表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

まるで将棋みたいだな

ちょっと恋愛っぽく仕上げてみました。

よかったら読んでくださいね。

「王手」

パチリ、と静かに駒が盤面を弾く音が響く。

うーん、と唸るも回避の仕方が浮かばない。

それもそうだ、だって既に詰みなのだから。

117手、そのうち最後の4手は攻めている、詰ませられると思っていたところからの逆襲にあい、10秒もかからず詰ませられた。

最後の彼女の金打ち、いや、自身が悪手を打ったのがその4手前の金による銀取りが詰みの状況を作ってしまった。

つまり自分のミスだった。

「参りました」

潔く、丁寧に、深々と礼をし負けを認めた。

ふうっと、息をはき、緊張を解かす。

初めて彼女に勝てる、そう思えたこの対局、中盤から終盤まで手が少し震えていた気がする。

もしかしたら、それも敗因だったのかもしれない。

だって彼女を見てみると、それはもう清々としていて、ただ黙々と指し続けたのだから。

おそらく彼女には最初から見えていたのだ、どこをどうすれば僕が駒を指し、彼女の術中に嵌められてしまうのかを。

悔しいな、そして羨ましい。

彼女にはきっと才能があるのだろう。

それは何もかもを見透かす天賦の才が。

何手先を僕の一挙一動で見抜く、そんな才能が。

なぜ彼女がこんなところで僕と二人で将棋をやっているのか分からないけれど、僕は気づいたことがある。

おそらく彼女は僕をおちょくって楽しんでいるのだ。

現に今も、あんな冷たい目をして僕を見つめてきて、少し頬を緩ませている。

ほら見ろ、やっぱり僕をおちょくっているのだ。

僕の無様な負け姿を見て楽しんでいる。

だんだんとその顔を見て腹が立ってきた。

もう帰ってやろう、そう思って立ち上がろうとした、まさにその時だった。

「鈴木くん、感想戦、やりましょう?」

僕を射抜くような言の葉の矢が飛んできて、僕は思わず座り直していた。

「ね、やりましょう?」

再びノータイムで来る催促の言葉。

「はい」

僕は再び負けを認めて小さく呟いた。

彼女は満足そうにも見えないで、駒を戻し始めた。

僕もそれにつられて戻し始める。

再びパチリ、パチリとこの二人だけの空間に駒の音が鳴り響く。

そんな二月の夕日の傾く頃、僕たちは再び礼をした。





 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なるほど、短編で経験重ねるのもありね!ヾ(⌒(ノシ*'ω')ノシ
[良い点] ちょっといじめっ子っぽい印象の彼女、いいですね♪ 気を引くための仕草がすげーかわいい(笑) 自分Mっ気ないですが、ちょっと良い。現実にやられたら、腹立つと思いますけど(笑) [一言] お…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ