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37:2.5次元のプリンセス・ルージュ

この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。


このエピソードからはSeason3ー余燼(よじん)が燻る編ーのスタートです。

実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)

そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。


エッセイもその他カテゴリーのエッセイにて投稿中です!

短編集も始めました!

幻影(短編集1)を完結済みでアップしています。

続いて幻影(短編集2)はこの物語のスピンアウトになりますので是非チェックお願い致します!

「プリンセス・ルージュが来るんだって??」

「そうらしいぜ! でもアニメなのにどうやってコンサートやるんだろうな?」

という彼女を知っているファンの会話である。


実際アニメのヒロイン“プリンセス・ルージュ”ことサーシャはステージの上で歌うのだが、ホログラム装置を着用してアニメ化するのである。今回の衣装もサーシャが気合を入れて作った自作のドレスのようだ。まるで2.5次元のイベントそのものである。


アンドレイとサーシャがドローンにてロシアからイベントの2日前に到着した。そしていつもの配信担当のクルー達も少し遅れて到着し早速コンサートホールでセッティングを始めている。サポーターのクラブ・ルージュはバスでコンボイを組んでロシアから前日に着く予定である。途中スロバキアを経由するのでそこで交流をかねて1泊するのだという。


そして、ソフィアとジュリア達がサーシャとアンドレイを迎えている。

「サーシャ、よく来てくれたわね!忙しいところ有難うね!コンサートとても楽しみよ!」とハグした。


「ソフィア、ジュリア有難う御座います!こんな素晴らしいイベントを組んでくれまして!クラブ・ルージュも後から来ますわよ。今回のサポーターは200人ぐらい来てくれました!コンサートはクルーがリアルタイムで配信してくれるからPRにもなりますわ。そして今回のドレスは私が気合を入れて作りましたのよ!」ととても嬉しそうである。

「僕が彼女に張り付いて警護をしているから心配しないでいいよ。」とアンドレイも珍しく完全武装であった。事前にジュリアからテロ組織の詳細を聞いていたのだった。


「今回の滞在は私達の部屋の並びにある迎賓室を2人で使ってね。」と言いソフィアが案内した。

「へえー 素晴らしい眺めですこと! 海ってこんなに綺麗だったのですね!お兄様!」

「そう、だから、言っただろ!」とアンドレイは前回ここを訪れた時の感想を彼女に話していたのである。


「うちもここに部屋を持ちましょうよ! スロバキア王室もヴィラを持っていると言っていましたよね?」

「いいと思うよ!国政で疲れたらエスケープ先があるってことは気分がリセットできるしね!何より、昔の仲間にも会えるから気持ちも落ち着くよね! 早速ソフィアに相談しようよ!」とアンドレイもノリノリである。


「私もこうやってお兄様と2人だけで過ごせるのは、最近あまりなかったじゃないですか?なんか昔に戻ったような気分になって気持ちが安らぎますわ。」

「そうそう、少し寛いだら、コンサートホールを見にこうか?エンジェルステージって言うらしいよ。真っ白い空間でサーシャがステージで歌ったらものすごく映えると思うよ。」

「わかりました。私、本当に楽しみですわ!」


ガーキンのエントランスで警備主任のリンダがガルシアと話している。

「ねえ、ガルシア、今回のイベントで何かが起こるとしたら何が起こるのかしら?」

「やっぱりジュリア達が気にしているように、あのテロ組織の残党が何か騒ぎを起こすってことじゃないのかな?」

「でも、セキュリティチェックで金属探知機も入れたし、武器類は持ち込めないはずなんだけど・・・」


「まあな。でも勝負は明日クリスマスイブのコンサートだろ!何かがあるとしたら国賓も集うホールに間違いないと思うぜ!」

「じゃ、ガルシア達も当日はフルアームドでホールにいて欲しいわ。サーシャ姫のコンサートも聴けるからいいでしょ!?」

「わかったよ。他の奴らにも伝えておくよ。」


こちらは、イザベラ・ルイーズ、シノ達の会話である。

「やっと明日だね!サーシャ姫って私らは直接会ったことないけど、噂では物凄いファンがいるってことよ。だって彼女があの大国ロシアの政治を行なっているってことだから凄くない?女性として尊敬するわ!まあ、それってトップシークレットみたいだから言えないけどね。ロシアの民衆はサーシャ姫が演じているプリンセス・ルージュが自分たちの国の女帝だと信じているらしいから凄い話よね!まるでアニメの世界ね!でもそれが現実的になってしまうこの世界って、私は遊びがあって面白いと思っているわ。」とイザベラがいつになく真面目に持論を述べると、ルイーズが「私もイザベラとおんなじ意見よ。だって政治がアニメの世界の中で行われるってアホっぽくてイケてるじゃない!」と笑いながら言っていた。


「実は、私、この世界に来てからずっと思っていたんですが、この世界って全体的にアニメぽいですよね!?そう思いません?? だってわかりやすい人格の人間だけというのか・・・なんか私たちの教科書で出てきたような病んでいる人とか複雑な人格の人にはいまだ会ったことがないと思いません?」とシノが俯瞰して観察した1つの真実を述べている。


「確かにそうよね! というかアニメというよりゲームなのかな?」とルイーズもシノに賛同しているようである。

「まあ、だから素直にこの世界のことが楽しめるのかもよ! とにかく、ジュリアさんが心配しているように悪いことが怒らないといいわね!」とルイーズが言うと、

「私たちもジュリアさんに言ってそのコンサートの警備に加わりましょうよ!

だって、私たちいまだにお客様扱いでここでは何にもお仕事してなくていい暮らししているんですよ。申し訳なくて・・・」とシノが提案した。


「そうね、そういえばそうよね!このまま何もしないでずっといると他の人にも悪いわよね。私らもリンダやハナみたいに警備に加わろか!?」とイザベラも賛同している。

「じゃ、早速ジュリアさんに言いに行きましょう!」とシノが言ってジュリアを探しに行った。


そして今ジュリアに直談判しているところだ。

「わかったわ。そういう気持ちになってくれたのなら有り難く協力してもらうわ。じゃ明日から警備に加わってね! ここに住むことにしてくれて嬉しいわ。でも、行きたくなったらいつでも冒険に行っていいのよ!私だってそうするから。とりあえず、ガルシアも年末年始は忙しいから、年明けにあなた達の正式な住居を造ってもらうようにお願いするわね。コンサートの時なフルアームドでホールを警備して欲しいわ。」

「わかりました、隊長!! なんかここで役に立てると思うと楽しくなってきましたよ〜!」


スロバキアヴィラ・パビリオンでは、

「ここは本当に素晴らしいヴューですね!」と始めて海を見るエヴァが言った。

今回は一緒に宿泊することになったクララも

「私も初めて見ました。感激しますね!」と目を輝かせている。


「ソフィアさんたちに頼んで一番いいヴューの場所にこのヴィラを造ってもらったんだ。両国の親交の証にね。喜んでもらえてよかったよ。そう言えば、クララさん、店を出すんだったらここでは2カ所あって、1つはあの浮き輪みたいな中にマーケットになっている区画があってそこにデリカテッセンカフェとして出すか?あのツーリスト用の巨大ガーキンの中にレストランぽく出すか?どっちかだね。この後3人で視察に行ってみる?」と提案した。


エヴァも「いいですね!ランチを食べながら行きましょうよ!」とほぼ城の外に出たことがないエヴァは今回の旅行にものすごく興奮しているのだ。

「じゃ、まずは浮き輪内を回ってから、ガーキンに向かってその中で食事をしようか!」ということ3人で出かけることになった。


そうそう、この内部は全て武器類は持ち込み禁止なのである。マルクの武器がないとしても、やはりこの3人のヨーロッパ中世風の衣装は自然に目立ってしまう。優雅で地位が上ということをあたかもアピールしているかのようであった。まず3人はマーケットや様々なデリカテッセンを見て回って楽しんでいるようだ。


「このマーケット、意外と色々なエリアの特産物が揃っているんですね。スロバキアでは手に入らないものも多いですよ。それとナチュラルな空間で活気があっていいですね!」とクララが言った。


「色々な商人が行き交う中継地点になっているから、アフリカやアラビアからも物が入ってきているみたいだね。そもそもここは住民用にそういった役割で作ったと言ってたよ。」


「でもお客さんもここの住人だけじゃないんですね!?旅行者風の人たちも多く見受けられますよ。」とエヴァもこの規模感に驚いているようである。3人はメディカルエリアなど他の施設も見学しながら浮き輪内を1周し、次は中心に聳えている巨大ガーキン内に入って行った。


「ここもまた一段と凄いですね!まさに絢爛緞子と言った表現がぴったりのゴージャスな空間ですわね!」とクララが目を輝かせて感動している。

「聞くところによると、ジュリアさんが世界1周をした時にシンガポールの海上都市に泊まって体験したものがベースになっているらしいよ。」とマルクが説明した。


「これじゃ、お金持ちの殿方達は病みつきになってしまうんじゃないでしょうか?スタッフの女性達もゴージャスな方々ばかりじゃないですか!?」と経験が少ないエヴァでさえもこの空間の趣旨を理解したようである。


クララも「しかし、一度しかお会いしていませんがジュリアさんって不思議な方ですよね!?なんか掴みどころがないというか、何かを超越しているというか・・・ソフィアさんみたいに人懐っこくはないじゃないでか?だからわかりにくいのかもしれませんが・・・」


「そう思うかもしれないけど、実際僕も最初の印象はそうだったけど、一度戦場で見かけると印象がガラリと変わると思うよ。みんなも言っているけど本当に剣姫なんだ。戦場の女神とでも言った方がいいかもしれないな。あの戦場の張り詰めた恐怖の空気の中で凛とした美しさが敵を圧倒するというか、戦場をジュリアさんの美しさで圧巻するんだよ。まさに光り輝く我々の守護神のような存在なんだよ。それを身を以て経験してから、通常のジュリアさんを見るとそのギャップが心地よいというか、神の素顔に触れられる安心感というのか・・・こればかりは経験しないとわからないのかもね。そうそう、つまりジュリアさんがいるだけで我々も勝てる気になるんだよ。だから戦士の中でも大ファンが多いんだよ。」


「なるほど、なんとなくわかりましたわ。単に女性だとか思っちゃいけないっていうことが伝わります。」とクララが言うと、

マルクも「簡単に言うとそう言うことかもしれないね!」と言って、逆にクララの方がよくまとめられたという風に一本取られたという表情になった。

「そうなんですね。私は一瞬しかお会いしていないのでよくわからないのですが、今度そういう目で観察してみますね。」とエヴァも言った。


「それはそうと、このビルの最上階の下のフロアが全てコンサートホールになっていて、そこでプリンセス・ルージュのコンサートがあるんだよ。」

「それは楽しみですね! ユーラシアからもファンクラブが来ていて満席だって話ですね。オンエアもあるとか。」と意外とエヴァも詳しいのである。


「うちの民の中でもファンが多いから、結構ここに来ているかもしれないね。」と言っている矢先に声を掛けてきたものがいる。

「いやーマルク殿下!いらっしゃっていたんですね!ファンクラブ・スロバキアのメンバーでコンサートを見に来ているんですよ!うちには海がないから、たまにこういったところに来るのもいいものですね!では、失礼します!」と国民の1人だった。


マルクは彼の嬉しそうな表情を見て、「そうか、ここに国民用の保養所的な施設を作ってもいいのかも!?」と感じたのであった。

「じゃ、良さそうなカフェを探して昼でも食べようか!? 昼はヒデも一緒に食べる予定なんだ。」


ついにコンサート当日になった。16時からの開演で18時には終わる予定だ。運営側としてはその余韻の中でディナーはこのガーキン内で取ってもらいたいということのようだ。


ジュリアを筆頭にセキュリティスタッフはフルアームドで緊張した面持ちで各持ち場を監視している。

ジュリアはホール全体を見渡せる最後部に位置している。ソフィアはステージ裏でPAも担当しイメルダと一緒の監視だ。ガルシア達3人は会場の観客席を担当し、なんと海賊チームも一般客に紛れて覆面セキュリティスタッフと化していた。


リンダとハナは入口ドア2カ所を見ている。そこにイザベラ・ルイーズ、シノも加わり、イザベラ・ルイーズは両側面、そしてシノは2階VIP席の担当だ。今回のVIPはスロバキア王室のため、ジュリアも全体を見渡した後にここに加わる予定のようである。


さて、プリンセス・ルージュことサーシャは今バックステージでスタッフと一緒に準備中なのだ。サーシャの手作りピンクドレスに全身をアニメ化するモジュールを装着し顔を含めて2.5次元の見え方を確認中なのだ。今回は撮影した映像をアニメ加工して放映するという手段が使えないため、サーシャ自身がホログラムを使用し自ら2.5次元になる必要があるのだ。最終的に動きも関係するため踊ってみたり、360度回転したりしてホロ機能の確認も済んだ。


「ご来場の皆様!ついに待ちに待った『プリンセス・ルージュコンサート』が始まります!」とクラブ・ルージュの副会長であるアナスターシャの舞台から挨拶があった。「今回はこのオフショア・シティ初のコンサートとして、我らがアイドルプリンセス・ルージュが皆様のために初めて歌を披露致します。ようこそ、ユーラシアのファンの皆さん!オフショア・シティの皆さん!」すると会場からものすごい歓声があがった。「いつもサポート有難うございます!ファンクラブを代表して御礼申し上げます!そして、今回のこのコンサートがオンエアにて世界を飛び回ることになります。では、そろそろ始まりです!皆さん、大きな拍手でお迎えください!!」と言う挨拶の後に

真っ白なステージにスモークが立ち込めて真ん中が開き下からプリンセス・ルージュが上がってきたのだった。観客総員皆いきなり立ち上がって拍手歓声の嵐である。


「しかし、本当に立体的なアニメみたいね!驚いたわ!」とVIPルームに入っていたジュリアがシノに言った。「これが2.5次元って言うやつなんですね!」シノも驚いているようだ。「しかし、この観客の皆さんの熱狂ぶりには驚きますね!私実際お会いしたことがないので、本当の姿はわかりませんが、私にもとても『かわいい』ってことはわかります。これがこの世界のアイドルっていうものなんですね!」と未来人も新たな境地に達したようである。


フルアームドのセキュリティチームもルージュに見惚れながらも周りを警戒しているのだが、今のところ怪しい動きは見当たらない。

ルージュお得意のノリがあるキュートでセクシーな舞台で盛り上げて歌って踊っての初の2.5次元コンサートは無終了した。そして観客の皆さんは満足そうな表情で熱狂の渦に巻かれながら退出していった。セキュリティーチームも最後尾から観客全員を追い出して、ほっとした表情である。


「ついに終わったわね!みんな有難う!何事もなくて少し拍子抜けはしたけど、ないに越したことはないから本当に良かったわ。ただ、まだ観光客の皆さんがここにいる間は気が抜けないから引き続き用心しておいてね!」とチームを集めてお礼を言った。


海賊チームも「いやー、俺らも楽しめたよ!あんなものがあるんだな!俺らはロリコンじゃねえからそこまで熱狂的にはなれねえけど、まあ、面白かったよ!」という感想である。


そしてバックステージでは、ソフィアとイメルダそしてマネージャーのアンドレイに守られたサーシャは、すでに人目につかないようにガーキンを出ていた。

「サーシャ!すごかったわ!後ろでしか見られなかったけど、観客の皆さんは総立ちで大興奮だったわよ!大成功ね!!また今度もヨロシクね!」とイメルダが褒めている。


アンドレイも「長い時間準備した甲斐があったね、サーシャ!これでユーラシア以外のエリアのファンができると大成功だよね!」と。

「私もものすごく楽しかったですわ!コンサートって初めてで実はどうなるか不安だったのですけど無事に皆さんも私の歌を楽しんでくださったようでやって良かったと思っていますわ。」と汗だくのサーシャもやり切った表情であった。


この世界はなぜか音楽というものが一般的な存在ではないのである。古代ローマ時代のような演劇の1つのようにイベント性が高いものとなっているのだ。だから不思議とBGMといったものが存在しない世界になっているのだ。そして著作権的な発想もないのである。そんな中、サーシャが歌った歌は自作の歌であり言ってみればシンガーソングライターという役割であった。それがPVのようにアフリカ・アラブエリアに向けて発信された。反応はどうであったのだろうか?


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