたのことを誤解していたみたいですわ。てっきり私のお兄様を奪われるかと心配して・・・ごめんなさい!」と言って涙をこぼした。
「大丈夫よ!私には最愛の彼氏がいるから。アンドレイはいいやつだと思うからちゃんと面倒見てあげてね!」と答えた。やっと2人は最終的に気持ちが通じ合ったようだ。