11:キャンプで地球を救う話?
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
実はこのシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズン1が終わった後に公表したいと思います。
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
今日も一日中試乗や兵器テストをしていたので、すでにメンバー全員はクタクタになっていたのだが…
そこでソフィアが楽しいイベントを提案した。
「さっき田辺さんから聞いたんだけど、この島後島の北側に自然の温泉があるらしいのよ!
ナビで場所も教わったわ。なんと水質はナトリウムー炭酸水素塩水とかでお肌がスベスベになる美白の温泉らしいの。女子チームにはいいわよねー! でも男子チームも疲れが取れるからいいんじゃない!? ただ移動手段はないんだけど、バトルスーツを着て歩けばそんなに時間がかからないんじゃないかしら?」
「どれどれ見せて!」とジュリアはソフィアが見ているナビを奪って、
「なるほど、ちょうどここと反対にあるのね。多分バトルスーツで早足で歩けば時速20kmは出るから、距離はどうかなー ここから15kmぐらいなのかなー 1時間もかからないで着くんじゃないかしら?」と意外にも美肌に敏感なようである。
ガルシアも、「温泉っていいよなー!オレあんまり入ったことないから賛成!それと日本酒も持って行って、みんなで湯船で一杯やろうぜ!」と彼もノリノリであった。
サーシャが、「皆さん、それはそうと・・・水着は持ってきていますか?私は持っていますけど。」とまさか裸で入らないでしょ!と言わんばかりに確認すると。
ソフィアが、「あーごめん、ごめん、サーシャとアンドレイは温泉だめだったかな?硫黄はまずいのかな? 水着なら海の訓練もメニューにあったからみんな何かしら持ってきてるはずよ!」
アンドレイが、「いや、温泉でも僕らの体は問題ないはず。でも何かあってもソフィアが調整できるでしょ!?」と早くも甘え顔をしている
イメルダが、「いいと思うんだけど・・・日が暮れる前には戻れないわよ!」
ガルシアが、「オレがもしものためにテント2つ持ってきてるから、今晩は男チームと女チームで仲良くキャンプファイアーしようぜ!キャンプ用のクッキングツールもあるし食材はここから持っていこうや!」と提案すると・・・
ジュリアが、「へー楽しそう!!この前のキャンプも楽しかったわよね!ガルシアはキャンプの達人だからいつもいつも準備いいわね!」
という具合で疲れてはいるが、全員賛成意見となり温泉遠征の準備を始めたのだった。
全員バトルスーツを身につけ一応訓練の続きというイメージで武器も装着した。そしてキャンプグッズもみんなで手分けして背負った。
ソフィアが、「島の中心を走る国道を行けば、偵察ロボットには遭遇しないから大丈夫よ。じゃ本番の行軍というイメージで出発しましょう!」と移動開始した。
ジュリアが予想した通り50分弱歩いてその温泉に到着した。
それは森の中の少し開けた場所にあった。温泉の成分でその周りには木々が育たないようである。川と合流した淀みに温泉の湧き出る場所があり、そのため温度が適温になっているようだ。
彼らはバトルツースを脱ぎ、大型タープを張った。続いて3、4人用のテントを両脇に2つ設営した。
そして水着を着て、まずは美肌を求める女性陣が温泉に浸かることにして、その間ガルシアとアンドレイが火を起こし夕食の準備を始めている。そして煮立てている間に2人も日本酒を持って彼女らに仲間入りした。
ガルシアが、「やっぱり、温泉っていいなー なぜかホッとするよなー!」
ソフィアも「スペインでは習慣がないからね〜 でも温泉で飲む酒って最高ね!」と姉御も上機嫌だ。
ジュリアもジュリアで「温泉に入りながら、星空を見ているとすごく幸せな気分になるわ!」とヒデがよく星空を見て感激していたのを思い出している様子であった。
サーシャが、「私たちの体でも、なんかいい感じがしますわ。精神的に気分転換になっていいですわね。」
イメルダも「これがチームっていうやつね!意外とまた二人の時と違っていいものね!私達は今までほとんど二人で行動していたからね。」とシミジミと言った。
ガルシアも、「まあ、仲間がいるっていいもんだよな。しかし帝国を潰せれば、本当に平和な世界が来るんだろうか?」と、風貌に似合わず酔っているのにいきなり真面目なことを言い出したのだ。
するとソフィアもそれに反応した。「ヨーロッパ連合も好きで戦闘状態になっているわけじゃないだろうし、日本はそもそも中立だしね。一刻も早く戦争が終わって早く普通の生活に戻って欲しいわ。」
アンドレイが、「みんな、真面目な話で盛り上がっているとこ悪いんだが、僕はもうのぼせそうだよ。そろそろ食事にしないか?」とタイミング悪く提案した。確かにサーシャもちょっと限界という顔をしている。サイボーグはやはり温泉に弱いのだろうか?
ガルシアが用意した鍋料理がそろそろ出来上がる頃合いだ。リゾットのようなもので、お米、魚、山草、大豆食品などがごちゃ混ぜになっていたがうまそうに見える。
アンドレイが、「さすが、ガルシア!いい匂いがするよ!僕がみんなの分を取るね。」と言って持ってきたキャンプ用のチタンの取り皿に大盛りで盛っていった。
確かに匂いもよく味も男料理という感じでシンプルではあるがうまかった。
まあ、キャンプの時はこんな簡単な料理が合うのだろう。
すると、サーシャが、「さっきのソフィアさんの話の続きなんですが・・・この戦争が終わると私達兄妹はどうなるんでしょうか?」と少し心配顔でみんなに尋ねた。
ソフィアが、「あなた方兄弟が、日本に居たければ、ずっと居られる永住権をもらうわよ。きっと属代表も喜ぶと思うわ。何かしら役割もあると思うしね。」と笑顔で答えた。
アンドレイも、「僕も日本は面白そうだから、サーシャが良ければ二人で住んでもいいかなとも思ってたんだけど、どうかな?」
「お兄様が、そう言われるのでしたら私もそうしますわ。でもいったい私は日本で何をやったらいいのかしら?」
イメルダも、「私も、いつまでも戦争やってられないから日本に住んでもいいわよ。部屋はもらったから、ソフィア、私ら二人分の永住権もヨロシクね!」
「オレには聞かないんだ? でも、釣りができるところでイメルダと一緒だったらオレはどこでもいいんだけどな!」と言って笑った。
ジュリアは黙っていた。
それに気づいて、アンドレイは恐る恐る聞いてみた。「ジュリアはどうなの?」
代わりにソフィアが、「私達姉妹はそもそも日本のために仕事しているから。まあこのまま継続ね。仲間が多い方が安心だから、みんなも無事この件が片付いたら仲良く日本で過ごしましょうよ!」とサーシャの話は聞かなかった風に幸せそうな表情で答えた。
本当はジュリアとしてはこのミッションが終わったらヒデを迎えに行きたいと思っていたのだが、余計な詮索をされるとややこしい話になっていくので、このソフィアの助け舟が有り難かった。
その代わりにこう答えた。
「実は私、カナダエリアの支局にこの前行ってきたの。その時、エドモントンとハドソン湾に浮かぶチャーチルウォーターベイにある水上都市にも行ってきたのよ。」
アンドレイが興味津々で「で、どうだったの?」
「エドモントンは、カナダエリアの自由主義連合の拠点でいわば首都になると思うわ。そこの市長が今はカナダエリアを管轄してコントロールしているそうなの。ただ軍事力の拠点はユーラシア帝国と対峙しているハドソンベイウィーターシティの市長である総司令が預かっているのよ。攻撃潜水艦を沢山所有していて、絶えず生産もしているわ。そして、その水上都市自体も攻撃用の要塞みたいな物凄い軍事力があって・・・今のところその総司令は対帝国で気持ちが一杯のようだから心配はないと思ったけど、もし帝国が崩れたら・・・」
と、ジュリアが言いかけの途中で、ソフィアが割って入ってきた。「なるほど、ジュリアが言いたいことはわかるわ!その総司令が持っている軍事力が突出していてパワーバランスが崩れるってことよね!」とまとめた。「そうね!それは問題がありそうよね。ガルシアとイメルダは連合軍だから、それに関してなんか聞いてない?」
イメルダが、「カナダに関してはオブラートに包まれている感じなの。私達のヨーロッパ連合にはあまり情報は伝わってこないわね。どうガルシア?」
「そうだなー カナダにはダチがいることは居るんだが・・・確かにあまり聞かないな。ヨーロッパエリアは陸続きだから帝国の攻撃を凌ぐのに精一杯で、そもそも余裕がないんだよな。カナダエリアは食物も資源も豊富だからあっちが連合の正規軍になっているんだと思うぜ。俺らはレジスタンスって扱いなんだよ。」
アンドレイが、「なるほどねー そんなにカナダは潤っているんだね。」
イメルダが冗談で、「あなた、その機密情報を帝国に流しちゃダメよ!」と言ってからかって、アンドレイも笑っていた。
ソフィアが更に続けた。「でも、そのウォーターシティの代表は気になるわ。私達でマークしておくべきね。人間の私欲はいつどうなるかわからないモンだからね。」
ジュリアが、「そもそも彼を尋ねたのは、彼がアトランティスと関係があって王に連絡が繋がるということで行ったのよ。だからアトランティスの王と会話が可能というのなら、悪人ではないとは思うんだけど・・・でも状況が変わって豹変するかどうかってことよね。」
ソフィアが、「これから帝国のバンカーを攻めるのに、細かい戦略を考えなくちゃならないんだけど、1つアイデアが浮かんだわ!可能な限り帝国の戦力を今のカナダ戦線に送って欲しいと思わない!?そうするとバンカー近郊は手薄になるだろうから。多分そのウォーターシティの総司令も帝国をやっつけたいと強く思っているだろうから、この作戦に一役買ってもらうって言うのはいかが?」
と、一瞬耳を疑うような大胆な提案がこの酔った席でリーダーから出されたのだ。
サーシャが、「でも、ソフィアさん、この作成は隠密行動じゃないんですか?」
ソフィアが、「そうよ!だから、私が隠密に行ってこっそり提案するのよ!」と楽しそうにオラオラ顔になっている。そう、ソフィアは諜報ミッションの訓練を受けているプロだったのだ。こんなことは朝飯前の調略になるのであろう。
ジュリアが、「いいわよ!私が連絡先を知っているからアポを取るわ。」続けて、
「それと、ずっと気になっていたんだけど、この私たちのこれからの計画を張本人のアトランティスの王にも事前に話しておくべきだと思うのよ。アトランティスも私たち人間同士でカタをつけるのなら歓迎すると思うの。何かあったらまた来なさいとも言われているし・・・」
アンドレイが、「人間同士ってどういうこと?あいつらは人間じゃないわけ?」と驚き顔で聞いてきた。
ジュリアが、「謁見した時ベールに隠れていてよく見えなかったんだけど、多分、王は人間ではないと思うわ。姿が大きくて人間のシルエットではあったけど人間には見えなかったわ。なんの保証もないけど、そう感じたのよ。」
そして、ソフィアが、この件のまとめに入っていった。
「わかったわ!じゃこの訓練が終わったら仕掛ける前にその準備をしましょう。私がウォーターシティに行って、ジュリアには、もう一度アトランティスに行ってもらいたいの。」
「いいわよ、ソフィア。なぜかずっと気になっているから。」
さらにソフィアが、「じゃ、みんな、役割を決めたわ!ガルシアとイメルダは連合軍の一員だから私と来て欲しいの。だからイメルダのホバージェットも貸してね。そしてアンドレイとサーシャ兄妹は、ジュリアのホバージェットで一緒に行動して欲しいの。何かあった場合協力して対処できるでしょ。どうかしら?」
ジュリアが、「一緒に来てもらうのはいいけど、アトランティスに入るのは私一人だけになるわ。なぜなら王のテレパシーを受信できないと入れないから。」
アンドレイが、「なるほどね。なんか凄く複雑なんだね。選ばれし者ってことかな。まあ詳しくは後で聞くとして、僕ら兄妹は別にそれでもいいよ。」と答えた。
ソフィアが、「じゃ、これで決まったわね!あまり時間はないから、スーパーソニックジェットで途中まで送ってもらえるように手配するわね。」
無人島での温泉キャンプで想定外のこんな真剣な流れになってしまったのだった・・・
「しかし、酒を呑みながらこんなに大真面目に地球を救う話してるのって俺らぐらいだろうな!」とガルシアが笑って言った。そして「みんな〜 オレが作った鍋料理楽しんでくれたかな?」と今夜のクロージングに入っていった。
サーシャが、「これは日本の料理なんでしょうか? 色々な味が適度に混ざっていてとても美味しかったですわ!」
イメルダが、「まあスペインのリゾットと日本の鍋料理をミックスした感じじゃないの?そうでしょ、ガルシア?」
「まあ、そういうことだな。楽しんでくれたなら満足満足! じゃー みんなーそろそろ寝ようぜ!」と巨体のガルシアは酒が回って眠気に襲われてきているようである。
その時ジュリアは、一人でタープの外に広がる綺麗な星空を眺めていたのだが、
男女に分かれてそれぞれテントに入っていった。
余裕がある3人用のテントではあるが、男チーム2人、女性チーム4人のため、
女性チームテントは少々隣と密接した状態となり、ソフィア・ジュリア・イメルダ・サーシャの順で並んでの就寝状態となった。
サーシャが、「皆さん、私、今 とても楽しい気分なんです。サイボーグになってからはずっと一人ぼっちでしたので、皆さんみたいな仲間がいるって凄く温かくて心地がいいのです。実はジュリアさんが兄にご興味があるのでは?と思っていました・・・でも、今日のお話を聞いていたら、その彼氏のことを今でも慕われていて兄に関しては全くご興味がないことを確信できました。えっ この場で言っておきますが、私が兄の彼女っていうわけではありませんよ! あくまでもお目付け役という役割ですのでくれぐれも勘違いはなさらないでくださいね! とにかく私が一番年下なので、これからは妹のように可愛がって頂ければと思います!どうぞよろしくお願い致します!」と甘えた雰囲気で感謝の言葉を贈った。そしてサーシャとジュリアの間にあったわだかまりは、この機会に無くなったように思えた。
イメルダが、「そうね。ジュリアがアンドレイに気があるわけないじゃない!!しかし、あなた、ほんと一番下の妹って感じがするわね〜 今回の合宿で私たちいい関係になれたわね。それって戦場でも一番大切だと思うわ。みんなで支え合って乗り切りましょう!」
ソフィアは、これに対して返答はしなかったのだが、内心『しめしめ、よかったよかった!やっとサーシャのジュリアに対する不信感も取れてきた。』と思っていたのだった。
サーシャの勘違いにより一番迷惑を被ったのはジュリアであったが、そういった細かい事には気にしないのがジュリアのいいところなのだ。そして、全員朝までぐっすりと眠ってしまった。
この彼らの大作戦はどうなるのでしょう?まだまだ続きますよー!
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