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休養期間が終わって

 時は2005年シーズンの11月末。ちょうどジャパンカップウイークが終わった4日後、栗東トレセン内で1頭の黒鹿毛の巨漢馬と1人の騎手のコンビがちょうど中間追い切りを終わらせて厩務員に誘導されながら厩舎に引き返していた。


「岡西君、久しぶりの騎乗はどうだったかな?」

「小倉橋さん、やっぱり馬に乗ってると安心してますよ。ドクターストップによる騎乗停止期間の2週間がもの凄く長く感じましたし」

「そうだね、騎手にとって馬に乗れないことがなによりも辛いことだからね」

「今年いっぱいはフル騎乗はできませんから当面は万全の状態に戻すことに専念しながら騎乗しますよ」

「ウンウン」


岡西と小倉橋はリラックスした表情で今後のことを語っていた。そうしてるうちに厩舎へとたどり着いた。厩舎の入り口には押切が満面の笑みで岡西を待っていた。


「ワハハハハ、おかえり。やっぱ岡西君が騎乗するとコイツの走りの雰囲気がガラッと変わるわぁ。まあ事務所内でゆっくりしていってくれ~な」

「ありがとうございます」


岡西は小倉橋に支えられてユーロステイテッドから降りた後、押切と共に厩舎内の事務所へと入っていった。


「せや、復帰戦の今週はどないな予定で行くん? 騎乗数が限られてるみたいやから早めに聞いとかなアカンから」

「はい、今週の予定として土曜と日曜のそれぞれのメインレースのみに出ようと思ってます。日曜の阪神JFのほうは決まってますけど、土曜日の中山で行われるステイヤーズSのほうはまだ乗り鞍ないんですよね」

「おっ、ホンマかいな! それはちょうどよかったわぁ。実はステイヤーズSに出走させようと思っとる馬がおるんやぁ」

「ほう、どの馬ですか?」

「渡部が世話してるロングロングロングや。コイツは現在1600万下のクラスにおるんやが、ワシはあえて格上挑戦しようかなと思ってるんやぁ」

「なるほど、ステイヤーズSは唯一の3600Mの長丁場レースですから出走登録馬も少なく本賞金不足による除外の可能性も低いですので狙い目としてはいいと思いますよ」

「せやろ? てなわけで乗ってくれへんやろうか?」

「ええ、いいですよ。僕でよろしければ」

「おおきに、当日はよろしゅう頼むでぇ! 岡西騎手の復帰戦は重賞勝利! ええ響きやわぁ、ワハハハハ」

「いやいや、勝敗は当日にならないとわかりませんからねぇ。もちろん依頼を受けたからにはベストは尽くしますけど」


既に勝った気でいる能天気な押切と冷静沈着な岡西。相変わらずの2人の正反対なやりくりは健在であった。


「押切先生、ずいぶん機嫌よさそうですね」


事務所内にユーロステイテッドの仕事を終わらせてきた小倉橋が事務所に入ってきた。


「小倉橋さん、そらそうでっせ。岡西君がやっとこさ復帰するんやから」

「そういえば数日前に村山さんから岡西君の復帰祝いのパーティの打診の話が来てるみたいですけど」

「な、なんやてぇ?」

「村山さん主催のパーティ……。うわぁ、やな思い出がフィードバックしてくる……」


村山主催のパーティと聞いたのと同時に表情が真っ青になりながら両手で頭を抱える押切と岡西。時は今から2ヶ月前に遡るが、村山が提案したユーロステイテッドの『ダート三冠達成』のパーティに関係者の押切・岡西・小倉橋が招待された。場所は本国から離れた村山が私有地の1つとして所有してる離れ小島、面積でいうと沖縄本島から離れてる久米島の1つ鳥島くらいの広さ。そのパーティ会場にはどういうわけか各国の要人や有名人が200名ほど集まっていた。招待された3人は辺境の地で自分達の常識内をはるかに超越した光景にポカンとすることしかできなかった。どうにか緊張が解けた後、小倉橋は各国の様々な人との交流を楽しんでいたが、押切は超一級品の料理やアルコール類に舞い上がってしまい酔っ払った勢いでピラニアを養殖してる池に誤ってダイブしそうになり、そしてアルコール類がまったくダメな岡西は村山の計らいでVIPルームへと案内され、そこには岡西好みのスタイル抜群の爆乳女性が数十人待機していた。いつもならなんらかの形でいちゃもんをつけてくる岡西だが、この時に限っては日頃のストレスが溜まってたせいか理性が飛んでしまってハーレムにダイブしたという。数時間後、押切は泥酔状態になり岡西は骨抜き状態になったという。


「そうですかね? わたしはいろんな方々と交流が持ててよかったと思いましたけど」


真っ青な表情で震える押切&岡西とは正反対で1人悠々と思い出に浸る小倉橋。


「と、とにかくここは丁重にお断りしましょう。ねっ、押切先生?」

「せ、せやな……。毎回あんな豪勢なパーティ開催されても気の毒やし……」

「理由付けとしてドバイWC制覇の目的を果たすまで我々はパーティ自粛しますとでも言えばどうでしょう?」

「おっ、岡西君それええなぁ! それでいくか!」


苦し紛れの岡西が提案した村山避け対策に慌てて同意する押切。幸いにも辺境の地ではっちゃけたこともあり、週刊誌にすっぱ抜かれることは免れたが、もしこのことがなんらかの形で情報が漏れてしまったら格好の餌食になり信用問題にまで発展してしまう可能性も十分ありえた。他の馬主が主催する祝勝会に飛び入りで押しかけてくる押切でさえ、村山主催のパーティの件に関しては絶対避けなければならないという危機感を持ってしまったという。


「村山さんの対策も無事話もまとまりましたし、僕は今から仁藤厩舎に行って来ます」

「おっ、今週のG1の乗り鞍かいな?」

「ええ、そうです。僕が追い切りに乗れなかった間にどれくらいアイツが成長してるかを見てみたいですし、今後の予定などをじっくり仁藤先生と話し合いたいと思ってますので」

「復帰戦勝てればええんやけどなぁ。まあ頑張って~な」

「ありがとうございます。では僕は失礼させてもらいます」

「おうよ! ほな、またなぁ」


岡西は押切と小倉橋に一礼した後に押切厩舎を後にした。



──栗東トレセン上空にて──



栗東トレセン地上から遥か上空を1機の迷彩色の私用ヘリコプターが飛んでいた。その中に村山が操縦士2人と共に乗っていた。目的は押切達に岡西の復帰祝いについての返答を私用ついでに聞きに来たのである。


「オーナー、栗東トレセン厩舎上空に到着しました。計算だとここからパラシュートで降りるとちょうど押切先生の厩舎前の地点に着地する予定になってます」

「うむ、では余はまいる」

「はっ、お気をつけて」


操縦士の報告を聞いて村山はパラシュートを素早く着用、そして機内の後部のハッチを開いて戦時中の落下傘部隊になりきったようにそこからダイブ、そしてパラシュートを開いた後、ゆっくりと地上へと近づいてくる。ちなみにパラシュートの柄は迷彩である。


(うむ、あそこの地点に着地だな)


村山は押切厩舎の放牧地スペースに着地点を決めた。そこはロサを飼っているエリアであった。数分後、予定の地点にきれいに着地。そして手際よくパラシュートをしまった。


(うむ、決まったな……。ん? 殺気!)


村山は独自の野生の勘で殺気を感じた。後ろを振り返ると村山を威嚇してるロサがいた。ロサは見知らぬ人間が自分のテリトリーに勝手に入ってきたことに怒っているのである。


「ぬぬぬ、おぬし! 余に勝負を挑むつもりか?」


村山はロサの威嚇に動じることなく太極拳の構えを見せた。その後、ロサと村山は5分ほどお互いに微動だにせず睨みあっていた。その光景を見た通りすがりの競馬関係者は見てはいけないものを見てしまったというそぶりをみせて次々とすぐに立ち去っていったという。


(ぬぬぬ、このままでは千日戦争は免れぬ……。ここでモタついてはならぬので決着をつけねば……)

「いざ! まいる!」


村山は意を決してロサの懐に飛び込もうとした。ロサも体当たりで村山に応戦する。そして両者がっぷりよつの状態になった。


「余は若かりし頃、カナダの高原で凶暴なグリズリーと組み手をしたことがある。まさにその時の再現だな……」


力押しでお互いに押し合いをするがまったく動かない。身動きが取れない不毛な戦いはここから10分ほど続いたという。


(ぬぬぬ、力押しでもダメならうまく肩透かしをした後に余の太極拳の奥義『不死鳥の舞』を決めてみせる!)


次の手を決めた村山は押してくるロサを回避した。急に押される力を失ったロサは勢いあまって数十メートルほど突っ走ってしまった。


「よし、決めてみせる! 村山流太極奥義・不死鳥の舞!」


ロサとの距離を取った村山は精神を集中して華麗な舞で気を高め始めた。その瞬間、ロサは鋭い勢いで村山の懐に飛び込み、後ろ脚で村山の顔面めがけて寸止めの蹴りを決めた。


「ぬぬぬ、不覚……。この余から一本取るとはおぬしただものではないな……」


村山は久しぶりの敗北に潔く観念した。タネを明かすと村山の不死鳥の舞は本来なら相手が村山の独特の威圧感に怖気づいて身動きが取れなくなってしまうものだが、ロサには威圧感自体は全く通用しなかった。さらに致命的な敗因として、不死鳥の舞はモーションが長すぎてスキだらけになってしまうことにいち早くロサに気づかれてしまったからである。変人の村山はそのことに全く気づいてないないという。


「あの~、村山さん……。そんなところでなにをしてるのでしょうか?」


ちょうどロサに餌をやりに来た小倉橋に村山は勝負ありのシーンを目撃された。


「おお、小倉橋殿か。余のパラシュートの着地の際、この馬のテリトリーらしきところに入ってしまってちょっと取っ組み合いになって……。ところで押切殿はおられるかな?」

「ええ、ウチの先生ならいますけど、いつもお忙しいオーナーが自ら厩舎に足を運ぶのは珍しいですね」

「うむ、実は岡西殿の復帰祝いパーティの件でちょっと立ち寄ったんだが……」

「そうでしたか。ここでの立ち話もなんですからお入りになってはいかがでしょうか?」

「うむ、そうさせてもらう」


村山は小倉橋に案内されて押切厩舎内へと入っていった。


「押切先生、村山さんがおみえになりました」

「な、なんやてぇ! なんでまた突然!」


ちょうど岡西との入れ替わりでやってきた村山の突然の訪問に押切は顔色を真っ青にして慌てふためいた。


「うむ、押切殿。突然すまぬな。なにか不都合でもあったかな?」

「いえいえ、不都合だなんてそんな……。オーナーにはいつもお世話になってますし……。今日はどのようなご用でいらっしゃったのでしょうか?」

「うむ、さきほど小倉橋殿にも言ったことだが、岡西殿の復帰祝いパーティの件である。この間のユーロステイテッドのダート三冠祝い以上のパーティを開こうと思ってるのだが」

「あの~、さきほど我々と岡西君の3人でユーロステイテッドの今後のことで話し合ったんですけど、ある目標を達成させるまでは盛大的なパーティは自粛しようと決めました」

「ん? 押切殿、その目標とはなんのことかな?」

「それはもちろんドバイワールドカップや米国のBCクラシックの世界的に有名な2つのG1レースです。やはりホースマンである以上はこういう世界的に格が高いレースを制覇していかないといけないといけないと思いまして。そう思い始めたのはやはり岡西君と出会ってからです。その本人も海外の大レース制覇の思いは我々以上に強いですし……。したがいまして日本の競馬を世界に証明するまでは村山さん主催のパーティを自粛しようと決意しました」

(ワシながらごっつカッコエエ決意宣言や。これだけ大口叩いておけばこのオーナーも諦めてくれるやろ)


押切は決意を村山の前で告白して心の中では災難は回避できるだろうと勝った気持ちで一杯だった。だがしかし……。


「うむ! その心意気やよし! 海外のホースマンから見て日本の競馬は相当甘く見られてる傾向があると余は聞いておる。目標を達成した暁には余の知り合いとの共同で国家予算レベルのパーティを開こうぞ!」

「えっ、え?」

「ん? なにか不都合でもあるのかな?」

「い、いや……。そ、そういうわけでは……。た、ただ……、そこまで盛大にされても我々は恐縮する一方でして……」

「遠慮はいらぬぞ。余は大きな目標を持つものに対しては出し惜しみはしないという理念を持っているので。ん? 余の腕時計式の端末……。どうやら迎えの者達がやってきたようだな。では余は失礼する。また逢おうぞ!」


ちょうど村山が腕に装着してる腕時計型のセンサーが鳴った。それと同時に村山は押切厩舎を悠々と後にしていった。


「こ、国家予算レベルのパーティ……。ま、またワシはあの時のような災難……。いや、それ以上の災難が来る……。エックスデイが……。ア、アカンわぁ」


押切は村山が去ったのと同時に意識を失い始めた。村山主催のパーティというだけでトラウマなのにそれ以上のがやってくるという恐怖の予告を知ってしまったせいもある。


「お、押切先生。しっかりしてください」


小倉橋は卒倒しそうになった押切の体を素早く支えた。そしてその後、和室の布団に寝かせた。押切を布団に寝かせた後、小倉橋は岡西の携帯にさきほどの内容のメールを送信したという。



──仁藤雄一郎厩舎内にて──



 押切厩舎内が村山の猛威にさらされてる間、仁藤厩舎の事務所内で岡西と仁藤がリディアスルーンの今後に関して話し合っていた。


「なるほど、医師の診断から騎乗の許可は出たが1日の乗り鞍数は制限されてるということだな」

「はい、本当なら今週は土日共に阪神で騎乗してWSJS(※注釈)と阪神JFを同時制覇狙ってたのですが、どっちか一方ということになりました」

「うむ、それで君はどっちを選択するのかな?」

「もちろん阪神JFです。WSJSは僕が騎手をしてる限り参加できるチャンスはあります。しかし阪神JFのほうは騎手にとっては騎乗依頼が来れば獲れるチャンスは来ますが、競走馬にとっては牝馬三冠のクラシック同様、一生に一度のG1舞台。僕自身もこのG1タイトルは獲ったことありませんし来シーズンのルーンの牝馬クラシック戦線を占う上で落とせない一戦です。それに仁藤先生も定年迎える前に1頭の馬での三冠達成したいという夢もありますし、その夢の実現に向けて僕が力添えできればと思いましたので」

「うん、君の考えはよくわかった。レース当日はよろしく頼む」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

「実は君が落馬による怪我で数週間戦線離脱のニュースを聞いた時、わたしはルーンの替わりの騎手を探そうかどうか迷ってたんだ。それでためしに他の騎手に追い切りをさせてみたところルーンの奴が真面目に走ってくれなかったんだよ。わたしは長年調教師やってきたけど乗り手によってあんなに露骨に態度変わる競走馬ははじめてみたよ」

「僕が馬に乗れなかった間、そんなことがあったんですか。ルーンは相当ゲンキンな奴ですね……」


人によって態度が変わる馬として真っ先に思いつくロサを見てきた岡西は、サラブレッドにもそういうのがいるんだと仁藤から裏話を聞いたのと同時に苦笑いをした。


「まあそれはともかく、わたしと君の付き合いは短いが不思議な縁を感じるよ」

「不思議な縁といいますと?」

「昨シーズンの牝馬クラシック戦線のことを覚えてるかね?」

「ええ、覚えてますよ。仁藤先生の管理する馬達にはG1の舞台で痛い目に遭いましたから」

「あの時は君が乗っていたキタノアルタイルをとめるのがテーマみたいなものだったからねえ。その敵役だった君が今年はわたしの管理する馬に乗るというのだから縁というのは実に不思議なものだよ」

「そうですよね。そう言われてみますと僕も不思議に思います」


しみじみと岡西に語る仁藤。2004年シーズンの牝馬クラシック戦線は期待の関東馬・キタノアルタイルが牝馬三冠を達成するという前評判だった。仁藤はキタノアルタイルを阻止するためには自分の管理する当時の3歳牝馬の3頭出しで徹底マークするしかないという作戦を考えていた。その3頭とはスルーピーバギー号(松山幹久騎乗・2004年桜花賞馬)、ライトフェザー号(福沢騎乗・2004年オークス馬)、アネルカ号(武井匠騎乗・2004年秋華賞馬)の3頭でそれぞれ桜花賞・オークス・秋華賞のG1タイトルを分け合ったという。ちなみにどのレースも2着はキタノアルタイルであった。キタノアルタイルが今年のフェブラリーSを制するまで『シルバーコレクター』の不名誉な称号を背負わせた元凶がこの3頭である。関西の主要どころの騎手をふんだんに起用してなおかつ3頭出しまでしないとキタノアルタイルはとめられなかったのであった。岡西は昨シーズンの苦い過去を持っていたため、最初仁藤厩舎からの騎乗依頼が来たときは不思議に思ったのであった(第34部参照)。



「あっ、もうこんな時間だ。僕は土曜は中山での騎乗のため東側に向かいます。ではレース時に会いましょう」

「うむ、気をつけて調整ルームに向かうようにな」


岡西は仁藤との会話を切り上げた後、厩舎を後にしていった。仁藤厩舎を出てしばらく歩いていた時、ちょうど岡西の携帯にメール着信音が鳴った。それと同時に自分の携帯電話をポケットから取り出して画面を確認した。


「ん? 誰だろ? 小倉橋さんからだ。一体なんだろ?」


岡西は着信メールの内容を開いてみた。すると以下の内容の文章が書いてあった。


8:44 小倉橋さん


《本文》


 さきほど、ちょうど岡西君と入れ替わるように村山さんが急にウチの厩舎にやってきて君の復帰祝いのパーティのことを聞いてきたんだ。わたし達の話し合いの通りにオーナーに報告したところ、村山さんは志の高さに感服してしまって目標達成の暁には国家予算レベルの祝勝会を行うと宣言して悠々と去って行ったんだ。そのショックでウチの先生が寝込んでしまって……。まあとにかくだいぶ先の話になると思うから岡西君は気にしないで当面のレースに集中してもらえば大丈夫だよ。


(な、なんだと! 俺の策は村山さんに対して火に油を注ぐ結果となってしまったというのか……。あのオーナーはほんとに一筋縄ではいかんなぁ。それにしてもあの宴会大好きのノー天気な押切先生を一撃で寝込ませるとは村山さんってどれくらいの核兵器級の存在感なんだか……。う~ん、今は小倉橋さんの助言にそって村山さんのことを考えるのはやめておこう。考えるとキリがないので……)


小倉橋のメールの内容を見てしばらくは深刻に考えていた岡西も数分経って、今週の重賞レース制覇に気持ちを素早く切り替えて中山競馬場の調整ルームへと向かって行った。

(※)ワールドスーパージョッキーズシリーズ(WORLD SUPER JOCKEY'S SERIES)の略で毎年12月の初頭に阪神競馬場で開催される。指定された4競走で出場騎手が総合ポイン制で優勝を競い合う大会。中央からは東西のリーディング1.2位は出場資格を持つ。岡西騎手は関東のリーディング1位ということになってるが、1日の騎乗数に制限を課せられてるため出場を辞退している。

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