10:テストシューティング
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
実はこのシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズン1が終わった後に公表したいと思います。
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
翌朝 開発の田辺チームもサイボーグのサーシャを詳しくリサーチができたらしくご機嫌で戻っていった。しばらくバトルスーツを酷使してみて限界を掴んで欲しいと言い残して。
6人が集まり、昨日のアンドレイの帝国軍の話をジュリアがみんなにした。
リーダーのソフィアが「なるほどね!これからのバトルのプラクティスメニューが見えてきたわね。スーツに慣れて俊敏性を鍛えるってことよね!それと田辺部長の伝言でパワードブラスターマシンガンとレーザースナイパーライフルであのバトルスーツを撃って限界を試してほしいとのことだったわ。」
イメルダが、「じゃ私がどっちも撃ってみるから、みんなバトルスーツを着なさいよ!」と言ってやる気満々である。
フィールドに5人がバトルスーツを纏って現れた。
5人が並んだところでイメルダがまずパワードブラスターマシンガンを撃ち始めた。
まずは5名に向かって乱射した。これに対しては、例えて言うならばエアガンの弾が当たった感触だ。次は1人に対して5秒間連射してみた。ブラスターショックが10回ぐらいの連射になる。これには、撃たれた箇所を中心に痺れがくる程度であった。
5人は対ブラスターガンの感触を体感できたので、次は問題のレーザーライフルでの実験だ。
イメルダは射程距離を100m取って1人ずつレーザー砲で射撃した。
これは凄い!大型のレーザー砲のため、撃たれた瞬間のショックはもの凄く、まずは全員そのショックで倒れることになった。そこで田辺部長の実験では10秒間照射されると装甲部分が溶けてくるとのことなので、内部の温度としてはナノジェルである程度は緩和されるものの、人間の感覚としては5秒が限界ではないか?という見解となった。
と言うことで、イメルダはレーザー砲を5秒の照射で撃つことにした。
この実験の結果、やはり5秒間受けると全身熱い鍋にでも触れたようなショックを受けるのだ。ただサイボーグの2人はさらにまだいけるようだ。
ガルシアが、「なるほど、敵のレーザー砲は5秒は食らっちゃいけねえってことだな。ただ食らった時のショックで体が動かなくなった場合はやばいことになるな・・・」と実践をイメージしているようである。
ソフィアも、「これは保険をかけて、やっぱり2名のペアでいつも動かないとダメよね!ってことがわかったわ。」とリーダーらしくこの実験での成果をまとめた。
次は、対サイボーグヒューマノイドの訓練だ。
ラップアラウンドスーツに身を包み、前衛チームのソフィアとサーシャはフットワークの俊敏さを鍛えるために半福跳びやジャンプ、ジグザク走行などで基礎動作を訓練し始めた。
それに対して、重戦士の残り3名は、ウェイトを付けてさらに重量化した武器を持ち、組み試合を展開していった。
確かに、この訓練で例えばジュリアがバトルスーツを着ながらも、いつもの彼女の俊敏な戦いができれば無敵状態となるわけだ。
それと敵の対バトルロボットのファイティングシミュレーションも行った。
理想的には、アンドレイが言っていたように2人1組で対処するのがいいのだが・・・
サイボーグヒューマノイドのパイロットが数名いた場合はどうなるのか?と言うのが
一番の課題となっている。
こんな内容でのトレーニングが一週間続きメンバーの戦闘力も著しくアップしていった。
またこの間サーシャがウラジオストクベースの情報屋にアクセスして、話題のサイボーグヒューマノイドの人数を秘密裏に調べてもらっていた。
その結果3人はいるのでは!?と言う回答が得られたのだ。
ただその配置は不明であるという。
この場合皇帝の本拠地のディフェンスに3名投入されていると考えるのが道理であろうということになり、重戦士3名が1体ずつ相手をするフォーメーションとなった。
ジュリアが、「ねえ、イメルダ!やっぱりあなたのレーザースナイパーライフルとのコンビネーション攻撃が有効ね。基本はバトルロボットをレーザーでいち早く潰す戦法となるけど、その中で、サイボーグヒューマノイドが乗っていると言うやつを無線で知らせるから、それを優先的に潰してほしいの。」
イメルダが重戦士3人に向かって「わかったわ。要するに私があなたたちの救世主ってことよね!」と言ってガッツポーズを取って笑った。
と言うように、当初のフォーメーションと変わったのだった。
当初は、前衛型のソフィアとサーシャを先頭にして、その2人とペアになってジュリアとアンドレイがバトルロボットを中心に倒して行くことになり、ガルシアはレーザー砲を担当するイメルダの防御をすることになっていた。
サイボーグヒューマノイドの存在を知った今、その存在は危機的なものとなるため、まずはそれを真っ先に排除する方向に変わったのだ。そのため、重戦士であるガルシアは前衛に出て、ソフィアが逆にイメルダの防御に回ったのであった。
そのフォーメーションでの問題は、バンカーに着いて、地下に降りてから先陣を切るアサシンタイプの人員がサーシャだけとなり、特に狭い空間では長い武器が振り回せないため重戦士は戦闘に向かないのである。ただ道先案内人的なアンドレイが先頭にいる必要があるため、バトルスーツを降りてからは、得意のロングソードではなく、ショートソードを用いたスタイルに変える必要性が出てきた。ただバンカー内にいる敵戦闘員は人型ロボットや人間兵士であるためアンドレイだったら短い剣でも問題がないのでは!?と言う見解にもなった。
そして、このバトルスーツに慣れてきたところで、また開発担当の田辺部長チームがスーパーソニックジェットでやってきた。
そう今度は、お待ちかねのバトルモビルの試作機ができたのであった。
ジェットのカーゴルームからその2台が下ろされてきた。
全長5mぐらいのマットブラックの無骨な超大型スクーターである。
ヘッドが三角錐型の風防カウリングとなりレーザーディフユーザーにもなっている。
バトルスーツで乗るステップの部分があり、大きなハンドルが付いて左手でブレーキ・アクセルが操作できる。1台目は左側同部分にパワードブラスターガンのトリガーが配置されており、2台目はその代わりにレーザースナイパーライフルのトリガーが装備されている。
銃器はフロントのカウリング部分の中央に固定されているのだが、レーザーの方は大型のため頭上で銃頭が回転できる仕組みになっていた。
そして大型タイヤが2つ付いており、ノーパンクのマッドタレインタイヤである。
田辺部長が、「こんにちは!久しぶりね。お元気でしたか?」と軽く挨拶をして、
「やっとできたわよ!これで今回の装備は揃ったんだけど、このバトルモビルは乗りこなすのが大変そうなのよね。また訓練が必要になったわね!」と言って細かい仕様も説明し始めた。
「これ、EVにしたわ!実際ガソリンエンジンと迷ったんだけどね。でもやっぱりスーパーソニックジェット内で充電できた方がいいかと思って。一応200馬力に設定しておいたわ。
操縦は左手に操作系を集中させて右手を自由に使えるようにしたのよ。アクセルをハンドルグリップ部分で回してブレーキはそこのレバーで、まあよくあるタイプでしょ? で、アクセルを回した状態で親指で銃器のトリガーを押せる位置にしてあるわよ。やってみて。」
まずソフィアがバトルスーツを着て試してみた。
「なるほど、実際やってみるとやりやすいわね!みんなもやってみなよ!」
ということで全員バトルスーツを着用し、まず、アンドレイがロングソードを右手に持って試乗することになった。田辺部長もテストしチューニングしたいのだ。
このバトルモビールは大きさの割には結構なパワーがあるのはいいが・・・スタートしてからバイクのようにスピードが乗って直立すれば右手は使えるのだが、乗り出し時点では両手でバランスを取る必要があった。アンドレイは、まずロングソードを背中に装着し、両手でスタートして少し走って直立した時点でロングソードを背中から抜いて振り回してみた。
「こんな感じでやればできるよ! 走ってみるとバトルモビル自体結構安定するから、思ったより、自由に振り回せそうだよ。」という感想である。
そして、このタイプに乗るソフィア、ガルシア、ジュリア、サーシャの順で試乗会が始まった。
その間、レーザータイプを使うイメルダは、このバトルモビールをスタビライザーで固定する方法とレーザーキャノン射撃の仕方を田辺女史からレクチャーを受けていた。
ガルシアが試乗の感想を言った。「オレは体重があるし、これを使う場所をイメージするとゴー・ストップが多いんじゃないかな? だからギア比を少し落としてトップスピードを稼ぐよりはトルクを優先してすぐにスピードが乗るようにした方が使いやすいと思うが・・・」
他のメンバーは?
ジュリアも「そうね!その方が両手が必要な時間が少なくなるからいいと思うわ!」
というわけで、田辺女史のチューニングメニューに入った。
「他は何か気がついた点はある?」と田辺女史が付け足すと・・・
サーシャが、「パワードブラスターガンはこのバイクに乗りながら撃てることになるから、
ハンドルの下にガンホルダーもつけて欲しいですわ。」
ソフィアも、「田辺さん、これは相談なんだけど、水辺で使う可能性もあるから、後ろにスクリューつけられないかしら?」
田辺女史が、「そもそもランス用ホルダーはつける予定なんだけど、もう一つのホルダーもつけられるわよ。スクリューね!モーターに繋げてサブ的でいいのならできるわね。基本はタイヤに動力が行くけど、それが回りながらボタンを押すとスクリューも回るって設定だったらね。」
ソフィアが、「それで構いませんよ! でも水上でうまくバランス取れるのかしら?」
「フットステップ下の重量が重いから大丈夫だとは思うんだけど検証してみるわね。」
と、もし水上でも行けるとなると、ジェットスキーのような乗り物になることになり、更に移動範囲が拡張できることになるのだ。
彼らの意見を聞くと田辺チームは早速2台をスーパーソニックジェットに回収しまた湯沢に戻って行った。