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熱闘!夏競馬in2005(第4週)

主な騎手の騎乗予定


    土曜  日曜

岡西  新潟  札幌

鈴木中 小倉  新潟


 時は2005年シーズンの8月4週、場所は栗東トレセンの本岡厩舎のプレハブ室。追い切りを終わらせた岡西とちゅんが先週のレースの反省会、および今週行われる新潟ジャンプS(G3)の傾向と対策を練っていた。お互い夏競馬に入って順調に勝ち鞍を挙げてるもの同士、さらなる飛躍を目指して勉強会を開いてた。岡西は宿敵・武井匠騎手からのリーディング奪取、ちゅんは重賞初制覇とそれぞれ目標を持って活動をしている。


「さて、ちゅん君。先週のクイーンSのレース映像を通常画面・全周パトロール画面の2種類を観てどうして俺に負けてしまったかわかったかな?」

「う~ん、僕なりにレースを振り返ったんですけど最後の直線でメビウスがソラ見したんですよ。あれが一番の原因かと……」

「うん、なるほど。他に気づいたことは?」

「そうですね~、僕のポジション取りが前過ぎたか? あるいは仕掛けるのが早かったか? あの時の僕は岡西さんに輪乗りの時に声かけられる前は緊張し過ぎていてなにも思い出せないんですよ。でもレースに入ってからはとにかく自分の競馬に徹しようとして夢中で馬を追ってました」

「なるほどね……」

「は、はい」


ちゅんの意見を聞いた後、岡西は10秒ほど間を置いて結論を言い始めた。


「ソラ見についてはあとで説明するとして、ポジション取りについてはあのレースに関してはあれで正解だよ。なんでかって言ったら先週の札幌は開幕週だったでしょ? しかもパンパンの良馬場なので時計も速くなる。あの馬場状態だと前を走る馬の脚は止まらないため後ろの馬は届かないことが多くなってしまう。先週のクイーンSのメンツ見てもどの馬が逃げるかわかんないと思ってたけど、俺はたぶんちゅん君が十中八九逃げを打つと読んでたので、本来は差しの脚質のセツイチフローラに先行策をしかけたんだ」

「な、なるほど……。そういえばあの時、セツイチフローラは僕が乗るメビウスにピッタリとマークについてましたね……。だから僕は自然にペースを落ち着かせたんですけど」

「うん、ペース配分もあれで十分だよ。問題は直線に入ってからだね」

「は、はい。僕はあの時残り400のところでムチを入れて突き放しにかかったんですよ。岡西さんの馬が伸びてこなかったのでこれはもらったと思ったのですが……」

「ははは、残念ながら君が4コーナー入って先頭で突き放しにかかった時点で俺は勝ちフラグ見えたんだよね」

「え、えええ~~~! た、確か岡西さんもムチ入れて追い出しにかかってたはずなのに……」

「残念ながら俺は残り400ではムチ入れてないんだよね。残り400のところの全周パトロールの画面のセツイチフローラのところを拡大してみるよ。よく見たら空振りしてるでしょ?」

「ほ、ほんとだ……。まさか仕掛けをわざと遅らせたんですか?」


ちゅんは自分の騎乗常識の範囲内では考えられない岡西の騎乗に驚きながら尋ねた。


「う~ん、わざと遅らせたというよりはメビウスに先頭に立って途中まで走ってもらおうと思ったんだよ。さっき言ったソラ見癖を出させるために。いちおう俺は騎乗依頼を受けて押切先生の管理馬には一通り乗せてもらってるから各馬のある程度の癖はわかってるので」

「検量室前の着順ゲートでの押切先生の言葉の意味はこういうことだったんですね……。恐れ入りました……」

「ハハハ、でも騎乗の工夫次第では君にも勝機はあったんだよ。まあメビウスがソラ見癖を調教などで解消していればそれに越したことはないけど、必ずしも解消されてるとは限らないからね。あの場合もし俺が残り400で君と同じようにスパートかけて追い比べになってたらそっちが勝ってた可能性もあるよ。セツイチフローラは直線勝負で並んだ時はあまり分がよくないので。逆にメビウスは並ばせたらけっこう負けん気起こすけど、単騎になった場合は競馬をやめるところがあるので。俺はそこを突いたのさ」

「な、なるほど……。うーん、またリベンジしたいですね」

「まあ騎手はこうやって敗戦を糧に次に繋げていく。それの繰り返しだよ。今週は障害の重賞に出るんだろ? この悔しさをそっちにぶつけて勝ちに繋げないとね」

「そ、そうですね」


そう言って岡西とちゅんは一息入れ始めた。その時ドアからノックが鳴って、お盆に乗せたコップ一杯の2人分の麦茶を持ってきた菅野厩務員が入ってきた。


「2人とも熱心ね。これ飲んで水分補給しないとね」

「あっ、ありがとうございます」

「菅野さん、ありがとうございます。いただきます」


岡西とちゅんは菅野に一言お礼を言って冷たい麦茶を飲み始めた。


「ふう、よく冷えてますね」

「ほんと、生き返りますよ」

「ふふっ、ところで今週障害の重賞に出走するユーロギャラクシーの対策はもう立てたのかしら?」


菅野はさりげなく岡西に尋ねてきた。


「いや、まだです。今さっき先週のレースの反省会を終わらせたところでしたので一息入れて対策を立てる予定です」

「そうなんだ。まだウチの厩舎で重賞勝ちがある厩務員は今のところわたしだけだからね。ちゅん君、大西さんに重賞を勝たせてやらないとね」

「え、ええ……。そのつもりですので……」


菅野の思わぬ激励に戸惑いながらもちゅんは重賞で勝ちたいという意志を表した。


「ふふ、まあ頑張ってね。それじゃ」


そう言って菅野は部屋を後にしていった。


「さて、一息入れ終わったところでさっそく新潟ジャンプSの対策でもやるかな」

「あっ、はい。お願いします」


ちゅんは一気に麦茶を飲み干して、あらかじめ岡西が準備してきた新潟競馬場のコース図を食い入るように見つめた。


「まず新潟の障害コースを見てなんか気づいたことあるかな?」

「ん~、そうですね。まず障害の種類が竹柵しかないのと……。あっ! 内外が入れ替わる地点がない!」

「そうだね、新潟と府中の障害コースはスタートからゴールまでずっと周回するだけなんだよ。飛越については基本どおりやれば問題ない。問題は道中のポジション取りだよ。左回りでずっと走らされるのでどうしても内枠が有利になる。枠順決める時に内枠寄りに入ったときはスタートさえ出遅れず、なおかつコーナーに入る前にハナを切れるまたはインを取れれば勝ち負けまでは持っていける」

「な、なるほど……。ではもし僕の馬が外枠に入ってしまった時はどうすればいいのでしょうか?」

「外枠からの攻略法は自分とゲートが近い内側の相手次第によるからねえ。たとえ自分がきれいにスタートを決めたとしてもすぐ隣の内側の馬も同じようにスタート決められたら、なかなかイン寄りに持ち出せなくて距離損を食らってしまうからね。その場合は無理に追わずにじわじわとポジションを上げていきながらインを狙うように。まあ、あとは位置取りばかりにとらわれすぎて基本の飛越でミスらないようにね。飛越ミスると馬に無駄な負担がかかって折り合いつけるのが難しくなるので……」

「は、はい……。う~ん、やっぱり難しいですね~」


ちゅんは岡西から対策の概要を伝授してもらってもなかなか自分なりのレースでのイメージが確立できなくて困惑していた。


「まあ対策はこんな感じになるけど実際の過去のレースを見てから自分で研究しないとね。過去のレースで勝った人がどうやって勝ちに結び付けたかというのを参考にするのが1番手っ取り早い。俺はちゅん君のためにここ10年間の新潟ジャンプSのレースの画像をDVDにダビングしておいたからこいつを観て研究してね」


そう言って岡西は1枚のDVDディスクをちゅんに手渡した。


「あっ、わざわざありがとうございます!」


思わぬプレゼントにちゅんは目を輝かせて岡西にお礼を言った。


「ちなみに俺が勝ったレースは1999年シーズンのやつで、確かあの時は8枠からのスタートだったなぁ。まあ10種類あるのでその中から自分の騎乗スタイルに近いレースを見つけて研究して」

「あっ、はい! 頑張ります!」


ちゅんはさっそくプレハブ内にあるDVDプレイヤーにディスクを挿入してレース画像を観始めた。その時、ドアのノックが鳴り、西田厩務員が入ってきた。


「あっ、岡西君。ここにおったかいな」

「あれ? 西田さん、どうしたんですか?」

「あんなぁ、ウチの厩舎の前にお客さんが2人ほど来てて岡西君に用があるみたいなんよ。今ウチの先生と押切先生が話をしてるところなんやけど俺は呼んできてくれ頼まれたんやわぁ」

「なるほど、それでその2人は誰かわかります?」

「んとなぁ、1人は馬主さんで確かマンデーレーシングの代表の人やったと思う。もう1人はかなりベテランの調教師で……そうそう、仁藤雄一郎先生やわぁ! 多分騎乗依頼やろうとは思うんやが……」

「あの仁藤先生がですか? あの先生がわざわざ関東の騎手に騎乗依頼してくるってイメージないんですけどねえ……」


岡西は西田から仁藤調教師の名前を聞いて首を傾げて疑問に思っていた。


「まあとにかく来てもらえへんやろうか? 客人待たせるのも悪い思うから」

「わかりました、すぐ向かいます。ちゅん君、ちょっと急用できていつ戻るかわかんないけどその間にレース画像観てじっくり研究していてね」

「あっ、はい。わかりました」


岡西はちゅんに一声かけて西田と共に本岡厩舎入口まで駆けつけて行った。詳細については後の話になるが、運命の名馬がまた1頭岡西の元にやってくることになる。


──レース当日──


 8月の下旬に差し掛かっても全国的に猛暑が続く中、現在開催中の各競馬場では滞りなくレースが行われていた。先週札幌競馬場で猛威をふるったちゅんの芸術作品風の応援幕は今週もちゅんが騎乗する競馬場にて猛威をふるっていた。土曜のレースでは小倉、日曜のレースでは新潟でそれぞれ他の騎手を苦しめていた。オマケに唯一対抗できる岡西と騎乗場所がまったくかぶってないためちゅんが出てくるレースはすべて1着という大波乱。それと同時にトメさんの馬券はすべてものの見事に大的中。新潟ジャンプS発走前までのちゅんが騎乗したレースの内訳は以下の通り。


土曜 小倉競馬場


5R ジュスト号 牡3 12頭立て8番人気1着

7R オオバンブルマイ号 牡3 15頭立て10番人気1着

8R ビコーズモア号 牝5 16頭立て9番人気1着

12R ライネマーメイド号 牝4 13頭立て6番人気1着


日曜 新潟競馬場


1R ハナマルサムシング号 牡2 15頭立て12番人気1着


《札幌競馬場》


 ここは札幌競馬場内のモニタールーム。レースを終えた各陣営がレースをチェックしていろいろと確認をしていた。そんな中、岡西は1人別モニターにて映っている新潟競馬場の9Rが出走するのを腕を組んで壁に寄りかかってじっくり観ていた。岡西は札幌記念に騎乗予定だが、まだレースまでには時間があるためにこうやって時間つぶしをしていた。本日の新潟9Rはちゅんがユーロギャラクシーで出走する新潟ジャンプS。岡西はちゅんがどれだけ重賞の舞台で自分のレースができるかをチェックしていた。ちょうどその時、ジャンプ重賞のファンファーレが鳴り、各馬ゲートに入り始めた。


(今年は11頭立てかぁ。ずいぶん出走馬少ないんだが……。ちゅん君が乗るユーロギャラクシーは6番か、ちょうど真ん中だな。さてどうレースをするかな?)


体勢が整い、スタートが切られた。出走馬11頭は特に出遅れはなかった。内枠寄りの3頭が先行争いをしていて、その外側にユーロギャラクシーは位置取りをした。そして迫ってくる竹柵を無駄なく飛越していく。


(うん、うまく先頭集団につけたな。飛越も問題ない)


ユーロギャラクシーは最初のコーナーを回ってちょうど4番手の位置で競馬をしていた。正面スタンドの竹柵を他のライバル馬と共に淡々と飛越して進んでいく。正面スタンドを通過して向こう正面を通過しても順位は変わらずちゅんはじっくりレースを進めていた。そして先頭集団は3コーナーに入ろうとして徐々にペースを上げていく。ちょうど先頭を走っていた馬の脚色鈍くなり、ユーロギャラクシーと併走していた馬は3コーナー前の竹柵で飛越ミスを起こして順位を後退させた。3コーナーから4コーナーの間は竹柵がないためちゅんは追いに入って残りの1頭に追いつき始めた。そして直線に入りムチを入れてラストスパートをかけた。残りの1頭を交わして先頭に立ち、じわじわと差をつけ始める。そして迫る後続を振り切りユーロギャラクシーは1着でゴールインした。その時のちゅんはぎこちない仕草で大きくガッツポーズをして大いに喜んでいた。


(ちゅん君、重賞初制覇おめでとう。やってくれるじゃないか。俺も札幌記念頑張らないとな……)


岡西はユーロギャラクシーが1着でゴールしたのと同時に無表情の顔つきでその場を去って札幌競馬場のパドックへ黙々と向かって行った。本岡に久々の重賞制覇をもたらしたちゅんはその後、押切から手荒い歓迎を受けたという。また表彰式の時、馬主の村山が相変わらずの常識はずれの行動で新潟競馬場に独特の雰囲気をつくりあげたという。詳細については後の話にて……。


──札幌競馬場パドックにて──



 札幌記念発走1時間前、夏競馬で唯一のG2重賞が行われるということで札幌競馬場には6万人近い客が来ていた。出走数は12頭と例年より少ないが、この重賞で注目なのは現役6人のダービージョッキーが激突するということで例年以上に盛り上がりを見せていた。内訳は美浦が岡西・小西の2人、栗東が武井匠・安城勝・隅田・藤井の4人である。残りの6人の騎手は現時点ではダービーは制してないものの、みんなトップクラスの騎手ばかりという。枠順は以下の通り。


札幌9R 札幌記念 G2 芝2000M 良 15:25~発走


1枠 1番 セイテンガルーダ  牡3 54 岡西  美・稲田

2枠 2番 アルマイヤバジル  牡6 57 石田  栗・殿道

3枠 3番 リョウナンカラー  牝5 56 藤井  美・本屋

4枠 4番 グラリオリッター  牡5 57 柴畑善 美・小宮山

5枠 5番 メイトウバーニング 牡5 57 武井匠 栗・瀬戸内

5枠 6番 ブラスバイキング  セ7 57 蛇奈  美・小形

6枠 7番 サンセットクルーズ 牡4 57 隅田  栗・音有

6枠 8番 アサノゼピュロス  牡6 57 三井  栗・古久保龍

7枠 9番 カールトンマシン  牡5 57 小西  栗・大仁田

7枠 10番 キールマン     牡7 57 横井典 美・藤枝和

8枠 11番 ガロンビットマップ 牡4 57 安城勝 栗・松木国

8枠 12番 トキマーガレット  牝4 56 福沢  栗・加山


 現在1番人気は前走函館記念で1番人気3着だった5番メイトウバーニング。函館の洋芝に戸惑って3着という専門家の評価プラス鞍上の武井匠騎手がこの札幌記念で滅法強いということでの人気を集めている。一方岡西が乗るセイテンガルーダは出走馬の中で唯一の3歳馬で前走1600万下条件の天の川Sを快勝してオープンクラスにあがってきた上がり馬である。専門誌から見て印自体はあまり厚くはなかったが、鞍上のここ数週の騎乗成績から4番人気に押されている。


「いや~、しかし今日は例のアイツがいない状態で札幌記念迎えられてよかった」

「そうだな、もしアイツがいたら名物重賞に黒歴史つくるところだったからなぁ」


パドックの騎手待機所で並んでる数人の騎手が安心した表情で他愛もない話をしていた。アイツというのはもちろん猛威をふるってるちゅんのことである。そのちゅんがいないため今日の札幌競馬場のレース内容は非常に引き締まっていた。そのため、さすがの岡西でもこの日のレースではなかなか勝ち鞍を挙げられずにいた。


(さて、ライバル馬のチェックをするか……。う~ん、やっぱり匠さんの馬いい仕上がりだなあ。藤井さんの馬も輸送疲れというのも見られないし……。俺が乗るガルーダはデキそのものは悪くはないんだけど、果たして古馬相手にどこまで通用するか……。サマージョッキーシリーズのほうも該当重賞勝ってる人がよりによってみんな揃ってるからなぁ。まさにターニングポイントだな……)


周りの騎手の他愛のない話には一切耳を向けずに1人レースプランを考える岡西。ちょうどレースプランを決めた時に騎乗指示がかかり、それぞれの騎手が乗り馬に乗って周回を始める。そして1番の馬から順番に本馬場入場をはじめる。



──札幌記念発走5分前──



 時刻は15時20分、12頭の出走馬がいつもの通り輪乗りをしてファンファーレを待っていた。札幌記念を観戦に来た約6万人の客もそれぞれの馬券を持ってスタートの時を待っていた。そして係員がスターターの台に立ち、旗を振ったのと同時に札幌・函館で使用されるファンファーレが鳴り。各馬が次々とゲートに入っていく……。



《アナウンサー》


 お待たせしました。本日のメインレース札幌記念芝2000メートル良馬場出走馬12頭で行われます。夏競馬唯一のG2競走、今年はどの馬が制するのか? 各馬ゲート入りは順調、最後に12番のトキマーガレットが入って体勢完了……。スタートしました! メイトウバーニング好スタート! キールマンも好スタート! まず最初の先行争い、押して押して3番リョウナンカラーがハナを切りました、その横に10番のキールマン、1馬身ほど後ろに5番のメイトウバーニング鞍上は武井匠、半馬身後ろに11番のガロンビットマップ、各馬1コーナーから2コーナーを通過、向こう上面へと進んでいきます。先頭は3番のリョウナンカラー、すぐ横に10番のキールマン、1馬身ほど離れて5番のメイトウバーニング、半馬身ほど後ろに11番のガロンビットマップ、2馬身から3馬身後方に1番のセイテンガルーダ唯一の3歳馬、その横に6番のブラスバイキング、すぐ後ろに2番のアルマイヤバジルと12番トキマーガレットが並んで追走、さらに2馬身後方に6枠の2頭7番のサンセットクルーズと8番のアサノゼピュロスが並んで追走、お終いから2番目に9番のカールトンマシン、最後方に4番のグラリオリッターという先頭から最後方までかなり縦長の展開……。中間を60秒で通過、平均ペース、早くも先頭集団は3コーナーを過ぎて4コーナーへと入っていきます。ここで5番メイトウバーニングが進出、3番のリョウナンカラーも連れて上がっていく、1番のセイテンガルーダも徐々に進出、4コーナー最後の直線に入りました! 先頭はメイトウバーニング! リードは1馬身、2番手にリョウナンカラーも懸命に食い下がる! 3番手セイテンガルーダ、アルマイヤバジル、トキマーガレットも伸びてきた、残り200を切った! 先頭はメイトウバーニング! リードは2馬身! リョウナンカラー懸命に食い下がるが追いつけない! メイトウバーニングそのまま押し切ってゴールイン! 勝ったのはメイトウバーニング! 見事1番人気にこたえました! 2着に粘ったリョウナンカラー、3着に2番のアルマイヤバジル、4着に12番のトキマーガレット、5着に3歳馬のセイテンガルーダがそれぞれ入線。確定までしばらくお待ちください……。


(うわぁ、匠さんに勝たれてしまった……。オープンクラスにあがったばかりの3歳馬ではやっぱ家賃が高くつくなぁ……。これでサマージョッキーシリーズのポイント争いが面倒なことになった……。来週はもっと気を引き締めないと……)


岡西は険しい表情で検量室前までセイテンガルーダを誘導させた。その後レースは無事に確定して札幌記念に勝ったメイトウバーニング号は合計13ポイントでサマー2000シリーズの優勝に大きく近づいた。またサマージョッキーシリーズのほうは武井匠が勝利したことにより優勝争いが熾烈になってきた。現時点でのランキングベスト3は以下の通り。


1位 岡西  美浦・フリー  26ポイント 七夕賞・小倉記念

2位 武井匠 栗東・フリー  25ポイント 札幌記念

3位 隅田  栗東・フリー  20ポイント 函館SS


果たしてサマージョッキーシリーズの頂点に立つのはどの騎手か? すべては来週以降の重賞戦線の結果次第で決まることになる。

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