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「クッソ。クソ。俺は絶対に悪くねぇのになんでだよ」


深夜である。犬遠吠えならぬ、社会の負け犬の遠吠えが閑静な住宅街に細やかな優越を与えた。

公園の隅のベンチで四つ目の缶ビールを開ける神田聡。数週間前、異世界に三tトラックを転生してしまい、異世界をハチャメチャにするという大惨事を起こした首謀者であり、無能者である。


ハッピーバースデーと共に二十社目から、「不幸のお祈りメール」が届いた事から自棄酒を行い現実逃避に邁進したのである。童貞で32歳の男にとって、無職とは人生設計を揺るがす大事件である。


童貞である神田聡の再就職が潤滑油の様にスベるのには三つの理由がある。


①異世界送り人と言う仕事の社会認識

シートンだが、トーエンスとか、名前は亡失したが、そこの三倍以上の年収は稼げるし、ブラック労働ではない(ホワイトでもないが)。正直、モテる。恐らく、童貞なのは神田聡ぐらいだったであろう。

よく幕の内にある本社に火炎瓶が投げ込まれたり、一年中デモが起きたり、国会論争で与野党ともに罵倒されまくるぐらいの超有名な企業だ。「悪名はなんちゃら」と言うが。

まぁ。いきなり、年端もいかない大切な息子さんや娘さんを奪われた家族からすれば溜まったものではないからな。分かるよ。だから、慈悲深い社長は、彼らをお札で頬をひぱったいた。それが一番悪かったのは知っているよ。でもウチの……って言っても私とは無関係だな。あのハゲは小三レベルの読解レベルしかないし、CRSだったか、なんだっけあの三文字の「ほうれいじゅんしゅ」とか言う、ほら、なんだっけな?


②神田聡のパーソナリティ

彼は高飛車で傲慢なクズである。エピソードを上げればキリがない。

神田聡は某有名国立大学を卒業した超エリートにも関わらず、経営者サイドの採用を蹴り、実務的な「送り人」を目指した変り者と言う事でメディアにも取り上げれた。だが「俺、S級送り人なんすよ。あ、レポーターのお姉さん(超人気者)、可愛いっすね。コンパどうっすか?」との言動をしたために世間様から袋叩きに「S級炎上人」と綽名がSNSで乱舞されている彼を雇用する者などいない。

あと、彼はFラン大学出身者である。別にFランが悪いとは言っていないんだ。そもそもFランは比較する対象がある際に使われる言葉と私は思っている。前述した【某有名国立大学を卒業した超エリートにも関わらず、経営者サイドの採用を蹴り、実務的な「送り人」を目指した】と言うのは嘘である。彼自身がメディアに仕掛けた演出である。

【某有名国立大学】とは、東〇の事なんだが、彼の出身大学は〇大に比べれば月とスッポンと言うべきか。もう一度言う。私は別にFランを侮辱はしていない。私は彼に炎上したくないのだ。

人類が想像しうる範囲内でのフ〇ッ〇ン野郎であろう神田聡を雇う善人などいる者か。いや、否である。断じて否である。


③三つめ。え……っと、う~ん。考えていなかったな。

って言うよりも、糞が戸愚呂を巻いたみたいに長い、冗長な糞タイトルから「あっ」(察し)みたいになると思う。



酒を飲んで気持ち良くなった神田聡は服を脱ぐと、靴下すらキチンと畳み、ベンチの上に置いた。全裸となった彼は前転を繰り返し10m進んだ所で、「らりるれろ、らりるれろ」と全力で叫び出した。


これは不味いなと神は走り出した。ただでさえ、ゴミクズなのに前歴までついたら、役員を説得が出来なくなるぞと思った神は真剣に走り出した。




「あの~、すみません」


女性の声に我を取り戻した神田聡は、自分の生まれた姿を恥ずかしく思い、股間を砂場に落ちていたプラスチックのスコップ(関東と関西で概念が違うが世界的にはスコップなのでスコップで)で隠した。


神田聡が見るかぎり、OL風の彼女は美しかった。何処かどうとかではなく、全体としての造形美が完成された彼女を讃える言葉として、美しい以外の言葉は不要であった。


「初めまして、私は神です。貴方を勧誘しに来ました」


神田聡は察した。コイツは頭の狂ったヤバい奴だと。地雷女とかじゃねぇ。マジモンのメン〇ラだ。


神田聡は股間をスコップで抑えたまま一目散で走り出した。


神は、何故か神田聡の白のブリーフだけを持って懸命に走り、彼にタックルをかまして。アスファルト地面に転倒させた。


痛がる神田聡の馬乗りになる神は激怒していた。


「おい、クソ人間。ムショに行きたくなければ、パンツを履け。おい、テメェ、分かってんのか」


「わ……かりました」


痛さのあまり人事不詳、一歩手前の神田聡は、取り合えずブリーフを履いた。


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