第二話 見える人、見えない人 二度目の柊家
はじめて訪問したときには戸惑った大きな門も、二度目となれば躊躇することなく入ることができる。
インターホンのチャイムに応じて現れた柊に、澤田は挨拶もそこそこにたずねた。
「お前が俺を指名したって聞いたけど、本当か?」
「ああ」
相変わらず不愛想だが、柊が素直に頷く。
「北野、悪いやつじゃないと思うけど」
「すぐに捜査を人任せにするし、話が合わない」
「あー……」
確かに、女好きの北野と見るからに堅物そうな柊では話が合いそうにない。
「これ、捜査依頼書な」
「今回はどんな事件なんだ」
受け取った捜査依頼書の封筒を開けもせずに、柊がたずねてくる。
「市民病院からの通報なんだが、最近妙な傷を負った患者が多いらしくてな」
「妙な傷?」
「俺もまだ詳しくはわかってないんだ。午前の診察が終わるタイミングで話を聞きにいこうと思っているんだが、来れるか?」
「ああ。準備してくる」
そう言うと、柊は一度家の中へ入っていく。
澤田は玄関先に腰を下ろすと、膝に頬杖をついて目の前の立派な庭を眺めた。
(しかしまあ、次から次へと不思議なことが起こる町だな)
あやかし村などと呼ばれていたような町だから、澤田が見えていないだけで、今もこのあたりに妖がうろついていたりするのだろうか。
柊にはそれが見えているのだろうか。
今回も短くてすみません…
次は短くないはず! なのでよろしくお願いします。




