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03

 ――とまあ、悠長に状況説明しているところなんだけど、実はさー、その勇者がさー、もう、すぐそこまで来てるんだわ……。

 二時間ほど前にさー、勇者がさー、この城の門をサクッとブチ壊しちゃったんだよね。


 一応、魔王軍の総本山だし、絶対無敵の魔王さまの居城なわけでさ、最高位魔術で封印をかけてあるのよ。

 セ○ムもビックリのセキュリーティなはずなんだよね。

 吉田沙○里クラスの番人も配置してあるのよ。

 ジンルイサイキョウノオンナなのよ。

 世界大会16連覇なのよ。

 あっ、それはア○ソックだったっけ? まあ、いいや。


 そんな感じの城門・デア・アイゼルンウォンドだから、普通なら何十人もの最高レベルの賢者たちが力を合わせて、何時間もかけないと解けない封印なのよ。

 それをあの勇者は力技で一刀両断だからね。べつに比喩でもなんでもなくて、本当に剣を一振りしただけでドカーーンって壊れちゃったからね。


 マヂでビビった――。


 ちなみに城門の番人は、その一撃の巻き添え喰らって死んでた。

 これはもう、見事にあっさりと死んでた。

 犬死・オブ・ザ・イヤー受賞おめでとうございます!!!

 って感じ。

 魔王軍内でもそれなりのポジションの結構強いヤツだったのに……。


 つーかさあ、なんか、この一週間で更に強くなってない?

 一週間前でさえ、レベルカンストしてるだろってくらい強かったのにね。

 それに、剣もなんかカッチョ良くなってるし。

 鎧とかも紫色のオーラ纏ってるし。バリアーかよ。

 絶対に全状態異常無効・全属性攻撃ダメージ激減って感じでバフってるよね?


 それでさー、さすがに俺も焦って、城内にいた奴ら全員に「勇者を殺せ」ってソッコー命じたんだよね。

 焼け石に水だって分かってはいるんだけどね。

 チョー怖えーから、ビビってつい。

 でもさすがは魔王さまの身体だわ。

 俺だったら、声が震えて裏返っちゃってタ○タ社長みたいになっちゃうんだろうけど、なんとか威厳ある声でちゃんと命令できた。


 そしたらさー、あいつら一目散に勇者の元へ駈け出してんの。

 魔王さまの命令だから。

 魔王さまが怖いから。

 でも、ホントのところ、勇者の方が強いし怖いんだけどね、俺なんかよりよっぽど。

 あいつらあんまり賢くないから、よく分かってないんじゃない?


 それでさー、さっきから城内の生きている魔物の数がすげー勢いで減ってるんだわ。

 なんで分かるかっていうと、これも魔王さまの能力のひとつで、近くにいる魔物を把握できるんだよね。

 なんか眼を閉じると頭の中に城内の地図が3Dで浮かんで、そこに赤い点々が見えるんだよね。

 点のひとつひとつが魔物を表していて、強いやつほど点が大きいって感じ。

 その点々がね、ガンガン消えていくわけですよ。

 もともと一万匹くらいはいたのにね。

 今じゃ、強い奴ら百匹ちょっとしか生き残ってないやん。


 うーん、さすがの俺でもなんかちょっと魔物たちに申し訳ないかなって思わなくもない。

 「下がっていろ、お前らでは敵わん」とか言って、部下の命を守るんだったらカッケーんだろうけど、俺ビビリだから、無駄死にって分かっていても、つい命令しちゃった。てへぺろ。

 ホンモノの魔王さまじゃなくてスマンかった。

 俺なんかが魔王でほんとスマンかった。


 あ、でもホンモノの方も性格が歪んでるから、同じように命令しただろうな。嬉しそうな顔して。

 んじゃ、俺悪くないか。

 それにー、俺さー、歴一週間の新人まおーだしー。

 魔王としての責任感とか全然分かんないしー。

 やっぱ、自分の命が一番大事だしー。

 ついでに、俺、元人間だしー。

 魔族にあんまシンパシー感じないっていうかー。

 どっちかって言うと、人間寄りっていうかー。

 しょーがないよねえー。


 よし、言い訳完了。

 俺の良心は無事守られた――。


 ……なんて言ってる間にね、気づいたらね、あと一個しか残ってないわけですよ。


 赤い点が……。

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