10: ダニエル オフショアシティへ行く
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason4ー余燼よじんが燻る編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
エッセイもその他カテゴリーのエッセイにて投稿中です!
短編集もやっています!!
スピンオフ『JOE TEMPEST』も宜しくお願いいたします!!
「あんたが、ダニエル? 私リンダよ。あんたの案内はハナがするんだけど、これからロンダの地下施設までいくから、ジュリアが一緒に乗せていってくれっていうから来たわ。この世界のことを色々と見て欲しいとか言ってたわよ。」
「わかりました。有難うございます!」と言いながらリュックを持って部屋をでた。
「この街、オフショア・シティは放射能除去装置が働いているから、私らはボディーアーマーを着けなくて済むんだけど、ここから一歩出ると必要になるの。レンタル用にあなたのサイズがあると思うから、まずはそれをゲットしましょう。」と言いゲイトウェイの施設に連れていった。
リンダは、ロンダの住民のここへの移住に伴って、使わなくなった武器類を持ち帰ってくる仕事があったのだ。
「それでいいんじゃない!? ヘルメットもね。」
どうやらサイズが合うボディーアーマーがあったようだ。
そして、ボディーアーマーを着た2人は格納庫に向かい、ホバージェットカーゴに乗り込んだ。
「この乗り物は一体なんなんですか?」
「これ!? ホバージェットと言ってこっちの一般的な乗り物なの。これはカーゴだから後部にカーゴルームがあるのよ。今日はロンダの地下施設から使わなくなった武器類を持ってくるからあたなも手伝ってね!」
「なるほど、僕らの世界でいうホバークラフトみたいなものなんですね!?わかりました!」
リンダは水素エンジンをスタートさせるとボディが浮いた。そして格納ガレージのシャッターを開けて砂漠に進んで行った。
「ここはスペインですよね? 一帯が全部砂漠なんですね?」
「そうよ。世界大戦で核爆弾が落とされて放射能汚染されたのと、それが原因で地球の温暖化が急に早まったの。だから外気はすでに40度を超えていて、もっと内陸に行くと軽く50度を超えてくるわ。だから、このボディーアーマーが必要なのよ。 このアーマーには色々な機能があって、戦う時の鎧も兼ねているけど、外気の影響を直接受けないように調整するのと放射能を防ぐ機能があるのよ。」
「なるほど、すごいものなんですね!」
「そうよ、だから、オフショア・シティの外ではこれが必ず必要よ!」
「道というものがないんですね。だからホバージェットが一般的なんですね。これってもちろん海も行けるんですか?」
「もちろんよ。これ一台あればどこにでも行けるわよ。特にジュリアのものは凄いわよ!循環エネルギー仕様のエンジンで、半永久的に生活ができるワンルームアパートになってるから世界一周とかしてるわよ。」
「そうなんですね! 凄いですね〜」
リンダの操縦でスペインの砂丘を進んでいき山がちの地形に入ってきた。
「ここらは山賊がたまに出るから気をつけないといけないのよ。」
「山賊ですか? 戦うんですか? 僕も戦えますから何か撃てる武器はありますか?」
「そうね、ブラスターガンだったらあるわよ。」
と言って、この艇に装備されているブラスターガンを渡した。」
「なるほど、これがブラスターガンですか!ここを引くんですね!?」
「そうよ、これで撃たれると敵はフリーズするから、その間に剣で切るのよ! あなたは剣は扱えるの?」
「剣は僕らの世界ではあまり有効じゃないのでガン類が一般的ですね。」
「じゃ、ブラスターガンもいいんだけど、この艇にはレーザーキャノンも装備しているから、それで撃ってもらえれば一発だね! レーザーガンは致死兵器だから。」
「わかりました!その時は頑張ります!」
「さて、ロンダに着いたわよ!」
ホバージェットはロンダ地下施設前で暗証番号を送ると、堅牢な作りのガレージのゲートがゆっくりと開いた。その両側にはレーザーキャノンが2門ありこちらを狙っていた。
「さあ、ここがガレージだから、中に停めて地下に向かうわね。」
と、2人は降りて、エレベーターにて地下施設に向かった。
イメルダやガルシアの働きかけで、この地下住民の半数以上はオフショア・シティに移住済みであるが、まだまだ賑やかな地下街となっていた。
「へえー、この中には地下なのに農園とか牧場なんかがあるんですね!?」とダニエルはひどく驚いている。
「こっちよ!」とリンダが言いながら、奥に隠れた事務所スペースのドアベルを鳴らした。
すると、ドアの小窓が開き、中から男の顔の一部が見えた。
「あ、リンダか!?」と言ったかと思うと、その重そうなドアがゆっくりと開いた。
「よう!元気かい? 例の武器類を取りにきたわよ!」
「わかった。この奥の台車に乗せてあるから、そのまま持って行ってくれ。」
「相棒!有難う! オフショア・シティの自警団で使わせてもらうわ。」
奥に進んでいくと、ブラスターマシンガンが30丁ぐらい台車に乗っていた。
「ここの住民が少なくなってきたから、必要なくなって廃棄されてしまうものを頂きにきたのよ。これでも結構使えるからね。」
「リンダさん、僕はここでは武器類を持っていないんで、もしよければ、これ1丁もらえたりしますか?」
「一応、ジュリアに言っておくけど大丈夫だと思うわ。まあ、とりあえずこれ持ってなよ!」と言って台車から1つ取り出してダニエルに渡した。
2人は台車を押しながら地下街の様子を眺めていた。
「僕だったら、外の空気や日光に当たれるオフショア・シティの方が断然いいと思うんですが、なんで、この人たちはここに留まっているんですかね?」
「まあ、慣れというか、しがらみというか、人間慣れ親しんだ場所が一番いいと思う奴らもいるわけよ。住めば都だからね、彼らなりにここが気に入ってるんだろうよ。」
ホバージェットのカーゴにブラスターマシンガンを詰め込んで再度スタートだ。
「来るときは何もなかったけど、帰りも用心していこう! とりあえず、何かあった場合のために・・・ここのスクリーンにレーザーキャノンの照準が出るから、これを引き出してこの赤いトリガーを押せば発射されるから。通常は照射時間が長くて威力もあるんだけど、このスナップモードにすればマシンガンのように連射モードにもなるんだ。対象が小さい場合はこっちの方が使えるから覚えといて!」
とリンダから簡単なレクチャーがあった。
「なるほど、わかりました!リンダさんはここではどんな役割なんですか?」
「私? そうね、ジュリアの子分ってとこかな!?あんたの世話役のハナがまたその下の子分だね。だから、戦闘体制に入ると私とハナはディフェンスチームになって、スーパーソニックジェットカーゴでサポートするのよ。私は爆撃担当だけどね。ハナが操縦するわ。」
「そうなんですね!? 凄いですね〜」
「そういえば、あんたらの炭鉱をぶっ潰したのも私たちよ!」
「あっ そうなんですね!?」と微妙な表情で驚いていた。
「リンダさんが凄いってことはよくわまりました。ここの人達は刀剣で戦うって聞いたんですが、リンダさんの武器はどんなのですか?」
「今は操縦しているからはずしているけど、いつもは背中にクロスして双剣をさしてるわ。あんた達の世界は実弾なんでしょ?」
「双剣なんですか!? 二刀流ですね!カッコいいですね! はい、実弾です。レーザーガンやブラスターガンやらはありませんから。」
「私らが着ているアーマーは実弾じゃちょっとやそっとじゃやられないけど、砲弾はやばいね。避けないと! そういえば、これあんたらの組織に輸出しているから、向こうの世界のパンアメリカ合衆国?を乗っ取れたと言ってたわね。」
「はい、僕もそう聞きました。凄い技術力だと思います。オフショア・シティもまだよく見ていませんが凄いところですね!?僕らの世界ではレジスタンスはさっきの地下街のようなところで生活をしています。」
「戻って、後ろの積荷をかたしたらハナに街を案内してもらいな!」
「わかりました。有り難うございます!」
という会話がありしばし無言になり砂漠を進んでいた。リンダは男ぽく口数が少ないのである。
ロンダからの山道を抜けて砂丘に出てきた。ここからはなだらかな砂の丘が地中海まで連なっているのだ。しばらく進んでいくと、左遠方、つまり北東の方角から砂煙が見えてきた。
「何だ!あれは?」とリンダがビノキュラスを取り出し確認している。
「見たこともない車両だな・・・タイヤがあるぞ・・・」と独り言のように言っていると、ダニエルが反応した。
「ちょっと見せてもらってもいいですか?」




