熱闘!夏競馬in2005(第5週)
主な騎手の騎乗予定
土曜 日曜
岡西 札幌 新潟
鈴木中 新潟 新潟
「ふう、夏競馬も今週で終わりかいなぁ。まあ夏の成績は七夕賞の週で岡西君にぎょうさん稼がせてもらったさかい例年以上の気分で生活できたわぁ。まあ来月から一級戦の馬が帰ってくるさかい秋のG1戦線オモロなるでぇ。ワシんところの稼ぎ頭のユーロも頑張らなアカンしなぁ」
押切は厩舎の休憩所で寝転がって今後のことを考えながらぼやいていた。そして近くにあったスポーツ新聞を手にとって競馬関連の記事を読みはじめた。
『熾烈! サマージョッキーシリーズ争い、優勝は誰の手に?』
26ポイントでトップの岡西は新潟記念に出走、25ポイントで2位の武井匠は土日共に小倉での騎乗のためサマージョッキーシリーズの争いから後退、20ポイントで3位の隅田は札幌でキーンランドCに出走予定となっている。今週の重賞の結果次第で順位の入れ替わりも十分に考えられるため競馬ファンの注目も集まっている。
『岡西、夏のリーディングジョッキー確定』
ほとんどの騎手がちゅんの熱愛やトメさんの応援幕に苦しめられたが、ただ1人話題とは無関係に勝ち鞍を挙げ続けた岡西が8月5週を待たずして夏のリーディングを確定させた。ちなみに2位は8月以降絶好調だったちゅんである。
『鈴木中&ユーロギャラクシー、重賞初制覇!』
先週新潟競馬場でユーロギャラクシー号(栗東・本岡厩舎)が新潟ジャンプSを制した内容の記事。
見出しの内容の半分以上が岡西に関することが多く載っていた。
「う~ん、やっぱ岡西君はすごいわぁ。アホのちゅん絡みのアホなトラブルにも関係なく勝ち鞍ぎょうさん挙げるさかい。サマージョッキーシリーズはぜひとも岡西君に優勝してもらいたいものや。せや! レース終わったら岡西君誘ってどっか食事でも行くかな。彼なら新潟のうまいところ知ってるやろうから」
押切の岡西をベタ褒めしてなおかつちゅんの重賞制覇のことはスルーするという相変わらずの両極端な扱いぶりは常に健在であった。レース後の楽しみを思いついた押切はその後、新潟競馬場に出かける準備をはじめた。
──京都府内某所、須藤家別荘──
「クソッ、マジで忌々しいぜ!」
目つきの悪い右の頬に傷を持った青年がスポーツ新聞の岡西に関する記事を読んだのと同時に地面に乱暴に叩きつけた。この青年の名は須藤 立という騎手学校11期生卒の騎手。岡西世代からみて2つ上の先輩にあたる。騎乗技術に関しては1年目の新人騎手よりはそれなりにあるが、重賞勝ちは今のところなく通算勝利数も11年目でやっと100勝到達したくらいの実力。今年の日本ダービーの時に押切の管理馬に斜行されて怒鳴り散らしていた須藤利直オーナーの1人息子である。須藤立は裕福な家で育ったためか性格は極めてわがまま。先輩騎手には媚を売り、後輩騎手にはやたら威張り散らす典型的なタイプである。そのため競馬サークル内での評判はあまりよくなく、取り巻きの壬生・西条・賀集院・観音寺の同期4人といつもつるんでいる。ちなみに須藤立の右頬の傷跡は今から5年ほど前の重賞レース中に岡西が乗る馬の顔にムチを打って競走を妨害して、その後、検量室であまりの悪質ぶりに激怒した岡西に思いっきりムチで打たれたときのものである。
「立、なんとかアイツを競馬会から追い出せないかなぁ?」
そう言って須藤立に話をふってきたのは賀集院であった。この賀集院は有力公家の家系出身でいがぐり頭と極端に薄い眉毛がトレードマーク。
「護! いい策あるなら俺も苦労しね~よ! いちいち話を俺にふらずにたまにはお前もいい案考えろよ!」
「う~ん……」
ぶっきらぼうに振舞う須藤立にうなだれる賀集院。
「くっそ~、ダービーの時に余計な邪魔が入ったから……」
そう言って3ヶ月前の出来事を悔やむ金髪パンクヘアーの男・壬生がお気に入りのピアスを指でいじりながらつぶやいていた。壬生は3ヶ月前のダービーの週の時に岡西をレース中に妨害しようとした時にちゅんが乗る馬の斜行に巻き込まれて落馬した過去がある。怪我は軽傷だったものの、そのレース中によそ見をしていた(後ろを走る岡西に気を取られて左によれてくる馬群への反応が遅れた)ため「前方不注意」と裁決委員から判断されて注意処分を受けたという。
「俺らはみんな土曜は小倉、日曜は新潟で乗るから日曜やるしかないだろ……」
「アイツは重賞があるところに必ず出てくるからチャンスは今週しかないよ」
タバコをふかしながら携帯をいじってるパンチパーマの髪型が特徴の西条と、コンパクトMDを聴きながら体でリズムを取ってるスキンヘッドが特徴の観音寺がそれぞれ順番に答える。
「うむ、みんなここにいたかね」
「あっ、オーナー! いつもお世話になってます!」
突如現れた須藤オーナーに取り巻きの4人が慌てて気をつけをして丁寧に挨拶した。
「あ~、楽にしてくれたまえ……。今週の日曜新潟での君達の乗鞍を教えに来た。1Rは賀集院君、2Rは壬生君、4Rは観音寺君、7Rは西条君、そして9Rに立、おまえだ……。わたしが調べたところいずれのレースにもあの憎たらしい岡西摩那舞が騎乗する。必ず奴を亡き者にしてくれ」
「は、はい! 頑張ります」
「オヤジ、当たり前だぜ! オフクロの仇のアイツをこれ以上いい気にさせるわけにはいかね~からな!」
実はこの須藤一味はいずれも岡西と昔からの因縁を持ってる連中で騎手学校時代からプロに入ってからも岡西に粘着し続けている連中である。ちなみに岡西の騎手学校時代の黒歴史の原因の8割が須藤一味絡みである。今まで起きた事件の内容を1つ1つ言うとキリがないほど多いため前例は省略するが、岡西の華やかな活躍の裏には「須藤一味との泥沼紛争」が常に含まれているという。これらのことについて岡西は押切や本岡など無関係の人を巻き込みたくないため一切口外には出さないでいた。
──レース当日、新潟競馬場にて──
夏競馬もいよいよ最終週を無事に迎えた。ちゅんは土曜の新潟のレースで3戦3勝、岡西も土曜の札幌のレースで驚異的な複勝率を叩き出して今日を迎えた。岡西の成績に関してはれっきとした実力であるが、ちゅんの場合はトメさんの新種の応援幕による支援効果が原因。その応援幕は重賞の優勝レイ並みにやたらと豪華で高校野球で使用される甲子園大会の優勝旗みたいなもので、中央部分に『常勝! 鈴木中』と金色の文字で書かれていた。あまりの派手さとちゅんのキャラに似合わないスローガンに観客や他の騎手に動揺を与えてしまったという。その関取の化粧回しのような応援幕は今日も新潟競馬場で波乱を起こそうとしていた。他にも一部の競馬関係者のみが知る「岡西VS須藤一味の泥沼紛争」の火ぶたも切って落とされる。
1R 2歳未勝利牝 芝1400M
岡西(ケイエイアニータ号)VS 賀集院(アイシャドウ号)
【結果】
1着 ケイエイアニータ(岡西)
2着 ケイエムアリッサ(鈴木中)
4コーナー過ぎて1馬身差の2番手で逃げるちゅんを追いかけていた岡西に賀集院は外側から斜行して妨害工作をしかけようとしたが、ちょうど賀集院の前を走っていたちゅんが追いに入った瞬間、ちゅんのズボンのお尻のところがビリっと破けてパンツ丸見え状態になり、破ける瞬間をモロに見てしまった賀集院はふきだしてしまいバランスを崩して落馬、競走中止となる。
2R 3歳未勝利 ダ1800M
岡西(カンフーロドリゲス号)VS 壬生(ブラッククラウド号)
【結果】
1着 カンフーロドリゲス(岡西)
7着降着(4着入線) ブラッククラウド(壬生)
騎乗指示が出る前のパドックで壬生はトメさんが持ってきた応援幕を見てしまって笑いをこらえるのに必死になる。その影響で精彩を欠いた壬生は3コーナーから4コーナーの間で慌てて内を走る岡西を妨害しようとしたが、他の先輩騎手の乗る馬の進路妨害をしてしまって壬生は降着、開催4日間の騎乗停止処分となる。
4R 3歳未勝利 ダ1200M
岡西(ラージホリディ号)VS 観音寺(ブラックマーメイド号)
【結果】
1着 ラージホリディ(岡西)
2着 ライネブロッサム(鈴木中)
スタートと同時に激しいポジション取りの際、観音寺は隣を走るちゅんが通り過ぎるのを見た時、1Rで破れたズボンの縫い合わせが直径15センチほどのブタさんマークの白いアップリケの形をしてたためそれを見てしまった観音寺はふきだしてしまって落馬、競走中止となる。さらにその放馬した競走馬は間の悪いことに他の競走馬が走る馬群の中に暴走して不利を食らう馬が多数発生。裁決委員のジャッジにて不注意による落馬と判明して観音寺は厳重注意処分を受ける。
7R 3歳以上500万下 芝1800M
岡西(キリフダ号)VS 西条(シャドウヘラクレス号)
【結果】
1着 キリフダ(岡西)
2着 メガロミラージュ(鈴木中)
3コーナーから4コーナーの間で馬群に包まれていた西条は捲くりで外からやってきた岡西を見たのと同時に外側に進路変更をして岡西の馬に迫ろうとしたが、無理な騎乗がたたって斜行により多数の競走馬の進路妨害をして1人の騎手を落馬させたためシャドウヘラクレス号は失格となり、西条は開催4日間騎乗停止処分を下される。
9R 稲妻特別 芝1000M
岡西(ヘイザンバロメッツ号)VS 須藤立(ブラックドラゴン号)
【結果】
1着 ヘイザンバロメッツ(岡西)
13着降着(5着入線) ブラックドラゴン(須藤立)
須藤立は仲間の不甲斐なさに苛立ちを持ってレースに挑み、残り500のところで内から外に不正に進路変更して前を走る岡西の馬に迫ったが絶妙のタイミングで岡西の乗る馬に二の脚を使われてかわされてかわりに他の競走馬のほとんどの進路妨害をして、須藤立は開催8日間の騎乗停止処分を下される。
これらの結果に須藤オーナーは大激怒。今日のレースをぶち壊した5人の騎手を含めてますます気まずい立場に立たされる一方であった。なお、騎乗停止や厳重注意処分を下された5人の騎手はレース終了後、不利を食らった先輩騎手達からの「合同お説教会」に強制参加させられたという……。
──競馬関係者特別席にて──
「なんやなんや~、今日の新潟は審議とか降着とか酷い内容のレースばっかりやなぁ。特に9Rなんか蛇行騎乗してるアホなのおったなぁ。あれはちゅん以下のヘタレなんちゃうか? ワハハハハ!」
押切はいつもの通り椅子に座ってあぐらをかいてアイスコーヒーのブラックを飲み干しながらのん気にくつろいでいた。押切の目の先に見える新潟競馬場のターフビジョンでは新潟記念出走馬のパドックの光景が映っていた。その時ちょうど1頭の出走馬が歩いてるところの背景にちゅんの特製応援幕が押切の目にとまった。
「あ、あぁ? な、なんかごっついかがわしいのが見えたんやが……。ちょっとパドックをのぞいてみるわ」
そう言って押切は慌ててパドックが見える側のほうへと走って行き、望遠鏡を使ってパドックの応援幕を1つ1つ確認してその幻と思っていた応援幕を発見した。
「はぁ? なんやあれ……。ちゅんを応援するだけでも頭おかしいのに、あのアホタレにはもったいないくらい金かけとるキチガイの競馬ファンがこの世の中にもおるんかいなぁ。あんなド派手なの作った奴ってどんな頭のつくりしとんのやら……」
押切は自分の常識の中ではありえないことについて理解に苦しんでいた。時刻が15時25分になった頃、札幌で行われるキーンランドCのレース発走前のシーンがモニターに映し出された。
「あっ、せや! 札幌ではキーンランドCがあったんやった! こりゃ観ておかなアカンわ。岡西君のサマージョッキーシリーズ争いに大きく関わっとるさかい……」
そう言って押切は熱心にキーンランドCのレースを観始めた。
約3分後……
キーンランドCは隅田騎手騎乗のフジコウエルザ号が勝ち、函館SSに続き2つ目の重賞を制覇してサマースプリントシリーズ覇者となった。また隅田騎手はサマージョッキーシリーズで10ポイントを獲得して合計30ポイントになり現時点で26ポイントの岡西を抜いて暫定トップに立った。
「う~わ、岡西君がポイント抜かれても~たわぁ。新潟記念はそろそろ本馬場入場やからなぁ、どうにかして岡西君に伝えなアカン! えっと岡西君の馬は……13番やな……。まだ間に合うわ! これはあの手を使うしかないやろ!」
そう言って押切はとある策を思いつき一目散にどこかに駆け抜けていった。押切が準備中の間に新潟記念出走18頭の馬柱表を紹介。枠順は以下の通り。
新潟11R 新潟記念 G3 芝2000M 良 15:45~発走
1枠 1番 サマニンエルク 牝4 52 江戸照 美・越野
1枠 2番 セイギノシルシ 牡5 55 吉井豊 美・古久保洋
2枠 3番 エリクサー 牡5 56 中田勝 美・藤枝和
2枠 4番 ブラスストライカー 牡6 55 勝田 美・尾方
3枠 5番 ダンテスペース 牡4 54 武者 美・松川
3枠 6番 タニーネイル 牝6 52 蛇奈 美・阿仁原
4枠 7番 ノボルマリンバ 牝4 51 中竹 美・天馬
4枠 8番 イヴィルダーク 牡6 57 前藤 栗・白田
5枠 9番 アルマイヤエンゲツ 牡6 55 村井 美・木場
5枠 10番 グラリオリッター 牡5 56 柴畑善 美・小宮山
6枠 11番 パフェデシャヴ 牡5 54 増岡 美・松川
6枠 12番 マリノリュウセイ 牡7 58 横井典 栗・梅津
7枠 13番 チェリープラネット 牡6 55 岡西 美・小柴
7枠 14番 ガロンプレシャス セ6 55 石田 美・国木田
7枠 15番 カチニゲ 牡7 54 池越 栗・音有
8枠 16番 キルトロケーション 牡5 54 石垣修 美・尾方
8枠 17番 シンダルサーペント セ7 56 北町 美・藤枝和
8枠 18番 ゾフ 牡8 53 木場田 美・国木田
現時点で1~8人気までの馬がオッズ10倍を切っているという大混戦。予想家や競馬ファンも軸馬をどれにしようかと迷ってる人がほとんどだった。基本的に人気を背負っている馬はいずれも重賞レースでの好走実績がある馬。ちなみに岡西が乗るチェリープラネットは前走函館記念7着からの巻き返しを狙っている馬で、鞍上が6戦5勝2着1回と乗りに乗ってるためか前走凡走にも関わらず7番人気に押されている。この馬の特徴は直線コースで左にヨレる癖があるということでこの癖のある馬をどう乗りこなすかは岡西の手腕にかかっているという…。
──新潟競馬場、近馬道にて──
重賞レースの本馬場入場のため次々と近馬道を通っていく18頭の出走馬達。岡西も前の馬番のライバル馬に続いて本馬場へとチェリープラネットを誘導させていた。ちょうど出口のところに異様な容姿の男が1人、競馬新聞らしき紙を広げてポツンと立っていた。その男は唐草色のハンチング帽子、顎に白いサンタクロースのような付け髭をつけていて、上下黒のレザーに某アーティストが使用していた丸型のレンズタイプのサングラスをかけていた。
(よっしゃ! これでバレへんやろ。要は新聞に書いてあることが岡西君に伝わればええんやから……)
押切は他の騎手から変な目で見られてるということはお構いなしで岡西が乗る馬を待ち続けていた。広げてる新聞には油性マジックで『隅田騎手、キーンランドCに勝ってもーた!』と殴り書きで書いてあった。しばらくして岡西が乗る馬が変装した押切のところを通り過ぎようとしていた。
(ん? 押切先生なにやってんだ? あれで変装してるつもりかなぁ? なんか書いてある、ずいぶん汚い字だなぁ。う~ん、隅田さん重賞勝ったんだ。ということは暫定でトップに立ったということか……。俺がトップに返り咲く条件は最低でもこのレースで連対しないといけないわけか……。しかし押切先生もいらぬお節介をしてくれるものだなぁ……)
押切は自分の完璧にバレてないと思ってるが、岡西から押切のバレバレの変装は最初から見抜かれていた。岡西は他人のふりをしてターフに入ったチェリープラネットの返し馬に入った。
──レース発走前、スタート地点にて──
時刻は15:40、ファンファーレが鳴る5分前。各出走馬はいつもの通り輪乗りをしてスタートを待っていた。
「さっき近馬道に変なのいたなぁ」
「俺なんか間近でモロに見てしまった」
「最近競馬会にも変わり者が増えてきたなぁ」
その間に何人かの騎手が他愛のない話で談笑していた。
(他人のフリ他人のフリ……。レースに集中だ。前走は大外にふりすぎて直線の短い函館では届かなかったが、新潟は直線が長いのでコイツの持ち味は出せる。直線勝負の時は馬場のいいスタンド寄りで馬群から離れて走らせて、なおかつヨレ対策として右斜めに走らせるようにしないとな)
しょうもない話で盛り上がる周りとは正反対に1人岡西だけはレースに集中していた。新潟記念に勝つことだけでなく今後のことも考えてた。もし岡西がここで斜行をしてしまい騎乗停止を食らった場合、ユーロステイテッド(9月2週ダービーGP出走予定)・ギガクロスブレイク(9月3週セントライト記念出走予定)・キタノアルタイル(9月3週日本テレビ杯出走予定)など中央・地方での自分のお手馬での出走予定のレースに乗れなくなる可能性があるからである。あれこれ考えてるうちにスターターの係員が合図の旗を振って新潟・福島で使用されるファンファーレが鳴った。そして18頭の出走馬が次々とゲートに誘導されていく。
《実況アナ》
お待たせしました。本日の新潟メインレース農林水産賞典新潟記念、芝2000メートル良馬場、今年も18頭フルゲートで行われます。枠入りは順調、続いて偶数番の馬が入ります。最後に18番のゾフが入りまして体勢完了……。スタートしました!ちょっとバラついたスタート、6番のタニーネイルダッシュがつかないか、11番パフェデジャヴも後方からの競馬、まずは最初の先頭争い押して15番カチニゲがハナを切ります。1馬身後ろに12番マリノリュウセイと8番イヴィルダーク、その内に3番エリクサー、人気サイド3頭が2番手集団を形成、その後ろに2番セイギノシルシ、その横にオレンジの帽子14番ガロンプレシャス、半馬身後ろに内に4番ブラスストライカー、外に7番ノボルマリンバ、1馬身後ろに5番ダンテスペースと1番サマニンエルクが並んで追走、大外に13番のチェリープラネット、1馬身後ろに10番グラリオリッターと9番アルマイヤエンゲツが並んで追走、その後ろにピンクの帽子の3頭内から16番キルトロケーション、17番シンダルサーペント、18番ゾフ、お終いから2番手に6番タニーネイル、最後方にパフェデシャヴというやや縦長の展開……。先頭集団は早くも3コーナーから4コーナーへと入っていきます。先頭はカチニゲ、すぐ後ろにマリノリュウセイとイヴィルダーク、エリクサーやセイギノシルシ、ガロンプレシャスなど徐々にペースを上げて、各馬直線コースへと入っていきます。ここで先頭が替わる勢い、先頭は3番エリクサー、マリノリュウセイとイヴィルダーク懸命に追っている、カチニゲは一杯になった、サマニンエルク、ダンテスペースなども脚を伸ばしてきた、さあ最後の直線の叩き合い、先頭は3番エリクサー1馬身のリード、2番手以下は大混戦だ、マリノリュウセイ、イヴィルダークは伸びない! 大外から1頭チェリープラネット迫ってきた! さらにサマニンエルク、真ん中からダンテスペース、さらにはタニーネイルも迫ってくる! 残り200を切った! 先頭はエリクサー! チェリープラネット伸びる! エリクサー! チェリープラネット! 差し切ったゴールイン!
(よし! 決まった! スタンドに馬体向けて走らせたのが大正解!)
岡西は軽くガッツポーズをした後にポンとチェリープラネットの鬣を撫でてねぎらった。ルーキーイヤー以来となる2度目の新潟記念制覇を果たし、サマージョッキーシリーズのポイントを36にして再びトップに返り咲いた。
サマージョッキーシリーズランキング(8月5週終了時点)
1位 岡西 美浦・フリー 36ポイント 七夕賞・小倉記念・新潟記念
2位 隅田 栗東・フリー 30ポイント 函館SS・キーンランドC
3位 武井匠 栗東・フリー 25ポイント 札幌記念
4位 安城勝 栗東・フリー 23ポイント 北九州記念
5位 藤井 栗東・フリー 22ポイント 函館記念
6位 小西 美浦・フリー 12ポイント アイビスSD
サマー2000シリーズ優勝
メイトウバーニング号 牡5 16ポイント(栗・瀬戸内)
サマースプリントシリーズ優勝
フジコウエルザ号 牝4 20ポイント(栗・鶴田)
《新キャラ紹介》
須藤 立 栗・フリー
須藤利直オーナーの1人息子
賀集院 護 栗・フリー
代々公家の名家出身のドラ息子
壬生 昭広 美・フリー
パチンコ業界社長のドラ息子
西条 清 栗・フリー
有名医者のドラ息子
観音寺 達也 美・フリー
某市市長のドラ息子
本編で悪役振りを発揮してる5人。彼らは準主役の岡西騎手とは騎手学校時代からの因縁がある完全オリジナル騎手です。紛争の内容については話が進むにつれて少しずつ明らかになっていく予定となっています。