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オイリュートの魔法の本 7
と誤解したシャルルには、真っ正直で不運なレルレネーの領民の苦しみに見えた。
「まぁ……」
そのシャルルを見て、違う違うとブルンブルンに首を振る店主の姿はシャルルには見えなかった。
「おいくらですの?」
シャルルがそう口にすれば、店主はまた顎を開き「あーあー」とシャルルを見ながら、首を肩側に傾けてダラリと落とした。
だが悲壮な男が
「6,000ゴールド!」
と叫んだ瞬間丸太のような店主の体が俊敏に動いて男の後頭部をすぱーん!と殴りつけていた。
もちろん首に下げていた汗拭きタオルで。
「売値が6,000だろうがっ」
「はいすいません。2,000ゴールドでお願いします。」
精一杯真っ正直で不運な男の顔でキメ顔。
「う」
2,000ゴールドと書かれた、石で出来た古代のお金の姿となってシャルルの頭上に声が落ちた。