40:パワレルワールドのゲート
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason3ー余燼よじんが燻る編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
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3機のEBSはブラジル沿岸に近いて速度を弱めた。そしてベレン上空を通過し、カラジャス手前でホバリング中である。
「やっぱり、あの攻撃であの一帯は焼け野原状態になったのね〜 緑のジャングルに黒こげだから目立つわね」とイザベラが呟いた。
「衛星がとらえたように、やっぱり格納庫があった付近に掘り起こしみたいなところがあるわね!?」とルイーズがスコープを見ながら気がついた。
「私一度偵察に行っているから、行き方がわかるので付いてきてください!」とシノが先導した。
3人は目的地から外れて1マイルぐらい距離を取った場所に着陸した。ステルスモードにしてEBSを隠し、日暮前にフルアームドにてシノが先導し向かっている。ちょっとした高台から格納庫付近を見渡せる場所に着き、シノはビノキュラスで確認していた。
「やっぱり、向こうの世界からまた来ている気配がありますね!」異世界へのゲートがある場所が露出していますよ!見ます?」と言ってビノキュラスを他の2人にも回した。
「なるほどね〜 日が暮れたら私らもステルスモードにして近くに行ってみよう!」とイザベラが言い、乗り込んで確認することにした。
そして深夜となり、シノの忍びの術を見習いながら3人とも音を立てずにゆっくりと格納庫跡に近づいていった。人気がなく真っ暗なため暗視モードで爆破跡に入ってみるとやはりすでに異世界へのゲートが掘り出されて露出しておりうっすらと歪んだ空間が見えていた。
「やっぱり、奴らまたこっちに来るつもりだね!」とまいった表情でイザベラが言うと、「ねえ、じゃ私らも向こうに行ってみない!?」とルイーズが言った。
「でも、何かあったらまたジュリアたちに迷惑かけちゃうわよ!この前みたいに。」
「少し覗いてみてすぐ戻ってくればいいんじゃない!? あいつらもここを行き来しているわけだし、こっちから行っても大丈夫でしょ!?」
「夜だから、向こうも守備が手薄かも知れないしね・・・」と悩んでいる。
するとシノも「向こうの状況を探るのは必要だとは思いますけど・・・向こう側に見張りがいたら厄介ですね。ステルスモードで入ってみましょうか?」とルイーズをバックアップした。
「そう、冷静なあんたが言うんだったら・・・でも、ここを通ると何かしらのショックがあるかもよ。」
「姉貴!なんか柄じゃないよ!そんな心配してもしょうがないよ。」
「・・・わかったよ。じゃステルスモードにして侵入してみようか!向こう側に入って何かあったらみんなバックアップしてよね!」と意見がまとまったのだ。
そして3人が一緒に空間が乱れているその異世界へのゲートに近づき、手を繋ぎながら同時に入って行ったのだった。
すると、空間が歪み眩暈がするような時間の経過を感じたのだが、若干意識が朦朧となりながらも向こう側の世界に到達したようだ。やはりエンハンストの彼女らは初めての異世界越えであるにも関わらず、あまり時空変化のショックを感じなかったようである。
「ちょっと クラっとしたわね!?みんな大丈夫? 見張りは運良くいなくて良かったわ!」とルイーズが小声で言うと、
「大丈夫よ! ねえ、見て! あれ凄くない!!見てよ! 戦争兵器があそこまで並んでいるわよ!」とルイーズが指を差した。
彼女たちの前には米軍と思われる戦車、装甲車、ヘリコプター類がこの巨大な倉庫と思われる中に所狭しと配置されていたのであった。
「あいつら、これでまた私たちの世界を攻めようって魂胆なのかしら?やばいわね!!」とイザベラが焦っている。
シノは「いや、でも、ここは何かしらの倉庫なんじゃないのかしら?」と逆に冷静であった。
「しかし、ステルスモードがアクティブのままで良かったわ。このまま忍んで人気があるところに行って情報収集をしてみましょう!」と2人を先導した。
「そうね!わかったわ。」と言い3人はまた音を立てずに明かりが見える方向へとゆっくりと進んで行った。
するとテロリストを思われる輩の休息室が見えてきた。男どもがたむろって酒を飲んでいる。
「しかし、いつ向こう側に突入するんだろ?? この前のチームは向こう側の人間にコテンパにやられたらしいぜ!なんか聞くところによるとロボット人間みたいなやつだったとか。俺らより進んでるみたいな話だぜ。」と1人の髭面の男がウイスキーを片手に足を椅子に投げ出して話している。
「こっちには米軍から流れてきた装備があるのに、それが役に立たねえってひでえ話だよな! 前のチームは向こう側の世界の鉄鉱石を取ってこっちに運んできてたらしいんだけど、その山も潰されたから、俺たちはまずその復興がお仕事らしいぜ。」ともう1人がジャーキーを食いながら言っている。
するともう1人も「そのあとは、金山を探せ!ってことになるらしいぜ!上層部のお偉さんが言うには、カラジャスの奥に金山があるってことだぜ!」
「しかし、俺ら傭兵なのに金鉱探しとはな・・・」
「それも、ああ言うことがあってからは命がけだぜ!」
「おっ、それと、脱走して向こうに住み着いた奴らがいたらしくて、テロリストとか言いながら身代金目当ての人攫いなんかやってたらしいんだが、そいつらも向こう側の奴らにやられてくたばったらしいぜ。」
「俺は、向こう側に住みたいとは全くもって思わないが、ロボットだらけで人間てものがあまりいないようだぜ。」と言うような会話が聞こえてきたのだ。
さらに暗い廊下を進んでいくと作戦室らしき部屋が見えてきた。
イザベラがドアノブをゆっくりと回してみると施錠がなく開いていた。部屋の中は人気はなく机に椅子が並べられており、正面ボードには作戦を物語るマップが貼られていた。
「これすごいわね! ここの世界地図じゃない!」とルイーズが小声で言うと、
シノが「へえ!? この世界は4つに分かれているみたいよ! なになに・・・
ソビエト連邦にドイツ第三帝国、そして大日本帝国にパンアメリカ合衆国ですって!?」
「これ、日本が帝国っていうのが驚きね!」とルイーズもじっくりと覗き込むように見ていた。
すると廊下からこちらに向かって近づいてくる複数の声が聞こえて来た。
3人はステルスモードのまま気配を消し壁側で息を潜めていると、ドアノブが回る音が聞こえた。
「早く異世界から鉄鉱石を採集して売り捌かないと資金が不足するぞ! このままだとジャングルの中の金山まで辿り着くのは至難の業じゃないのか?」
「それはわかっているのですが、前回のやられ方が酷かったので、ようやく作業に入れるように足場を再建できた状況なのです。今 この状態で再度襲撃されたらひとたまりもありません。」
「しかし、その襲撃してきた敵は本当にロボットだったのか?我々の米軍から奪った兵器が全く効かなかったとレポートにはあるが・・・」
「そうです。飛行するロボット軍団でした。強力なレーザー兵器を装備していて、我々の陸上兵器は歯が立たずに一瞬でやられてしまいました。あれがいる限り鉱山を再開するのはとても危険だと思います。」
「しかし、今や世界は4つの帝国に分断されていて、その帝国をミュータント達が牛耳っているのだから、我々自由連合軍がテロリストと呼ばれてもどうにか対処しないと人々は帝国の圧政に虐げられたままになるぞ。こんな数人のミュータント達だけが巨万の富を独占する世界は間違っている!こんな貧困の世界を我々がどうにかしないと!!」と司令官らしき人間が拳を振りながら怒り狂っていた。
「閣下!私もそれはどうにかしたいと思っております。しかし・・・」
『なるほど、この人達はいい奴らなんだな。ということは、彼らをこちら側に引き込めばこちらの被害はなくなるのかも!』と彼らの話を聞いてシノが咄嗟に分析した。それを察したイザベラ・ルイーズも同じ考えのようで2人は静かにその軍人2人に近づいて行った。
そして、シノはステルスモードをオフにし姿を晒した。それに驚いて2人は武器を取ろうとした瞬間、イザベラ・ルイーズも姿を晒してナイフを2人にあてた。
するとその司令官が、「お前らは一体何者だ?」と叫んだ。
「そこの異世界のゲートってとこから入ってきたんだよ。」とイザベラが言うと、シノが続けて、「私たちの世界でテロ行為をする輩がいて、それを辿ってきたらここに辿り着きました。前回ここがそのテロリストの拠点だと思って叩いたんですが、今の話を聞く限りだとあなた達は悪者ではなさそうですね!?」と冷静に話しかけた。
「君たちが私たちの軍を破壊したのか? 同志が死んでいったんだぞ!」
「元はと言えばあんたらが私達をさらって身代金を取ろうとしたんじゃない!どっちが卑劣なのよ!!」とルイーズが叫んだ。