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三冠への道(菊花賞編・前半)

 『ギガクロスブレイク 21年ぶりの無敗での三冠に向けて視界良好!』


<藤枝和調教師コメント>


 セントライト記念を内容のある競馬で勝って、その後も順調に調教を積んできて非常にいい状態で本番の日を迎えました。あとは乗り役に任せるのみです。


<岡西騎手コメント>


 秋初戦のセントライト記念以降も順調に乗り込んで万全の状態に仕上がりました。淀の3000Mの距離自体は問題はありません。道中の折り合いさえしっかりしていれば結果は出てくると思います。あとはパートナーの力を信じて悔いのない騎乗をするだけです。



 時は2005年シーズンの10月4週の日曜日。この日の京都競馬場は10万人以上の客が詰め掛けて異様な熱気に包まれていた。それもそのはず、お目当てはギガクロスブレイクの無敗での三冠という歴史的瞬間を観に来た人がほとんどだからである。単勝オッズは当然のごとくギガクロスブレイクが1.2倍という断然の人気を背負っていた。他陣営のギガクロス包囲網を岡西がどのようにかいくぐるかがレースの勝ち負けを左右する。菊花賞の馬柱表は以下の通り。



京都11R 菊花賞 G1 芝3000M 良 15:40~発走


1枠 1番 アルマイヤゴールド 牡3 57 安城勝 栗・松木博

1枠 2番 アオノタイザン   牡3 57 幸田  栗・羽鳥

2枠 3番 フジコウサミット  牡3 57 隅田  栗・鶴

2枠 4番 エアロモントレー  牡3 57 福沢  栗・池井寿

3枠 5番 ダンテヴィオラ   牡3 57 柴畑善 美・田沼

3枠 6番 タイガカルチャー  牡3 57 横井典 美・戸部

4枠 7番 アルマイヤサンズ  牡3 57 石田  栗・殿道

4枠 8番 アシガラツイスト  牡3 57 中田勝 美・足塚

5枠 9番 ウインザートーレス 牡3 57 前藤  美・大東

5枠 10番 ケイエムビートメガ 牡3 57 十和田 栗・石元

6枠 11番 カグラノセンプウ  牡3 57 武井匠 栗・芦口

6枠 12番 ギガクロスブレイク 牡3 57 岡西  美・藤枝和

7枠 13番 オリエンタルバード 牡3 57 蛇奈  美・鹿野

7枠 14番 カゼノナイアオゾラ 牡3 57 池越  栗・音有

7枠 15番 ブレスレットシティ 牡3 57 佐渡哲 栗・笹見晶

8枠 16番 アドニスゲンスイ  牡3 57 三井  美・小柴

8枠 17番 ヴィランドル    牡3 57 秋川  栗・坂内

8枠 18番 キリンジ      牡3 57 武井幸 栗・池井朗



──競馬関係者席にて──



(うおおお、ごっつ緊張するわぁ~。G1の舞台というのは観る側からも緊張感というのはよ~わかっとるんやが、今日は超級の格別や~。なにしろあの岡西君が『三冠』に挑戦するんやからなぁ~。いつもやったらワシは気軽に話かけるんやけどさすがに今日は話しかけられる雰囲気ではなかった。菊の舞台で落とすようなことがあったらそれ以降ワシはどないな感じで岡西君に対応せなあかんのやろ……。イヤイヤ、アカンアカン! ワシが岡西君を信じなくてどないするんやぁ!)


ギガクロスブレイク陣営とは何の関係もない押切はなぜか競馬関係者席で1人で体を震わせながらガチガチに緊張していた。押切は今週は自分の管理馬の出走はないが、歴史的瞬間を観るために午前中から京都競馬場入りをしていたのである。時刻は14:00を周っていて刻一刻と菊花賞発走の時間が迫ってくる。その間に飲み干した缶コーヒーの数は既に10本を超えていた。押切の周辺で無造作に転がってる複数の空き缶がそれを物語ってる。


「あの~、押切先生……」


ちょうど通りかかったちゅんが押切に話しかけてきた。


「な、なんや……。ちゅんか……。オイ、コーヒー買って来い。ブラックや~」

「え~、またですかぁ? 飲み過ぎは体に毒ですよ~」

「エエからはよ買ってこ~い!!!」

「は、はい~~~~!」


押切を諫めようとしたがあっさりと怒鳴られて一蹴されて慌てて走っていくちゅん。午前中から30分おきにちゅんは押切にコーヒーを買いに行かされていたという。



《ギガクロスブイレイク陣営》


「いよいよ本番を迎えたな。要らぬ心配だと思うが変に気負ってはいないか?」

「ええ、大丈夫です。あとは発走を待つだけです」

「道中はノリが乗る6番の馬に要注意だ。お前も知ってるとは思うがアイツの長丁場の逃げ打ちは脅威だから。位置取りはいつも通りでいいが、仕掛けどころを間違えないように。早すぎても末脚が封じられるし遅すぎても脚を余して取りこぼしということも十分考えられるので」

「そうですね。まあ長丁場のレースについては岡路さんが現役の頃の騎乗をDVDで事前に観てきて研究してきたので僕の中でイメージはできあがっています」

「うむ、よろしく頼むぞ。周りは記録のことを話題にしているがそういうのは一切考えないように」

「はい、わかりました。では行って来ます」


岡西は藤枝との最終打ち合わせを終わらせてパドックのほうへ去って行った。


(わたしは調教師になって20年近く経つがどんなレースの時でも普通なんらかの形でいくつかの不安要素というのは頭の中をよぎってくるのだが、不思議なことに摩那舞の背中を見てるとどういうわけか不安要素というのを何も感じない)


走り去っていく岡西の後姿を見ながら藤枝は三冠に向けての手ごたえを体の中で感じていた。


──京都競馬場パドックにて──



(さて、いつものようにライバル馬のチェックだ。う~ん、さすがにどの馬も今日に照準を合わせて仕上げてきたという感じがする。見劣りする馬はさすがにいないなぁ。ギガの三冠阻止の各陣営の気迫が嫌でも俺に伝わってくるよ)


大舞台の前の張り詰めた空気の中、岡西はパドックを周回する各馬を慎重に観察していた。


(出来勝負は互角だとするとこうなるとあとは腕次第だな。道中はどの馬がギガのマークに来るか。逃げを打つのは間違いなく横井さん。俺の隣は匠さんか……。お手馬のマークブリザードが天皇賞秋に行ったからカグラノセンプウが乗り替わりで回ってきたんだな。菊花賞って乗り替わりの馬が来るイメージはないんだけど匠さんが乗るだけでも怖いんだよな。でも今年はどういうわけか俺に気負いを感じない……。やっぱり押切先生や村山さんを相手に渡り合ったおかげなのかな? あの2人と出会ってからいろいろと自分の常識を覆されたからなぁ)


今度は騎乗指示がかかるまで岡西はパドックの前で一列に並んでる他の有力騎手の心理を考え始めた。三冠のプレッシャーや長丁場実績が自分より断然上の横井典や武井匠がいても岡西の中には「気負い」という文字はなかった。その要因としてギガクロスブレイクという頼もしいパートナーの存在もあるが、それ以上に押切や村山の現実を超越したイベントに付き合わされて精神的にタフになったことの割合のほうが多数を占めている。



「とま~~~~~~~れ~~~~~~~~!!!!!!」



15:10分、騎乗指示がかかり菊花賞に出走する18人の騎手がパドックに向かって一礼して、それぞれの騎乗馬に小走りで向かって行った。岡西は草野に支えられてギガクロスブレイクに乗った。


「岡西君、よろしく頼むね。実は今日はカミさんと子供2人も来てるんだ」

「そうでしたか、それはなおさら僕の責任は重大ですね。記録達成したらお子さん達の自慢話になるんではないでしょうか?」

「ウンウン、そうだね。実は上の子の俊樹が幼稚園の絵の宿題で『父親の仕事』というテーマで絵を描くみたいなんだ。まあたぶん俺がギガを世話してるシーンを描くと思うけど吹き出し部分に菊花賞で勝ったギガの姿を部分的に描くということを言ってたんだ」

「なるほど、推測でいくと『僕のパパは厩務員をやっていて、この間G1を勝ってクラシック三冠というすごい記録を達成しました』というニュアンスを1枚の絵で表現するんでしょうかね?」

「そうだろうね」

「まあギガを世話してる草野さんの姿は厩舎に来たときにいつでも見れるとして、菊花賞の舞台はサラブレッドにとって一生に一度の舞台ですからね。ここで落としてしまったら俊樹君の絵の吹き出し部分が完成しなくなりますからね。もちろん僕は勝ちに行きますよ」


草野から長男の裏話を聞かされて、レース中はいつも険しい岡西の表情は非常に和やかなものになった。子供の切なる願いの話で岡西は滅法強くなることを草野は同じ美浦の厩務員の知り合いから情報を仕入れていたからである。雑談をしているうちに岡西とギガクロスブレイクは本馬場へと近づいていた。競馬場では関西G1の入場行進曲『ザ・チャンピオン』が流れていて前の馬番の馬から次々とターフに入場していた。



《実況アナ》


 澄みきった秋晴れの京都競馬場、もっとも強い馬が勝つといわれる菊の大舞台。春の実績馬が勝つか? それとも夏の上がり馬が勝つか? 10万人以上の観客が見つめる中、一夏を越した精鋭18頭の本馬場入場です。


秋初戦のセントライト記念は4着。アルマイヤ軍団初の菊のタイトルに向けて最内からのイン強襲炸裂! アルマイヤゴールドとベテラン安城勝臣!


春は伸び悩みクラシックは不出走。夏競馬でメキメキと力をつけてきて念願のG1の舞台で菊の舞台を制した父の血が騒ぐ! アオノタイザンと幸田英晴!


夏の札幌日経OPを制してきたあがり馬。長距離実績ならメンバー随一、菊の舞台でも開花するか? フジコウサミットと3年前の同じ舞台で波乱を起こした隅田 昌一!


皐月賞2着、日本ダービー4着、マークブリザード菊回避の今は打倒ギガクロスブレイクの筆頭格。春の悔しさを最後の一冠で意地を見せるか? エアロモントレーと福沢祐介!


前走セントライト記念は不利があっての10着。夏に連勝してOPまで昇りつめた勢いを見せれるか? ダンテヴィオラと柴畑善明!


出走メンバーの中で逃げを打つのはおそらくこの馬でしょう。セントライト記念は二冠馬にやられても菊のタイトルは譲れない! タイガカルチャーと長丁場の名手・横井典保!


アルマイヤ軍団の2頭目。前走神戸新聞杯は僅差の4着。トライアルからの巻き返しで菊の戴冠なるか? アルマイヤサンズと昨年に続いて菊花賞連覇を狙う石田康徳!


抽選を抜けてきたラッキーホース。父が制した菊の舞台でその幸運を発揮できるか? アシガラツイストと中田勝秋!


前走セントライト記念は粘って3着。昨年の2歳王者は王者奪還を胸に秘めていざ淀の舞台へ! ウインザートーレスと前藤浩明!


6年前、一世を風靡した名馬が取り忘れた菊のタイトルを同じ勝負服で獲りに行く! ケイエムビートメガと十和田竜三!


皐月賞4着、日本ダービー3着。善戦ホースの名は要らない、鞍上強化で隣の二冠馬に土をつけるぞ! カグラノセンプウと菊花賞3勝の天才・武井匠!


さあ出てきました! 21年ぶりの無敗三冠に向けて豪脚炸裂、12万の観客を歴史の目撃者にできるか? ギガクロスブレイクと脅威の成長株・岡西摩那舞!


前走セントライト記念では落鉄の影響により得意の中山で不本意の8着。巻き返しで鹿野厩舎初のG1制覇達成なるか? オリエンタルバードと蛇奈正俊!


人気薄の激走といったらこの馬。菊の舞台でも波乱を見せれるか? カゼノナイアオゾラと新パートナー池越謙介!


前走後の疝痛というトラブルを乗り越えて本番に間に合ったのはこの馬。病を乗り越えて頂点へ! ブレスレットシティと佐渡哲夫!


こちらも15分の2の抽選を通り抜けた幸運馬。小柴厩舎4年ぶりの菊花賞制覇に向けて出陣! アドニスゲンスイと三井博康!


日本ダービーは5着、神戸新聞杯は出遅れて7着。新コンビと共に初G1制覇を狙います。 ヴィランドルと秋川真二!


前走神戸新聞杯3着は成長の証。自慢の末脚勝負で狙うは大金星! キリンジと一発が怖い武井幸治!


以上18頭で菊花賞が行われます……



「岡西~! 頼むぞ~!」

「沈めたらタダじゃすまへんからな~!」


ギガクロスブレイクが正面スタンドを返し馬で走らせている時、他の馬以上に観客からの声援や野次の応酬が嫌でも聞こえてくる。岡西は観客の声援にまったく動じることなくギガクロスブレイクを軽快に走らせていた。




──再び競馬関係者席にて──


(か、返し馬に入った……。ふ、震えがとまれへん……。岡西君の馬はごっつええ動きしてたんやが……。競馬というのは絶対というのはあれへん……。イヤイヤ、アカンアカン! このワシがネガティブになってどないするんやぁ……。ああ、落ちつかへんわ……)


菊花賞発走の時間が近づくたびに押切の極度の緊張状態は悪化の一途をたどっていた。貧乏ゆすりをしながらコーヒーを口に含もうとしたが、ズレてしまって熱いコーヒーを顔に少しかぶってしまう……。


「アチアチアチアチ~。ごっつ熱いわぁ!」


慌てて持っていたタオルで顔を拭く押切。


「あのサングラスの先生って確か噂の……」

「みたいだね。でもなんかいつも威張ってるって雰囲気ではないなぁ」

「なんで1人で緊張してるんだか?」

「実は暗殺者に命を狙われてるとか?」


押切から遠く離れた位置でヒソヒソと噂話をする他の競馬関係者。G1トレーナーになっても容姿や挙動不審な行動が祟ってか、相変わらず他の競馬関係者からは奇怪な目で見られる一方であった。



──菊花賞発走10分前、スタート地点にて──



(あと少しでファンファーレだな。さすがに直前になると緊張するな。今まで何度もG1レースは乗ってきたけど今日は記録がかかってるからなぁ。21年前の岡路さんはどんな気持ちで当時の菊花賞を迎えていたんだろうか?)


岡西はゲート前で他の出走馬と共に輪乗りをしながら三冠のに挑戦した歴代の名馬のことを考えていた。三冠に挑んだ歴代の先輩騎手はどんな気持ちで菊花賞に挑んでいたのか? 達成した記録もあればライバル馬に阻止された記録もある。自分はどっちになるのか? 岡西の心の中は期待と不安が交錯している。岡西は張りつめてる気分を切り替えるためにチラッとギガクロスブレイクの様子を見た。


(ギガの奴、緊迫した空気にも関わらずまったく動じてないなぁ。お前の末脚信じてるぜ。悔いのないレースをしような)


ギガクロスブレイクの落ち着いた様子を見て、岡西は不安を払拭した。ちょうどその時、スターターの係員がやってきて12万の観客が歓声をあげはじめて手拍子をしはじめた。そして係員の合図の後に関西G1ファンファーレが鳴り、奇数番の馬から係員の誘導により次々とゲートに入り始めた……。



《実況アナ》


 お待たせしました。本日のメインレース2005年シーズン菊花賞、クラシック最後のタイトルをめざして選ばれし18頭が集結。ゲート入りは順調、偶数番の馬も次々とゲート入り。二冠馬のギガクロスブレイクもスムーズにゲートに入りました。最後に18番のキリンジが入りました。さあゴールで待ち受けるのは歴史的瞬間か? それとも乱菊か? スタートしました! きれいに揃ったスタート! ギガクロスブレイクも無事にスタートを決めました。まず最初の先行争い、まずは6番のタイガカルチャーがハナを切りました。2馬身ほど離れて9番ウインザートーレスと11番カグラノセンプウが追走、各馬淀の坂を上って下りに入り正面スタンドへと入っていきます。先頭はタイガカルチャー、2馬身後ろに9番ウインザートーレスと11番カグラノセンプウが並んで追走、その後ろ内からフジコウサミットとアルマイヤサンズが追走、さあ正面スタンド大歓声を背に18頭の馬が通り過ぎて行きます、ギガクロスブレイクは最後方待機、果たしてどのあたりで動くか? 先頭は早くも2コーナーから3コーナーを過ぎて向こう上面へと向かっていきます。先頭は6番タイガカルチャー、3馬身離れまして9番ウインザートーレス、すぐ外後ろに11番カグラノセンプウ、鞍上は武井匠、その後ろに3番フジコウサミット、ならぶように7番のアルマイヤサンズ、半馬身後ろ内に1番アルマイヤゴールド、その半馬身後ろに15番ブレスレットシティ、4番エアロモントレー皐月賞2着も続いている、外を通って5番ダンテヴィオラ、その後ろに2番アオノタイザンと16番アドニスゲンスイが並んで追走、8番アシガラツイスト、10番ケイエムビートメガ、13番オリエンタルバード、14番カゼノナイアオゾラ、17番ヴィランドルと後方集団はほぼ一団。お終いから2番目に18番キリンジ、そして最後方に12番のギガクロスブレイクというやや縦長の展開。中間をほぼ平均ペースで通過! このあたりから各馬徐々にペースが上がっていきます……


(ここまでは折り合いはバッチリだ。よし、外に持ち出して徐々に進出していくぜ!)



岡西はいつも通り最後方の位置での競馬、そして向こう正面に入ったのと同時に徐々に外にギガクロスブレイクを持ち出す。


(来たな摩那舞……。お前らが来るのを待ってたぜ)


ちょうどギガクロスブレイクの斜め左側の大外でキリンジに乗る武井幸は岡西が進出してくるのを待っていた。


(ん? タケコーの奴、なにかたくらんでるな……)


岡西は武井幸がギガクロスブレイクの位置を確認するためにチラっと後ろを向いたことにとっさに気づいた。残り1000Mに近づいてきたときに岡西はじわじわっとギガクロスブレイクを追い出しにかかった。そして残り1000Mの標識のあたりでギガクロスブレイクとキリンジが併走する形になった。


(先生の推理が正しければギガクロスブレイクに土をつけれる)

(ん? キリンジがギガと併走だと? まさか俺が出るのと同時にピッタリとくっついていくのか? 残念ながらギガの脚には追いつけないぜ)


武井幸と岡西は併走状態でお互いの心理を探り合う。その時、突如ギガクロスブレイクがかかってしまい合図を出してないにも関わらず急に前に進出し始めた。


(なにっ、ギガ! どうしたんだ? お前がひっかかるなんて! 落ち着け、まだ2周目の淀の坂の前だぞ! 抑えろ抑えろ!)


岡西は予想外のギガクロスブレイクのかかりに焦り始めた。ひっかかったギガクロスブレイクをなだめようと岡西は必死で手綱をひいた。それでもギガクロスブレイクは前へ前へと進出して淀の坂道の上りのあたりで先頭を走るタイガカルチャーに追いつきそうな勢いで迫っていた。そのシーンを観て12万人の観客がいっせいにどよめきはじめた。

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