22:エンジェルホール
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason3ー余燼が燻る編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
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アンドレイは久々に会うイメルダとガルシアに歓迎されていた。
「しかし、アンドレイ、久々だな!俺がこの都市の建築を担当しているんだぜ!驚きだろ?大臣が直々に案内してやるよ!」ということで早速男2人で出て行った。
「しかし、ここは素晴らしいな!なんか理想郷って感じじゃないの!!」
「だろ!住民もいい奴ばかりだぜ!ここに住みたい奴を集めて、ソフィアが面接して色々決めているんだよ。だから、まず、BLANCツインズに忠誠を誓う奴らの集まりとなっているんだよ。だけどお分かりの通り、彼女らは威張るわけでもなく、君主ヅラするわけでもなくいつも住民のためを思って動いているから、住民としては逆に勝手に慕ってしまうってわけさ! それってこういったモナークの理想系だと俺は思うぜ!まるでこの都市の大家さんみたいな感じだよな!」と言って笑った。
「しかし、すごいな!この複雑に一体感がある集合住宅はどうやって造っているんだい?」とアンドレイも都市建設に興味があるようだ。
「色々な種類の定型の住宅用ユニットがあるんだが、それは3Dプリンターで製作できるんだ。で、そのユニットを住人は自分達なりに組み合わせて理想の住空間をプランニングするわけさ。」
「でも、言われてみないとそれがわからないような、なんていうか・・・見た目オーダーメイドのように各々違ったデザインのように見えるんだけどな。」
このレジデンシャルエリアは今では、例えて表現するならばギリシャのサントリーニ島のように街全体が石灰で塗った白い街並みになっており、隣家を繋ぐ階段や小道そしてテラスなども思い思いに作られているため二つとして同じ箇所はないのである。それがアンドレイには既製品を組み合わせて造られたにしては街並みが自然発生的で機械的に造られた印象を全く受けなかったのであった。
「まあ、建築強度的に問題がない場合は関連する隣人との話し合いである程度自由に演出させている部分があるんだ。それがそう言った風に見えるんじゃないかな!? いい街だろ?」
「コンパクトにまとまった近代都市空間って感じがして見た目も楽しそうだよ!ここがレジデンシャルエリアなら、ツーリストエリアってどんな感じなのかな?」
2人はこの居住地区を見た後、中央に浮かぶ巨大なガーキンことツーリストエリアを回っているところだ。「ガルシア、ここも金ピカで夜の街って感じがしてワクワクするね!そうかカジノもあるのか!」とアンドレイの目が輝いていた。
「ああ、金持ち連中はここに泊まるんだけど、お金をドンドン落としてくれるっていう塩梅だぜ! そうそう、コンサートホールを案内しないとな!」と言って、また一度も使用されたことがない大きなホールに向かった。
「これがガーキン最上階のスカイバーの下にあるホールだぜ!」
1フロアーをまるまる使った円形のホールでシートが可動式でボタン1つで何もないフラットな状態からイスが並んだ状態になる仕組みなのだ。今ガルシアがそれを稼働させているところだ。
そして2人はステージに向かって歩いて行った。階段を上がってステージに上ると素晴らしい光景となっていた。全てホワイトで統一されているため、まるで天使のステージのようである。
「すごいな! ここでサーシャがコンサートやるのか? 彼女興奮するな!」
「このエンジェルホールのための柿落としとして宜しく頼むよ! これから年に何回かイベントを入れていこうと思っているからよ。イメルダが担当だから彼女からサーシャに連絡させるわ。」
なるほど、やはり雰囲気通り“エンジェルホール”という名称なのだ。
「やっぱり、エンジェルホールっていうんだね。わかった!写真撮らせてもらうよ。」と言ってアンドレイはサーシャが興奮するイメージを浮かべながら色々な角度から写真を撮っていた。
その晩彼はガルシアの友人2人も含めて男4人でナイトクラブの梯子をして久々に羽目を外して楽しんでいたようだが、ロシアにいるサーシャから急遽連絡が入り残念ながら明日の朝戻ることになってしまったのだ。
出発前に、「ソフィア、ジュリア、色々とありがとう! ここが色々な意味で素晴らしいことが体感できたよ。これからの新生ロシアにも盛り込んだ方がいいヒントを沢山発見できたから君たちの街づくりを参考にさせてもらうよ。今度はサーシャを連れてくるからまた宜しくたのむよ!」と言ってジャイロで発って行った。
ちょうどアンドレイが発った直後である。スロバキア王国のマルクから連絡が入り、ここを経由してアフリカ大陸に拡散されているスロバキアの物産が略奪にあっているとのことであった。幾つもの商隊がその被害にあっており、アフリカ・アトラス山脈の峠で被害に遭ったり、サハラ砂漠で襲われたりと神出鬼没な山賊グループがいるようである。
また、同じグループなのかは不明であるが、ワルザサートの街道沿いにある大規模なカスバもその略奪の対象になっているようだ。このエリアはカスバと言われる交易路上のオアシスのような休息地が点在しており、特にこのワルザサートカスバは城壁で守られた堅牢な造りで山賊対策においても種々対策がされているところであった。まず敵の襲撃を防ぐために出入り口は1箇所で高い城門で塞がれている。また通路も入り組んでおり1階部分には窓がなく銃眼を多数備えている。さらに籠城に備えて最上階に食糧庫もある仕組みなのだ。そして現在籠城中ということで、緊急救助要請がスロバキアのギルドに入ったのであった。