注文の多いホテル
東京の繁華街にある高級ホテル「windigo」。その名は都会の喧騒の中にあっても異質な静寂を提供することで知られています。
高橋健一は一流企業に勤めるビジネスマン。都会のストレスから解放されるため、週末にホテルステイを楽しむことにしています。
健一の友人である佐藤大輔も同じくビジネスマン。健一と共にホテルステイを楽しむために、windigoに一緒に泊まることにしました。
windigoでは都会の喧騒から離れ、ラグジュアリーな時間を楽しむための特別なプランが組まれていました。二人はチェックインを済ませ、ホテルの内部を探索し始めます。
ホテルの中には、高級感溢れるレストランがありました。レストランの入り口には「お客様のご注文をお待ちしています」という看板がかかっていました。二人はレストランに入ると、シンプルで洗練された内装が広がり、期待に胸を膨らませます。
しかし、席に着くと、メニューには奇妙な指示が書かれたページが続きます。
「靴をお脱ぎください。」
「スマートフォンをこちらのボックスにお入れください。」
「時計を外して、手を洗ってください。」
健一と大輔は次々と指示に従いますが、次第に不安な気持ちが募っていきます。次のページには、「お客様のコートをこちらにおかけください。」と書かれていました。二人は不審に思いつつも、指示通りに進みます。
さらに進むと、「お客様の肌にこの保湿クリームを塗ってください。」という指示が現れます。二人はここで初めて、何かが間違っていることに気づきます。クリームの容器には「調理用」と書かれており、レストランの意図が明らかに不吉なものであることに気づきます。
二人は恐怖に駆られ、レストランから急いで出ようとします。振り返ると、店員たちの冷たい視線が彼らを見つめています。二人は廊下を駆け抜け、なんとかホテルのロビーに戻ります。そこでは、全てが元通りの平穏な雰囲気が広がっていました。
「どうされましたか」とホテリエに声をかけられ事情を説明すると謝罪とともに部屋のグレードを一つ上げてくれました。
健一と大輔は、その夜部屋に戻りました。彼らは部屋の中で靴を脱ぎ、スマートフォンをボックスの中に入れ、時計を外して手を洗い、コートをかけ、シャワーを浴びたのち部屋の中の保湿クリームを塗ってベッドに入りました。
こうしてホテル「windigo」は今日も異質な静寂を提供し続けています。