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月夜譚 【No.201~No.300】

青年と人形 【月夜譚No.214】

作者: 夏月七葉

〝レトロ〟と言えば聞こえは良いが、要は古臭いということである。テーブルの上に立たせた一体の人形を眺めて、青年は溜め息を吐いた。

 一つに纏められた金の髪に花の飾りを挿し、裾にレースのついたピンクのドレスが窓から入った風に揺れる。両手に花束を持ち、その向こうから覗く綺麗な顔立ちは、頬を僅かに染めて微笑んでいた。

 状態は良いものだ。よくもまあ、これほどまでに綺麗に残されていたものだと感心してしまう。

 しかしながら、やはり時代にはそぐわないのだろう。家の物置から出てきたこの人形を地元のフリーマーケットに出してみたのだが、見事に売れ残ってしまったのだ。

 幾らレトロブームとはいえ、人々の考えるそれよりも古臭かったのだろう。一人でぽつんと残された彼女が、少し淋しそうに見えた。

 この人形をどうしたものか。青年は人形の頭を軽く指先で小突いて、仕方なさそうに笑みを浮かべた。

 暫くは、ここに飾っておいても良いかもしれない。

 そんなことを考える青年を、人形はただ見つめていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人形の造形が綺麗に書かれた地の文、とても素敵です。人形のその後が気になります。 [一言] 拝読させて頂きありがとうございます。
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