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和久記  作者: 華燈始
2/6

2 仏さん

何かに影響されやすい性格っていうのは中々不便です。


長い糸が途切れたかのように、私はハッと目を覚ました。

辺りを見渡すと、周囲は木々で覆われており、先程まで走っていた高速道路も、乗っていたバスも見当たらない。


「ここ、どこだ? 」


全く見覚えのない景色だ。 なんだか空気も澄んでいて、少し肌寒く感じる。


とりあえず、ここにいてもどうにもならないので、辺りをうろついてみることにした。 もしかしたら、近くに誰かいるかもしれない。




━━━そんなこんなで歩き続けること数十分。

私は一度、森の中で立ち止まった。

なにやら変な匂いがするのだ。

食べも夜を腐らせたような。 ツーンと鼻につく異臭が飛び込んできた。

そして私は見つけてしまった。


怖くなったので周囲を見渡していたとき、 前方の茂みの中にボロボロな布のようなものが目にはいった。

恐る恐る、その茂みの中を見てみると……


異臭の原因がそこに転がっていた。

身長は百六十センチ半ばほど、激しく悶絶した表情で、布地の切れ目から見える肌の一部が白骨化している男の死体だ。


「!!!━━ウェッ!………ウゥゥ…ングッ!………ハァハァ 」


それを見た瞬間、私は盛大に胃に収まっていた朝食を、黄色い液体と共に吐き出した。 前に嘔吐したのは小学校にも上がる前で、長いことその感覚に触れていなかったからか、涙まで込み上げてきた。


少し経った頃に、ドッと疲れが押し寄せてくる。 頭の中で様々な考えが行き来して、ごちゃごちゃな言葉だけが生まれては消えてを繰り返す。

そして終いには疑問と、訳のわからない怒りが混乱と共に頭を支配するようになる。


……………やっと落ち着いてきた。

吐瀉物も、仏さんも、もう見ないようにして、足早にその場から立ち去った。

疑問に不安、恐怖が渦巻き、もう動かないで泣きわめいていたい弱気を押さえ込んで、必死に走った。


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