第三話 東条と祓い屋 呼び出し
柊が一度家に寄りたいというので、澤田の運転する車で柊家へ向かった。
「なあ。なんで現身は慕っている四緑の友人に憑りついたりしたんだろうな」
信号待ちをしながら、澤田は気になっていたことを口にした。
「人の友人など、あまり良くは思っていなかったのだろうな。だが滅多なことがなければ、四緑に嫌われるような真似はしないだろう」
「そうか」
澤田は少しほっとした。現身が登紀子に危害を加える可能性はどうやら少ないようだ。
ピリリリ、と着信音が鳴った。
柊の携帯電話だった。
「はい、柊です。……はい。相談したいという人ですか。……そうですか。では少しでしたら。……はい、伺います」
乗り気ではない声で言って、柊は電話を切った。
「どうした?」
「俺に相談したいという人から市役所に来ているらしい。あまりにもしつこいから今日中に俺と話せるようにする約束をしたそうだ」
「勝手にか」
「明日以降にと何度も話したらしいんだが、相手がどうしても折れなかったらしい」
「よっぽど困ってるんだな。そんじゃ、とりあえず市役所の前まで行けばいいか」
「ああ……」
答えながらも、柊はまだ何か言いたそうな顔をしている。
「なんだよ」
「お前、一人で禍津女を追うなよ」
「は? いや、そういうわけには」
「たとえ眼鏡で姿が見えたとしても、対処できるわけではないだろう。すぐに切り上げてくるから車で待っていてくれ」
柊の言うとおり、たとえ禍津女を見つけたとしてもきっと澤田ではどうすることもできない。
黄昏市役所前の道路の隅に、澤田は車を止めた。
「あんまり遅かったら先に動いてるかもしれねえからな。あの子のことも心配だし」
「ああ」
短く返事をして、柊は車から降りた。しかしいくら彼が早く話を終えて戻ってきたいと思っていても、相手がどんな人かわからない。
柊は市役所に入る前に舞姫を呼び出すと、澤田についていてくれと命じた。




