17:3つの遠征パート4 ーソフィアとジュリアー
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
実はこのシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズン1が終わった後に公表したいと思います。
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
さてさて、またカナダに戻ってみよう。
カナダエリアの軍人は、今まで国防のみに徹してきたため、飛び道具であるブラスターガンやレーザー砲での訓練がほとんどで、昔ながらの切ったり突いたりする刀剣類での訓練はほとんどされていなかった。まあ、冷静に考えれば、ガルシア達が所属しているヨーロッパ連合も同じといえば同じ状態だ。彼らのようにかつてバウンティハンターなどを経験している傭兵上がりの兵士に関しては、すでに武芸を習得しているため彼らの刀剣類を継続使用し戦闘をしている状況であるが、他の軍人達は接近戦があまりないためここと同様に銃器系の武器のみを使用しているのである。
今回戦略指揮官であるマチルダからその剣術習得の訓練依頼が出てきたのは必然的とは言えるが、逆に何故今まではそういった依頼がなかったのか?が不思議でもあった。
確かに、ガルシア達のような武芸に秀でた者達が混じって戦えばうまく回る可能性が高いのだ。何故ならブラスターガンのみでは、敵の動きを封じることはできるが息の根を止めることはできないからである。最終的には何かで切り裂いて破壊しなければならないのだ。
ここには下士官は計20名存在する。2名毎にチームを組んでその下に通常の兵士が30名ほどつく体制だ。ということは総勢300人の軍隊となる。
戦法としては、通常兵士が近距離用のブラスターガンと長距離用のレーザー砲を使用し、まずは敵のロボットや戦車の動きを止める。そして、その兵器を下士官達が破壊して回るという作戦となる。そこで可能性があるのは、下士官達は接近して戦闘するため、距離を取って撃つ通常兵士よりは銃撃を喰らう可能性が高まる。今までのバトルアーマーでは、命中するとかなりのショックが伝わり戦闘不能となったであろう。今回新たに手配された日本製のバトルアーマーは、かなりのショックをディフューズする構造になっているため、一発二発当ったぐらいで支障が出ることはないという優れものなのだ。
下士官20名の中で日替わりで3チームに分けて基礎訓練を始めた。
3チームに分かれて、長槍の指導はガルシアが、アックスの指導はイメルダが、短剣での接近戦の基礎指導はソフィアがそれぞれ担当している。
メンバー達も戦を前に真剣そのものである。まあ命が掛かっている分そうなるのも必然的な話だ。そしてこの3メニューを習得したのち、各自専門的に伸ばす得意分野を決めて更にその技を掘り下げて行く流れとなる。集大成としては、ジュリアがここに来たらロングソードを使用しての戦法の指導となる予定だ。
指揮官のマチルダは長槍の習得を選んだ。何故なら、その後に絶対ジュリアからロングソードの習得をしたいと思っているからだ。彼女の憧れのジュリアは長槍とロングソードの名手と言われているだから。
戦場を想定して、麦の穂を固くまとめて作った藁人形達を相手に特訓をしている。外見からは想像ができないほど分かりやすい指導をしてくれるガルシアのお陰で彼らはメキメキと上達している様子である。
ガルシア、イメルダ、ソフィアの3人は真剣ではあるが、人間的に和気藹々とした実践訓練を通して連合軍の士気も上げていっていた。
そんな中、イメルダ・ガルシアからソフィアに相談があった。
こうして数週間もの間、下士官達と訓練を共にしていたら情が移ってしまったようだ。
二人は今教官という立場でもあるし、生徒である下士官達が実際に戦場で戦えるのか?が不安であるという。何故ならイメルダやガルシアと違って実践の経験が皆無なわけだ。私達が一緒に戦場にいることができれば、その場で実地の指導ができるのだが・・・そもそも私達も連合軍の一員でもあるし彼らをサポートしてあげたいという相談であった。
ソフィアはそれを聞いて悩んだ。
バンカー側の人員はベテランと言いつつも4名と日本国防軍の3名の合計7名になってしまう。そのうち国防軍の3名は対空砲担当となり、イメルダが抜ける場合はスナイパーレーザーライフルを担当する者がいなくなってしまうのだ。そしてスナイパーの役割は敵の主戦力を叩くのに必須でもある。また、ガルシアが抜けることにより、サイボーグヒューマノイドが乗るバトルロボットに対処できる人員も減ってしまうのだ。とりあえず前衛としては、
ジュリア・アンドレイ・サーシャにソフィアでやっつけるとして・・・やはりスナイパーは必須だ。これは即刻日本防衛軍にスナイパー候補を出してもらうしかないなという判断となった。
ソフィア緊急帰国
結局のところソフィアは、イメルダ・ガルシアの希望を断ることは筋が通らないと判断した。彼らは連合軍の一員として、帝国攻略に尽くすのがそもそもの役割であるし、何せ下士官達が彼らを慕って信頼してくれているのだ。逆に彼ら二人にマチルダを中心とするカナダ軍の補佐をお願いし、今後のバンカー対策のために即刻日本に帰ったのだった。
そして、早速属代表にスナイパーを出せないか?との相談を持ちかけてみた。
検討するとのことではあったが、実質高精度を有するスナイパー要員はいないだろうとの見解でもあった。
そして、ヒロ・タカ・アキラとも相談してみたものの、やはり国防軍では、ヒロがスナイパーとして秀でているだけで、他にヒロに並ぶ逸材はいないだろうと言う。しかしながら、ヒロには対空砲という重要なロールがある。アキラもパイロットであるが、ソニックジェットに搭載している銃器類の操作は可能ではあるが、精度は?となると未知数となる。ソフィアは取り急ぎアキラにも対空砲のサポートができるように訓練のお願いをした。
となると、フォーメーション的には、前衛が手薄になってしまうのだが、スナイパーの技量も高いソフィアがやるしかないという結論に達した。スナイパーとなるとそれに集中するため、敵が付近に攻めてきた時に対処ができなくなる。それの対応策として、ソニックジェット付近にヒロの対空砲とソフィアのスナイパーレーザーキャノンを固定し、その前でタカに防衛してもらうしかないという結論に達したのだった。
そして、急遽 ソフィアとタカの実践訓練も始まった。
そんな状況で数日が経ち、アトランティスで修行を積んでいたジュリアが帰還した。
妹との久々の再会でジュリアとハグした時、ソフィアは何か説明がつかない彼女の変化を感じ取った。
ソフィアが、「ジュリア、久しぶりね!無事帰ってきて嬉しいわ!こっちは色々あったのよ。それは後で説明するとして、あなた、なんかわからないけど、前と違う”気”を感じるんだけど・・・アトランティスで何かあったの?」と姉妹の”姉”が心配するが如く聞いた。
ジュリアが、「私もよくわからないのよ・・・アトランティスの王と謁見して、期間限定かもしれないけど帝国に対する王の使徒となってくれと言われて坐禅を組んで修行していたの。それからどのくらい経ったのかしら・・・修行自体は本当に真剣にやったから成功したのよ。その代わりものすごく疲れたわ。そして、アトランティスの山でその成果を試してみたの。何が起こったと思う?」
「え、全く想像がつかないわ。」
「でしょうね! 私自身も驚いたんだけど、私のピニアル・ボディがアクティブになったみたいで、宇宙エネルギーとかいうものにアクセスができるようになったようなの。それで何が起こったかというと・・・驚かないでね! 地球上のエネルギーをアトランティスの王のようにコントロールできるようになったようなのよ!まだ限定的だけどね。」
ソフィアは、それを聞いて「それって、物凄くすごいことのように聞こえるんだけど、それによって、実際何ができるようになったわけ?」と想像が付かないという表情で聞いた。
「そうね、今のところ雷・突風ができるようになったわ。それも物凄く強力なものだから、航空機でも落とせる力になると思うわ。以前アトランティスの王が帝国の爆撃機を落とす時に使った力と同じ種類になるの。ただ、それにはデメリットもあって、物凄く自分のエネルギーを使うから、これをやった後は戦闘不能になると思うわ。それといつまでできるかは謎ね。」と答えた。
ソフィアが、「えー、それってすごいわね!! 神々に力を頂いたというか、魔法を使えるようになったと言ったらいいのか・・・多分、世の中に魔法師っていうのが存在するとすれば、今のジュリアみたいなことをいうのかもしれないわね。」と物凄く感激していた。自分の妹がついに神の力を得たと思ったのだった。
そして、ジュリアがいない間に戦闘フォーメーションが変わってしまったことも説明した。
するとジュリアは、「そうね。そもそもイメルダ達は私たちのヘルプでお願いしたわけだから仕方ないというのか、無理もないわね。そもそも連合の軍人なんだから本領発揮ということで逆に素晴らしい話だと思うわ。」とあっさり飲み込んでしまった。
ソフィアが、「でも、前衛はあなたとアンドレイ・サーシャ兄妹だけになってしまうのよ!大丈夫なのかしら?」と不安でいっぱいである。
すると、余裕なのか、「ソフィア! 忘れてない?ガリオンもいるのよ!彼は無敵だし、アンドレイとサーシャもサイボーグだからかなり戦闘能力は高いと思うわ。それといざという時は、私がその魔法師になるわよ!」と逆にソフィアを安心させようとしていた。
ソフィアが、「あなたがそう言うんだったら、まあね。でも、その魔法はどんな時に役に立つのかしら?」と、まだイメージが湧いていないようで少し疑問に思ったようだ。
「そうね。もちろん敵の航空機に突風・雷を飛ばして・・頭の中でイメージさせすればいいのよ。きっと。あとは何が可能かしらね・・・」と言いながらイメージしている。
ソフィアは、まだその神の力という得体の知れないマジックが理解できず半信半疑の表情を浮かべていたので、ジュリアはそれに気がつき左脳的な説明を付け加えた。
「そうねー その魔法はレーザーより物凄く強力な武器を超遠隔で操作できると思ってもらえばいいのかしら?」
ソフィアが、「なるほどね!じゃー 例えばサイボーグヒューマノイドが乗るバトルロボットも簡単にやっつけられるってことよね?」とジュリアが言っている能力を疑うわけではないがという気持ちで確認した。
「そうなるわね。ただ使った後はサーシャにサポートしてもらわないとだけどね。」
ソフィアが、「なるほど!それが実行できるのなら私達だけでも大丈夫なような気もしてきたわ! 私は、あなたがその魔法を使わなくても済むように、スナイパーライフルで敵のバトルロボットをやっつけまくるわよ!それが終わったらあなた達前衛に加わるから無事バンカーまで辿りついてね!」という会話でここでの前衛作戦会議はとりあえず終了したのだった。
そして久々の帰還に二人は二人で居られることに今更ながら喜びを感じ、彼女達の部屋がある湯沢のタワーマンションの最上階にあるパノラマビューレストランで夕食を取ることにした。
ほぼ360度の風景を楽しめるこのレストランから見える夜景は絶景である。
狭い湯沢の平地に香港のようにニョキニョキと生えたタワーマンション群が煌々と光り、そのバックの暗闇には自動車に代わるドローンが蛍のように無数に飛び交っているのだ。
姉妹は軍事訓練で男ぽくなってしまったのをリセットするかの如く、まるで言い合せたかのように、ミニドレス姿でここに登場した。
ソフィアのドレス姿はというと、
サーモンピンクのクラッシュサテン生地のベアドレスだ。そして胸の部分にスモッキングが入っているため、光沢が分散し落ち着いた可愛さとセクシーさを出している。そしてゴールドのミュールを着用している。ソフィアのブロンドのポニーテールにもとてもよく似合っている。
では、ジュリアは?
姉とはこれも真逆で、ターコイズブルーのシルクジョーゼットのシンプルなエマドレスだ。
デザインは、胸元がスクエアに大きく開いており、その両端の肩を包むこむ部分にドレスが落ちないようにという役割で小さめのパブスリーブが付いているのだ。バスト下すぐに切り替えがありヒップまではタイトなシルエットとなりその下は膝上まで若干のAラインで広がっているのだ。そして、シルバーのミュールを着用している。
どうして、こうもこの姉妹は趣味が全く逆なのか?不思議である。
2人とも、ここでのヒデの歓迎会を思い出していた。
そう、今夜とは違うドレスではあったが、二人ともおめかししてドレス姿だったのだ。
ソフィアが先に、「ヒデ、どうしているかしらね?私最後に会ったから、ここでの出来事が夢だったのよって演出するのが結構大変だったのよ・・・だって良心が痛むでしょ? ただ真剣に騙さないとヒデがそれに気づいてしまったら、作戦が失敗してしまうから・・・でも、あれは私でよかったと思うわ。あなたには酷でしょ?」
ジュリアが、「そうね!ソフィア、ありがとう!私にはできなかったわ。今となってはそれでよかったと思っているの。あれでお別れしてしまったのは心残りではあるんだけどね。
まあ、早くこの戦争を終わらせてまた会いに行けばいいんでしょ!」と今は吹っ切れた様子である。
ソフィアが、「ちょっと最近の緊迫したムードに疲れたわよね。今日はここで美味しいカクテルとあの日と同じような飲茶を頼んで気分転換しましょうよ!」
ジュリアも、「そうね!私達EHだけど、流石に疲れてきたわね。少しの間休息を取りましょうよ! ねえ、今日は昔みたい二人で寝ましょう! いいでしょ?」
彼女らの未来の世界では子供時代によく二人で添い寝していたのだった。
それは双子として生まれた時から1つバスケットに入れられて育てられた名残なのである。
ソフィアも「そうね。久しぶりね。子供の頃に戻った気分で添い寝しましょうか?」
と彼女も子供に戻ったような表情に変わった。
このエンハンストヒューマンの双子は二人でいる時間が長ければ長いほど体力にあたるエネルギー源が補充しやすいのであるが、それは二人の精神環境に連動するものなのだ。