第四話 十一年前の事件 結末とこれから
澤田が柊とともに東条祐一の墓を訪れたのは、二日後のことだった。
「ありがとな。墓参りに付き合ってくれて」
「ああ。祐一さんには俺もお世話になっていたからな」
生えていた雑草を抜き、墓石に水をかけて新しい花を供えてから、線香を立てて手を合わせた。
「そういや俺がここに赴任したとき、墓参りに来たらすげえ綺麗にしてあったんだよな。あれ、お前がやってくれてたのか?」
「俺もたびたびお参りには来ていたが、主には祖父と吉野さんだな」
「そっか」
ずっと会いに行けなかった父がどのような生活をしていたのか気になっていたが、墓の世話をしてくれるほどに親しい人たちが周りにいてくれたことに少しほっとする。
「あの絹糸って妖、どこにいったんだろうな」
「さあな」
「なんか、野放しにしたら危険そうな感じだったよな」
「俺もそう思ってひとまず手元に置こうと思ったんだが……まあ、あの妖の力を悪用しようという人間が出てこない限り、ひとまずは大丈夫だろう」
「そういうもんか」
父は、妖が見える人だった。あまり父から妖の話を聞いた記憶はないが、体の弱い柊の父の代わりに、彼の妖と行動をともにしていたくらいなのだから、きっと妖についてそれなりに詳しかったのだろう。
澤田は、柊に借りた眼鏡がなければ妖を見ることすらできない。
「なあ柊。俺に、妖のことや町守のことを教えてくれないか」
「どうした、急に」
「いや、これでも俺、一応あやかし関連係だし……たぶん、当分は部署の異動もないだろうからさ。妖のこと、もっと知っておいたほうがいいんじゃないかと思って」
あやかし関連係の刑事として、柊ばかりに頼っているわけにはいかない。柊がいない場面があったとして、多少は自分でも対処できるようにならなければ。
「そんなことを言ってきた刑事も、お前が初めてだ」
「さすがは東条祐一の息子だろ?」
にっと笑った澤田に柊は目を丸くして、それから笑う。
「霊感ゼロなところは、祐一さんとは大違いだけどな」
「一言余計なんだよ。お前は」
最初は不安しかなかったあやかし関連係だが、今では父が守り続けたこの町を、父のように守っていきたいと思っている自分がいる。
柊とも、妖とも、まだまだ長い付き合いになりそうだ。
完結しましたー!
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました!




