16: ジュリアが得た物 ソフィアの夢
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason4ーミュータントとの対峙編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
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短編集もやっています!!
スピンオフ『JOE TEMPEST』も宜しくお願いいたします!!
「私はマリナです。 家はノルウェーです。」
「私達はフロリダです。姉妹で私が姉のケイト、妹のジェーンです。」
「僕はちょっと訳ありなんだけどスイスなんだ。よろしくね!ここはいいところだよ!僕も移住をお願いしているんだ。そう、ハナさんと僕も両親はいないんだよ。」とダニエルが元気付けようとしている。
3人の客人は、いずれも歳はハイティーン。 ケイトはブラウンの瞳で縮毛のブラウンの髪の毛をツインテールにしており、妹のジェーンも姉とほとんど同じ雰囲気ではあるが少しぽっちゃりとした可愛らしいそばかす姉妹である。また彼女らより年上に見えるのがマリナだ。北欧らしい腰までのブロンドのナチュラルロングヘアーで、青い瞳で肌は真っ白のすらっとした娘だ。いずれもまだ愛らしく子供ぽい表情を残している。
「君たちは、ここに住みたいんだよね!? その場合手順としては、まずソフィアさんと面接してから仕事は何をしたいかを決めるんだ。ちなみに僕は街づくりに興味があるから建設の仕事を選んだんだ。ハナさんは街の警備ですよね? あとは色々あるんだけど、君たちは何がしたいのかな?」
「・・・・・」
「だよね〜 まだわからないと思うよ。じゃー聞き方を変えるけど、みんなは何が得意なの?」
「えーと 私はお花を育てたりお野菜を作ったりするのが好きですよ。お家でも手伝ってましたから。妹も同じです。」
「そうか、じゃ君たち姉妹は多分農業担当がいいね。ここにも建物の中だけど綺麗な農園があるんだ。マリナは?」
「私は・・・特技になるかどうかはわからないんですけど・・・」
「何? 言ってみなよ!」
「私 たまに夢を見るんです。それで、その夢が現実になっちゃうんです。だから、両親には悪魔の子とか言われていじめられていたんです。」と言いながら涙ぐんでいた。
「それは凄い特技だね!ソフィアさんに相談してみなよ。」という話をしているとクララが料理を運んできた。
「皆さん、お料理が来ましたよ!お腹減りましたよね〜 さあ、食べましょう!」とハナが催促して、5人とも夢中で食べだしたのだった。
他の13人の子供達は親御さんと無事連絡が取れて迎えが来ることになった。そして、例の3人はソフィアとの面談の日を迎えたのだった。
ケイトとジェーンは予想通りアグリカルチャーエリアの担当スタッフとなった。本人達も綺麗な農園で働くことになって喜んでいるようだ。そして問題のマリナの番がきた。
「へえー、マリナちゃんは予知夢を見るのね!?」と言いながら、ソフィアの表情は興味津々になっていた。
「たとえば、どんな夢?」
「そうですね。うちの叔母さんが死ぬ夢を見たら1週間後に死んじゃったとか・・・私を攫いに来るっていう夢を見たら、本当に攫われちゃっんです。そんな不気味な夢ばかり見てるから両親には悪魔の子って言われていじめられていました。」と涙ぐんで下を向いてしまった。
「なるほど、楽しい夢は見ないの?」
「楽しい? 夢では見ないですね・・・」
「わかったわ。もしかしたら、マリナちゃんはやり方によっては開発できる可能性があるから、私のラボのヘルプをしてもらってもいいかなって思っているんだけど、実験みたいなことは好き?」と聞いてみた。
「実験、大好きです!よくお庭でアリの巣を見つけて色々と試してみたりしていましたから。」といきなり表情が明るくなってきた。
『まあ、子供だからアリの観察でもしょうがないか!? もっと高度なことができるようになるかもしれないし・・・』と思い、「わかったわ。じゃ、とりあえずそうしましょう!」とソフィアは言いながら、本心は『これはお宝を見つけたかも!』という風に実験をしている時のように目が輝いていた。『彼女はレム睡眠中に今後の可能性を夢として観ているのだろうから、その可能性を事前に察知して検証し今後の予測を立てるのに有力な指標になるのでは!?』と思ったからなのである。
今回のような未成年者の入植は初めてのことであるが、ソフィアは今後増える可能性もあるであろうと考えた。そこで、公営の運営というスタイルでシェアハウスを作ることにした。トライアルとして、境遇が同じこの3人をシェアさせることにしたのだった。
さて、めでたく入植が決まったダニエルだが、すでにガルシアに就いて研修中である。
「しかし、ここに住めることになってよかったな!」
「はい、有難うございます! 師匠!これから、この国のお役に立てるように頑張ります! 僕の国いや世界では、ジョンさんがパンアメリカの改革を色々と進めているようですから楽しみではあるんですが、ここに来た時から僕の5感で運命を感じたのです。居るだけで楽しいと感じる場所ってあまりないと思うんですよね。」と意気揚々としていた。
「お前の世界って、これからどうなっていくんだ?」
「そうですね。ソフィアさんの一撃で、とりあえずドイツ帝国とソビエト連邦は一旦戦闘を控えていますが、今やレジスタンスの手に落ちたパンアメリカ合衆国の出方によって、これからのスタンスが決まっていくのかと思います。」
「今は止まっているけど、一触即発っていう感じなんだな!?」
「ジュリアさんの一撃でママミュータントは抹殺できたので、奴らは将来を予測することができなくなったので、これからの奴らの優位性は弱くなると思います。」
現にダニエルが予想するように、それぞれの国家を水面下で操るミュータントの息子たちはこれからの打つ手が見えずに停滞しているのは事実であった。ミュータント・チルドレン達も未来が見えずには影響力を行使しづらいのである。状況的には、独ソは一時休戦状態となり、両国の攻撃の矛先は革命国家となったパンアメリカ合衆国に向けられていた。
こういった一連のできことの後にやっとジュリアが戻ってきた。
「ジュリア、お帰り! 無事でよかったわ! で、アトランティスどうだったの?」とソフィアが久々の再会を喜びつつも彼女の成果が気になるようである。
「ええ、収穫はあったわ。今回は王とテレパシーで繋がって色々と情報を得られたんだけど、あのミュータントは予想通りアトランティス絡みだったわ。やっぱりそもそもは宇宙からの生命体らしいの。アイツはかつて古代のアトランティスから異世界へ追放された個体らしいの。問題は…異世界つまりいくつものパラレルワールドを行き来する能力があって、自由にそのドアを開けられるらしいのよ。だから私が切り掛かった時に異世界へ逃げてしまったのよね。まあ、でも宇宙からの生命体と言っても、私たちもその一部なんだと思ったわ。地球創成期には宇宙からいろいろな隕石が飛来していたんだろうから、それぞれに違う星から来た微生物がいたとも思えるし、現にこの世界での魚類から始まる哺乳類と爬虫類系は進化の時点で分岐しているわけだし、甲殻類や昆虫類はそもそも私達とは違う種族だと思ってるの。」
「なるほど…厄介ね! じゃ、アイツを討伐することはできないってことなのかしら?」
「実は、今回のアトランティスの修行では、自分の動きをクイックモーションにする能力を授かったの。以前得た空気を媒介として風を操る能力と少し関連するんだけど、自分の動きにその能力をかけて空気で後押しする感じになるんだよね。まあ、これもあまり何度も発動できないんだけど、それを使えばあいつが異世界に逃げる前に捉えることができるかもしれないわ!?」
「それは、また凄いわね!! つまり瞬間移動ってことね。その能力があればあなたは無敵になるんじゃないの?」
「まあ、発動のタイミングをうまくマスターできればね!」
「私の方も面白いことがあったわ。あのイザベラ達を誘拐した一味のアジトがポルトガルに見つかって、フューチャートリオに海賊達と一緒に討伐に行ってもらったの。もちろんアジトは簡単に討伐できたんだけど、捕虜の少女達が監禁されていたのを発見したのよ! それも18人もいたのよ。15人は親御さんに連絡が就いてすでに帰途についたんだけど、残り3人は帰りたくない!っていうのよね。それで、2人の姉妹はアグリカルチャーエリアで働くことにさせて、さらに残った1人、名前はノルウェーから攫われてきたマリナっていう子なんだけど、彼女は予知夢を見るらしいの!それって逆に凄いことじゃない!?」
「それって、ヒデみたいな感じ?」
「いや、彼の場合は未来をイメージで感じることができるってことだと思うんだけど、彼女の場合は夢で近い将来起こりうる色々な選択肢が見られるってことだと思うの。だから、そんな夢を見たときには、こちらで内容を検証してみるといいんじゃないか!?って思っているの。」
「なるほどね!その子、私らのいい千里眼になればいいわね!」
「だから、とりあえず私のラボのアシスタントとしてやってもらうことにするわ。」
ジュリアは笑顔で、「と言うことは・・・ソフィア!ついに弟子ができたのね? 私ばかり弟子が増えて、ソフィアもいた方がいいのにとずっと思っていたのよ。」と喜んでいた。




