2: スイス到着
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason4ー余燼よじんが燻る編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
エッセイもその他カテゴリーのエッセイにて投稿中です!
短編集もやっています!!
スピンオフ『JOE TEMPEST』も宜しくお願いいたします!!
ダニエルが、「いや、レジスタンスではないのですが、この3人の修道女たちをお連れしているんです。」と、か細い声で真面目に答えた。このダニエルの対応で兵士達は、弱っちい奴らだなと思ったのだろうか、張り詰めていた姿勢を崩した。
そして、兵士から「その男、お前だけこっちの来い!」という命令が来た。
ダニエルは仕方なく、それに服従し兵士にゆっくりと近づいて行った。その時に暗闇で足を何かにつまずいたかのように見えたのだが、その倒れる瞬間に彼はワルサーを取り出して「ピュン、ピュン」と2発撃ったのだった。
兵士2名はその場にバタッと倒れた。そしてダニエルは2人の絶命を確認し、林の中に引っ張って行った。
「皆さん、予定外なことになってしまいました。ここを抜けると仲間の車が迎えに来ているので消灯を待たずに急ぎましょう!」と言って焦っていた。
するとイザベラが、「あんた、意外とやるじゃない! 射撃上手いんだね!」と言ってダニエルのとっさの判断を誉めている。
ルイーズも「どうなるのか?と思ったわよ。さあ、行きましょう!」と言いながらダニエルの肩を叩いた。4人は林の中を抜けてフェンスの切れ目の前にいる。
「ここの部分から抜け出ることができます。」と言って、裂け目がないと思えたフェンスを持ち上げた。「さあ、どうぞ!」と言って3人を誘導し最後に自分も抜けた。
「この先に車が待っているはずです。さあ、急いでいきましょう!」と言いながら小走りに走っている。3人もダニエルの後に続き走って行った。
するとその先にブラックに塗装されたレジローバーのディフェンダーが待っていた。
「あれです!」と言いながら、「ダニエルです。3人を連れてきました!」とドライバーに言っている。
「早くのりな!」と中から男の声がして、ダニエルが前の助手席に、3人が後部席に乗り込んだ。
「ガブリエル有難う!やばかった!ドイツ軍2人に見つかって殺ってきた。隠してきたけど、急いで戻りましょう!」とダニエルが運転手の男に言った。
その運転手は「わかった!」と言っただけで、無言で黙々と運転している。どうやらハイウェーを避けて細い山道を進んでいるようだ。後ろの座席の3人も取り敢えず沈黙しているようである。
そして、しばらく走ると小高い山の麓に入って行った。すると農家の敷地内に窓を隠した大きなバラックのような施設が見えてきた。窓の隙間からは光が微かに漏れている。
「皆さん、やっと着きました!ここです!」とダニエルが言い、運転手は無言のまま前に着けるとダニエルが降りた。3人もその後に続いて降りて入り口に近づいていくと、中から、リーダーのような男が現れた。
「キャプテン、連れてきました。空港でドイツ軍に見つかり2人殺ってきました。見つからなかったと思います。」
「わかった、よくやったダニエル!すぐに彼女らを連れて、あそこの車でイタリアに向かってくれ!食料はここに入っているから、うまくやれよ!」と言って車の鍵を渡して、3人に会釈をした。
向こう側には水色のルノー4(キャトル)があった。ダニエルが左の運転席にシノが助手席、そして荷物と一緒にイザベラ、ルイーズが後ろの席に乗り込んだ。そしてキャプテンが手を振っているのを見ながらダニエルは動き出した。
「ここはスイスのフランス語圏なのですが、少し走るとスイスのイタリア語圏のルガーノに出ます。そこからイタリアに入ってベネチアに向かいます。」
今まで3人とも無言であったのだが、
「ダニエル、あんた、意外にやるわね!お姉さん見直したわ!!」といきなりイザベラが声だかに言いながら後部席から彼の頭を撫ぜている。
ルイーズも、「そうね!あんた射撃うまいじゃない!一度に2人も倒しちゃってさ!」と激励している。
「まあ、私たちはガンで撃たれてもこのアーマーを着てるから大丈夫ですけど、もし敵が撃ってきたら大騒ぎになってましたね!」とシノも評価しているようである。
「ありがとうございます。子供の頃からやってるんで射撃だけは自信があるんですよ。でも見つかったんで焦りました。いつもはあんなところにドイツ兵はいないんですよ・・・」
「でも、この車大丈夫なの? なんかフワフワしてるけど・・・乗り心地はまあ悪くはないけどね。」とルイーズが、
「大丈夫ですよ!このキャトルはこのあたりだとあたりまえに沢山走っている大衆車なので、目立たなくていいんですよ。これから、ミラノには入らずにベルガモ、ベローナを抜けて、朝にはベネチアに着ける予定です。」
「わかったわ。ありがとう、ダニエル!あんた疲れてない??」とイザベラが気使うと、
「大丈ですよ。慣れてますから。眠気覚ましにあなた達の世界の話を聞かせてください。」
「そうね、この世界に来てからなんとなく思ってたんだけど・・・私らの世界と違って肩が凝るわね!? なんか世界の仕組みが細かそうで・・・なんて表現したらいいのか・・・」とルイーズが言葉を見つけていると、
「わかります。人も物もなんか複雑ですよね?私たちの世界の方がもっと大雑把と言ったらいいのか!? なんかあっけらかんとしてるというのか・・・」とシノも細かく違いを見つけられない様子であった。
「そうそう、Blancツインズも言ってたんだけど、私らの世界の方がアニメぽいというか設定があまりないというか、きっとシンプルな世界になっているのよ!」とイザベラがまとめてみた。
「そうなんですか? そんなに世界によって違うんですか?」
「そうよ。だって、あなたのガンみたいなものはこっちにはないのよ!」
「えっ じゃなんで戦うんですか?」と驚いた声をあげた。
「似たものでブラスターガンとかレーザーガンはあるけど、やっぱり剣よね!」とルイーズが自信満々に言うと、
「剣?ですか? ここでは剣なんかで戦ったらすぐにマシンガンでやられちゃいますよ!!」
「あんた、馬鹿にしているわね!? 私らが着てるこの鎧はバトルアーマーって言うんだけど、これすごいのよ〜 まずはそんな実弾の弾とかは弾くし、高熱でも体温調節をしてくれるから大丈夫だし、ここでは必要ないとは思うけど放射能もガードするのよ!」
「そうなんですか?? 僕はてっきりコスプレの一種なのかと思ってました。」と言うと、3人が吹き出したのだった。
「まあね〜 知らない人が見るとそう見えるかも知れないわね〜 でも、かっこいいでしょ? というかセクシーでしょ!??」
「そうですね・・・鎧なのにすごく綺麗に見えますよ!でも重くて着づらくないんですか??」
「いつも着てるから慣れたってことかな。」
「でも、その実弾じゃないレーザーガンとかがあるのに、なんで剣なんかが必要なんですか?」
ルイーズが、自分のレーザーハンドガンを取り出して見せながら、「これが、レーザーガンよ。このレーザーがあたるとアーマー無しだとまず生きてないわね。」
ダニエルは運転しながら、横目でそのガンを見ながら、
「それ、すっごいですね!カッコいい!初めて見ました!」
「でしょ〜」
「でも、このレーザーでもアーマーがあると致命傷にはならないのよ。これで弱らせて剣で仕留めるっていうことね。」
「へえー そうなんですね! あなた達はその剣とやらは持ってるんですか?」
「もちろんよ!」と言いながら、イザベラ、ルイーズはコンパクトタイプのアックスを取り出した。
「これは小型だけど、私らはアックスが好きなのよ! シノは忍者の刀よ。」
「へえ、シノさんはニンジャなんですか?」
「忍者の遺伝子を継ぐ者なのです。だから戦い方も忍者に似てるんです。」
「じゃ、こっちの兵力とあなた達の兵力じゃどっちが強いんですかね?」
「私達に決まってるでしょ!! だって、これは単なる武器で、他にもロボット達があるのよ。」
「ロボット??ですか・・・」
「あら、知らないの? 人型の兵器よ。人間みたいに戦ったり、レーザーキャノンという物凄く強力なレーザー砲を積んでいたりするのよ。」
「そうそう、つい最近、あなた達の仲間が私らの世界に入ってきたから。そのロボット数体でやっつけたわよ。戦車とか装甲車とかたくさんあったけど。エイブラムスとか言ったかな・・・」
「そ そうなんですか・・・す すごいですね・・・エイブラムスを!?」
「でしょ〜」
「でも、この世界なら、私らはブラスターマシンガンとレーザーライフルとかだけで十分戦えるんじゃない?どお?みんな?」
「ええ、そんな気がするわね。」
「この私らの剣は特殊で斬鉄剣なのよ。」
「斬鉄剣とは・・・鉄を斬れるってことですか?」
「そう、そう、そう言うこと!」
「なんとなく、私らの世界わかったかな??」
「いやーまだ全然ですが、いいところなんですか?」
「住む場所にもよるけど、私らがいるところはいいとこよ!」
「それは羨ましいです!僕らの世界はいつも戦争ですよ。生まれた時から・・・」
「そうなのね? 私たちはその悪の根源のミュータントとかいう奴らを探りに来たんですよ。知ってますか?」
「もちろん、知ってますよ。だからベネチアに向かっているんです。でも、どこにいるのか?がわからないんです。」
「そのミュータントってどんな能力があるわけ??」
「そうですね、親玉の父親が一番凄くて、かなりの高齢なのですが、まずは、人を洗脳してテレパシーのように操れる超能力があるんです。あとは人によってはサイコキネシスがあるとか?いやー自然を操れるとか?言われていますね。その妻の母親に関しては、予知夢を見るとか・・・それで、その母親が見る将来に合わせて父親が3人の息子達をコントロールして世界を牛耳っているんです。で、その3人の息子達も人前には出ずに操り人形達を介して世界を動かしているんです。マインドコントロールと金でですね。」
「なるほどね〜 私らの世界には金っていうものがないに等しいから、金でコントロールさえるっていうのがよくわからないんだけど、まあ、ここはそういう世界ってことね。じゃ、詰まるところは、その父親っていうやつをやっちゃえばいいわけね!?」
「突き詰めるとそうなりますね。でも、それが不可能なんです。」
「なんで??」
「だって、居場所がわからないのにどうやってやるんですか??」
「なるほどね。わかったわ。私たちのミッションはその父親を探すってことなのね!」とシノがまとめた。
「そうなりますが、ただ、怖いのがマインドコントロールを掛けてきますから、敵であってもコントロールされてしまうってことなんですよ!」
「なるほど!そういうことね!やっとわかったわ じゃマインドコントロールを避ける方法が必須なのね・・・」とシノも首を傾げている。