24:ジュリア、EBSで参上!
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason3ー余燼が燻る編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
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すると「おい、お前!ヘルメットを取って顔を見せろ!それがお互い話をする時の礼儀だろ?」とリーダーがいきなり言ってきた。
「失礼!」と言いながらも『礼儀がわかるのか!?』という思いでヘルメットを取った。
すると、奴らの目には、『はあ?女性じゃないか?しかもなんて綺麗なんだ・・・』と映ったのである。
男だとばかり思っていたため、一同驚きを隠せず一瞬沈黙があった。
するとリーダーの後ろを固めていた筋骨隆々な男が、
「なんだ、女じゃねえか!!偉そうにしやがって!コケにされる前にやっちまおうぜ!」と言って前に出てきた。
すると彼に影響され後ろから数名ついてきたのだった。
その男はサーベルを抜いて、「女はおとなしくしてろよ!偉そうにしやがって!」と言いながらジュリアに襲いかかったのだ。
ジュリアは、すかさずファイティングモードとなりそのサーベルをかわし回し蹴りを男の顔面に入れ込んだ。男はそれをもろに食い飛ばされて気絶し倒れた。
「なんだ、こいつ!!やりやがったな!」と言いながら、続いてきていた男3人が揃ってジュリアに切り掛かった。彼女はそれを屈んで綺麗に避けて一人目には腹部にツキを入れ、二人目には右足で前蹴りを腹に入れた。そして3人目にはまたもや綺麗な回し蹴りを入れて3人はすっ飛んで倒れてしまった。キリがないと思ったジュリアはそこでロングソードを抜いてガリオンを近くに呼び寄せて咆哮が轟いた。
「お前ら、死にたいのか?」と叫んだ。
するとリーダーが、やめろ!という仕草をした。
「ワリイワリイ!あいつら血気盛んで。お手柔らかにしてくれ。」と言いながらジュリアに近寄ってきた。武器は持っていない。
「話をするんじゃなかったのか?」と彼を諌めた。
「あまりにも姉ちゃんが綺麗だから、男どもが興奮しちまったんだよ。もうさせねえから、今回は見逃してくれ。」と頼んでいる。
すると後ろから男連中の間を抜けて一人の落ち着いた年配の女性が姿を現した。
黒髪で豪華な髪飾りがあり衣装も立派である。アラブ系の女性で歳の頃は40代後半であろうか?
「失礼致しました。私がここの長老のアイーシャです。若者がご無礼を致しました。」と言いながらリーダーという男の前に出てきたのだった。
『なるほど、この彼女がこの旅団に本当のリーダーなんだな。』と理解した。
「私はジュリアだ。話を聞こう。」と言った。
「話はこの者が言ったことに相違ありません。私達は全部で100人近くいますが、いつくかの親族の集まりで構成されています。住む場所を探して放浪しているところなのです。」
ジュリアの頭にある構想が浮かんだ。
『そうか、この旅団は山賊とは違ってまだ真面目そうだし、ジブラルタルを渡る手前のアフリカ側に彼らの拠点を造らせればいいのでは? ある意味通商路のガード役にもなるし、土地を開墾してもらいながら男達には保安部隊をやって貰えばいいのか!?』であった。
「長老、ちょっとこちらに来て耳を貸してくれないか?」とジュリアが言うと、
「わかりました」と言いジュリアに近づこうとした時、男のリーダーが「母上、気をつけて!」と言った。
ジュリアはすでにロングソードをしまっており、「大丈夫だ!そんなにビビるな!」と男に返した。
そして、ジュリアと長老のヒソヒソ話が始まった。
内容はジュリアが思いついた構想を伝えたのだったが、
すると張り詰めていた長老の顔が揺るいできたのだった。
どうやら話がまとまったようだ。長老は息子であろうそのリーダーの男性と何人かを連れ立って奥に移動し真剣に内容を説明しているようだ。
ジュリアは腕組みをしながらガリオンと待っているのだが、男連中の好奇の視線が降り注いでいた。女性と子供達は怖い者でもみるように隠れて音も立てずに覗き見をしている。
話がまとまったのか、しばらくすると長老が戻ってきた。
「ジュリア様、そのお話を受けさせて頂きます。ありがとうございます!それでは、私達はこれからどうすればよろしいのでしょうか?」と話が前に進むようである。
「長老、では、これからこの先の大西洋の街カサブランカに行ってもらいたい。あそこの港湾部は水没していて街自体もすでに廃墟になっている。ただ、海沿いのため気温はそれほど高温にはなってはいないから普通に居住可能だ。実はこちらに向かっている国の指導者のマルクがいるのでそこで落ち合って欲しいんだ。彼はあなた方に仕事を用意するであろう。つまりあなた方の味方となる者なので何事においても彼の指示に従って欲しい。私はこれから私の街オフショア・シティに戻り、あなた方の住居を作る担当の者を呼んでくる。」
「わかりました!有り難うございます!でも、なんで、こんなにまで貴方様には親切にしていただけるのですか?」
「まあ、そういう気分になったんだ。気持ちが変わらないうちに移動して欲しい。」
そして、その長老は「わかりました!では、カサブランカでまたお会いしましょう!」と言って、旅団に出発準備の指示を出した。
これで、いとも簡単にこの籠城事件は解決したのである。そしてガリオンを再度格納し、ジュリアもワイヤーでコックピットに戻った。旅団が素直に出発準備をしているのを確認してから操縦席に座わり再び稼働させた。
EBSの向きを変えて地上から15mの位置でカスバを見渡しているのだが、『なるほど、これがあいつらが言っていた金持ちってことか!さすが贅を尽くしたような生活が窺えるな。』と見て取った。このオアシスはアラブ系金持ち連中の砂漠の中の無法地帯的別荘となっているようだ。敷地内には椰子の木が繁り豪勢なプールにドラッグを片手に金持ちの中年がセクシーな女性達を侍らせているのが見えた。『なるほど、これがこの世界の縮図なのかな』とも思った。
オフショア・シティでは金につられて女性が集まるという光景を見ることはないので、彼女にはかつて見た風景的に今では逆に新鮮に映るのである。オフショア・シティでは、住人は、いわばお金というものに魅力を感じていないのだ。いや逆かもしれない。そういった連中が集まっているのだ。このカスバのような背徳世界も未だ選択肢の1つとして存在するということで『まあ、いいか。』と今は流すことにした。
彼女はこのカスバの守備隊代表に『クエスト完了』の連絡を入れ無事事態が収束したことを告げた。そして、こちらに向かっているマルクに今後の詳細を説明し、再度オフショア・シティに向けて飛び立って行った。