25:ポリス第1号
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason3ー余燼が燻る編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
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EBS機内にて、すでにソフィアとガルシアには今回の解決の方法を説明し、ガルシアには、3Dプリンターなど移動できる建築用機材を海賊船に積んで早速カサブランカまで行ってもらうことになった。ガルシアには迷惑か!?と思いきや、逆にある意味マンネリになりつつあった彼の仕事に変化を与えたようである。久々にイベント扱いのように盛り上がっており、イメルダとロレンゾ・エンリケも伴い、気の合う海賊ブライアン、ジョージ、ジェイムズ、マーフィーの男どもも仲良く出発したのだった。
マルクとリンダはカサブランカにてすでにあの旅団と打ち合わせ中であった。この街は廃墟のため、どこに住居を造るか?で只今熱く議論中である。
マルクが、「貴方達にはポリス的な街を実現してもらいたいと思っています。スロバキアからは様々な産物がここを経由してアフリカ大陸に運ばれていっていますが、ご存知途中で山賊なる輩の襲撃に遭っています。屈強の皆さんには、チームを組んで交代にてそのガードについてもらいたいのです。これは冒険者ギルド経由のクエストなので報奨金も出ます。それと、今こちらに向かっているのですが、その担当と一緒に皆さんの住居も建築していきます。もちろん皆さんの住宅なので一緒に造りましょう!そう、ここが皆さんの街になるわけです!!それと、海水を真水に蒸留できる装置もあるので、開墾して作物を作ることも可能になりますよ!」
リンダが、「やあ、みんな!ここまで大変だったろうけど、マルク王子もこれから来るガルシア達もみんないい奴ばかりなんだ。実際私も全く身寄りがいない冒険者だったんだが、彼らに拾ってもらって今は本当に幸せなんだ。ところで、ジュリアさんはどうだった??」と問いかけた。
すると、その長老の息子が、「いやーいい女だったね!強くて綺麗で!まさに夢に見る剣姫って感じだったよ。」とうっとりとした表情で答えた。
「あほ!それはそうだけど、私はジュリアさんの子分だぞ!!」と呆れている。「うちらの国では、彼女は1人の女神なんだよ。ジュリアさんの双子の姉でソフィアさんもいるんだが、2人揃うとまさに我らの創造神なんだ。みんなも神のご加護に感謝しなよ! もしかしたら、少し間違えば、お前達ジュリアさんに皆殺しにされてたかもしれないんだからな。」と敬い方が足りないとばかりに少しお説教をしているようだ。
すると長老が、「リンダさん、そうかもしれませんね! あの方はあの時私たちの対応に悩まれていてご自分の内なる声に従っていたように感じましたが、私達の出方次第では、今頃この世にいなかったような気もします。あのロボットは凄まじいものに見えましたしね。」
「そうだな、あのロボットの凄さはお陰様で見れなかったけど、あれが動くとやばいんだろうな〜とは思ったよ。」と息子が付け加えている。
「ああ彼女のEBSか。あれはすごいぞ!この前はアラブ連合を全部やっつけたんだからな。」
「えっ あのアラブ連合をか!? スッゲーなー 逆らわないでよかったなー」と一人の男が言った。
息子が、ジュリアに剣を振り翳した男に向かって「お前、あの時彼女を切ろうとしたろ!猛反省しておけよ!俺はお前がどうなっても知らねえからな!」と言った。
リンダが、「何!お前!ジュリアさんに向けて剣を振ったのか!? 不届者!!殺されるぞ!!」
「はあ、ついカッとなってやっちまったんだ。でも、すぐに軽くやられたけどな。」と言いながら苦笑いしている。
「じゃ、ジュリア様は剣を抜いていなかったんだな!? それはよかったな!」
「私は、首が飛んで行った奴らを死ぬほど見ているからな。これからは気をつけろよ!」と少し着色した大袈裟な表現で諌めた。
「わかったよ、そう責めないでくれ。これから街作りには精いっぱいやるからよ! 今回は許してくれ!」
と、まあ、この会話を見ているとこの旅団ともいい関係に収まりそうであった。
そして翌日ブライアンの海賊船が建設機器が積載されたボートを牽引しながらかつての港跡に着いた。リンダが出迎える桟橋には、ガルシア、イメルダ、ロレンゾそしてエンリケが現れた。
ガルシアが、「まず、牽引船に乗っている台車を降ろすぞ! そこに工作機械を載せるからな。」と言って自らサクサクと動いている。そして、持ってきたバギーでそれを彼らが決めた居留地まで牽引していった。あとはこの砂漠化した砂地の砂を利用して3Dプリンターで建物パーツを造ることになる。
海上と違って、陸地の場合は水を海から引き込まなければならないのと排泄物を処理するための浄化槽を陸に設置し浄化後地底に流し込むことになるのだ。ガルシアの構想では、まずは小型のセンターハウスを建築し、その設備をハブにし個別居住空間に繋げて行くものになりそうだ。
ガルシア、イメルダ、ロレンゾ、エンリケ、そして海賊4人の計8人が設備と共に彼らの前に現れた。すると、まずマルクとリンダが迎え入れ、長老とその息子もついてきた。
マルクが、「ガルシア、わざわざありがとう! 君たちにはまるでメリットがないのにここまでしてくれて本当に有り難く思っています。」となぜか旅団を代表する形で礼を言った。続いて、長老が「ガルシア様ですね!本当に有り難うございます。皆は感謝しております。まずは、どこから手をつけていけばよろしいでしょうか?」とガルシアの指示を仰いだ。
「よお!宜しくな! こっちが俺の相棒のイメルダ。そして軍時代の友達のロレンゾとエンリケの潜水艦乗りだ。で、こっちはこいつらを運んでくれた海賊さんたちよ!」と建設機器を叩きながら紹介した。
「ありがとうございます! 私はこの旅団の長老のアイーシャと申します。そして・・・」 「俺はマリックだ。宜しく頼む!今回は本当に有り難う!!俺たち自分の家は自分で造るつもりだから、どんどん指示してくれ!」と息子がいつになく積極的な挨拶をした。
「わかった、マリック!じゃーすぐにおっ始めようぜ!男どもを集めてくれ!」とガルシアも何故か嬉しそうな雰囲気であった。
イメルダは、『じゃ、造る方は男連中に任せてと・・・女性と子供も多いから、ここでの生活に何が必要になるか?とヒアリングしてみようかな!?』と思いながら女性達の方へ近づいて行った。女性達はイスラム教の特徴のヒジャブを頭部に巻いている。ということは豚肉は御法度なのであろう。
「ねえ、皆さん、私はイメルダ。スペイン人よ。あなた方はどこから来たの?」と話しかけた。
しばらく無言の時が流れたが、その中のリーダー格のような若い女性が、
「私はアリマです。色々と有難うございます!他のみんなは慣れない事ばかりなので、これからどうなるのか?不安になっているだけなんです。」ということらしい。
どうすればその不安が解けるのか?と思案していたイメルダであったが、彼女が新たに住人を募る際に使用するオフショア・シティのPRムービーがあるのを思い出したのだ。彼女はタブレットのように映像が映せる端末を使い、そのムービーを彼女らに見せた。そして、付け足して、「これは海の上に作った私らの街なんだけど。ここではみんなのためにこの陸地に作ることになるのよ。今男連中がやり始めているでしょ?」と説明したところ、彼女らはやっと『これからどうなるのか?』がイメージできたようで明るい表情に変わっていった。
イメルダは、『そうか、この旅団ではあまり男女間の会話がないのであろうか?』と少し不思議に思ったのだった。まあ、しかしながら、やっと彼女達と会話を交えることができるようになり、リンダも入れて女性だけの空間で彼女達の不安やこれから必要なものをヒアリングしているようだ。