8: ジュリア、ミュータントに会う
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason4ー余燼よじんが燻る編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
エッセイもその他カテゴリーのエッセイにて投稿中です!
短編集もやっています!!
スピンオフ『JOE TEMPEST』も宜しくお願いいたします!!
(この8の投稿が投稿漏れとなっていました。7と9の間のお話となります)
なかりの時間瞑想に耽っていたシノはジュリアの指導の甲斐もあり、なんとなく防御壁を作れるようにはなっていた。と言ってもそれをやるのに時間がかかってしまうところが問題なのである。
「防壁を作れるようにはなったから、あとは必要な時に瞬時にできるか?ってとこね。」
「そうですね。でも、コツはわかりました。ご指導有難うございます!」
「ジャコモとはテレパシーをリンクしたから受け取れるはずなんだけど… なかなか来ないわね。」
「対象はあまり外に出て来ないんですかね?」
「そうね、しかし、いったいそのミュータントってどんな奴なんだろうね?」
「でも、今回は、このベネチアの街を見て回れたけど、私たちの世界の街とは違って潜伏できる場所がたくさんあるわね。」
「だから、逆を言うとミュータントの隠れ家を見つけるのは至難の業ですね。」
「もし、そのチャンスが来た時なんだけど、私が前面に出るから、あなたは防御壁を作って状況を見ておいて、それで可能であればママというヤツを倒して欲しいの!」
「わかりました!やれるだけやってみます。」
その日の晩であった。
やっとジャコモからのテレパシーが伝わってきたのだった。
ホテルから近いサン・マルコ寺院に奴がいるとのメッセージが入ったのだ。
2人はすぐにフルアームドで部屋を出て人気がいない広場を横切って行った。
サン・マルコ寺院のアーチ型のドアが並ぶ中、中央の一番大きなメインドアの正面に立った。すでに閉館しておりドアはロックされていた。2人は目立たない右端の小さなドアに移動しシノが忍者ツールで施錠を解除した。
バニッシュモードにて姿を消し、音を立てずにゆっくりを暗い聖堂内部を進んで行くと、ビザンチン建築の意匠で複雑に造形されたドーム型の天井が暗い館内で朧げに立体感を出していた。微かな光と陰が絶妙に混じり合い独特な空間を形作っている。
参拝用の椅子が並ぶ広い聖堂内を眺めてみると、そこでは参列者がいないミサが行われているようだ。大きな十字架が飾られている祭壇付近だけが数本の蝋燭で照らされていた。その光で人影がまるで陽炎のように壁面に大きく映し出されている。
祭壇では体格が大きい大司教の衣装を着た男が祈りを捧げているようだ。
そして向かって右裾に尼僧が若い修道女を連れて佇んでいる。
2人はしばらくじっとその礼拝を眺めていたのだが、
礼拝が終わると、尼僧は修道女の肩を抱えながら大司教に近づいて行った。
そして大司教は修道女のフッドを取った。
10代のみずみずしい女性であった。
その時、またテレパシーが来た。
『その尼僧がママミュータントで、大司教がミュータントだ』
ジュリアが目を疑った。
『ヤツは大司教を隠れ蓑にしていたのか!?』
大司教はその若い娘をマジマジと眺めていたが、娘の反応は全くない。
まるで催眠術にでもかかっているように見えた。
暗闇のため大司教の表情は細かくは見えないのであるが、長い舌が伸びて娘の顔を舐めて愛撫しているように見えた。それでも娘の反応はない。やはり催眠術でもかけられているのだろうか?
するといきなり大司教の口が巨大な爬虫類の顎のように変形したように見え娘の頭にかぶりついたのだった。鮮血が吹き上がり頭部を飲み込んでしまったのだった。そのあとは尼僧が横たわった少女の服を脱がすと体の部位を少しずつ食べていき娘の体は跡形もなくなってしまい、血の海だけが残っていた。
2人にはその悍ましい光景に衝撃が走ったが、ジュリアが小声で『尼僧を殺って!』とシノに言いながら音を立てずに近づいて行った。そしてシノはクナイを手に取り音を立てずに尼僧めがけて2本投げた。尼僧はバタッとその場で倒れ、驚いた大司教は辺りを見回している。
彼の顔は元に戻っていたのだが、至近距離でみると人間の顔ではなかった。
『まるで爬虫類ね! あいつ人間じゃないわね!?』
そして、その大司教は2人が彼の視界に入らないため、可視化するマインドコントロールを仕掛けてきたのだった。
「シノきたわよ!防壁を張って!」
ジュリアも防壁を張りながら、静かに大司教に近づいて行ったのだった。
大司教に扮しているミュータントは、巨大な鳥類のような超音波の奇声をあげた瞬間、どういうわけかジュリア達のバニッシュモードがキャンセルされてしまった。2人を目視できるようになったミュータントはまた奇声をあげた。
2人はシールドを前に構え、ジュリアはレイピアを抜いた。ミュータントは怒りを表すような奇声をあげながらガウンの隙間からトゲのようなものをジュリア目掛けて数本発射したのだった。ジュリアはそれをシールドで受けると、ミュータント目掛けて飛び出しレイピアで突き刺した。
しかし、なんとジュリアの一撃がかわされてしまったのだった。その時、敵は瞬時に移動をしていたのだった。彼女は驚きと同時に『そうか、私の動きが予測されているんだ』と感じた。防壁を張ると同時にマインドを読まれないように無心になった。再度挑もうとした瞬間、ミュータントの背面の空間が乱れて暗闇にパープルの微かな光が漏れたかと思った瞬間にその楕円状の空間の乱れの中に消えて行ってしまったのだった。
「シノ?大丈夫?」
「大丈夫です。あいつは何者なんですか?」
と今起こったことが信じられないようで放心状態であった。
「そうね、多分宇宙人が関係しているリザード型のミュータントなんだと思うわ。私がアトランティスに行った時に王が似たような容姿をしていたわ。」と言いながら複雑な表情をしていた。
「ジュリアさんの1撃をかわしたということは、相当な手だれですね。」
「いや、私のマインドが読まれていたのよ。」
「人の考えを予測可能ってことですか? 厄介な相手ですね。」
「そうね、これは何か対策を考えないと、またせっかく見つけられても逃げられるか?こっちがやられるかもね・・・」とジュリアとしては珍しく消極的な表情であった。
「シノ、戻るわよ!」と、2人はオフショア・シティに急遽戻って行った。
先にリープで戻ったジュリアはソフィアに報告中である。
「ソフィア、あのミュータントというやつは、多分私が感じるにアトランティスの王に何かしら関連があるんだと思うわ。同じ種類の外見だったから。私の剣の一振りもかわしたし、そこで予知能力があるとわかったわ。まずいわね・・・」
「まあ、でもそのママミュータントという奴は倒したんでしょ?」
「でも、そのママという女性は人間だったわ。多分、やつと一緒に長くいるとその人間の潜在能力が強化されるんだと思うわ。きっとその潜在能力が予知夢の能力だったのね。」
「まあ、でもまた再びそういう人間が現れる可能性は残されているけど、今のところ、千里眼的な役割の者はいなくなったんでしょ?」
「まあ、そうね。でもこのままだとアイツには勝てないかもしれないわ。」
とジュリアは考え込んでいた。
「じゃ、ジュリア、またアトランティスに行ってみれば!何かヒントがあるかもしれないじゃない?!」とソフィアが提案した。
「そうね。私もそうしたいとは思っているんだけど、独ソ戦にも1発仕掛けないといけないじゃない?」
ソフィアが、「私は、取り急ぎEBSでリープできるかを確認してみるわ。敵と遭遇した場合は、その時はレジスタンス連合の仲間だということで暴れた方が効果があると思うから、派手に脅して存在感を見せればいいと思ってるの。だから、その時は新開発のレーザーハチェットを試してみるわね。」
「わかったわ。じゃあっちに行った時にあの姉妹を一旦帰国させて!」
ということで直近の方針がまとまったのだった。
そして、再度ジュリアはガリオンを連れて彼女のホバージェットに乗り込み
ソニックスーパージェットにて北大西洋に送ってもらった。
さて、残されたソフィアは、リンダに不在の間の国防を委任し、今パラレルワールドの独ソ戦の中心地であるクルスクへのリープ準備である。
『EBSの重量と体積はインプットしたから・・・あとは装備の確認かな。えーと、マシンガンを持って左肩のレーザー、右肩背面のレーザーキャノンライフル、背中から回り込むガトリング銃、ナイフ2本と、新開発のレーザーハチェットと・・・まあ、今回はショートソードはいらないかな? 全部重量に加えないと。』という感じだ。
『よし!これでイイかな? まだイザベラ、ルイーズたちは待ってるかしら?』
ソフィアはEBSのコックピットに乗り込んで、バングルのリープスイッチを押した。すると人体で実験した時と同じような現象が起こり、時空が歪み巨体が消えていったのだった。
すいません!! この『8』がクライマックスのシーンなのになんと未投稿で抜けていました・・・
シーズン4の『7』と『9』の間に位置するものです。
これを差し込んで再度読んでいただければ幸いです・・・




