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異世界魔王杯

 「どうか魔王を倒し、カーケル大陸に平和をもたらしてくれ!」








 ああ終わった終わった、やっと終わったよ。私もついつい調子に乗っちゃったけど、なんであんなに質問したがるのかな。「異世界に行ってください」「はいよろこんで」で終わりだったはずなのに、余計な時間をかけさせないで欲しいよね。私にはまだまだやることがたくさんあるんだ。

 さて、次はひきこもりでオタクの男か。まあこいつはトラックに轢かれて死んだことにしようかな。その次はコミュ障でぼっちの男子高校生だ。彼は通り魔に殺されたことにしよう。最後は社畜の男か。じゃあ彼は私の間違いで死んだことにしよう。怒るかもしれないけど、かわいくて幼い少女に変身すればきっと許してくれる。人間の男とはそういう生き物なのだ。







 「勇者様、あなたのお力がどうしても必要なのです。どうか、どうかわたくしの愛したこの世界をお救いください……」





 「ああ、なんと悲しいことだろうか。君はまだ十六歳という若さで死んだ。殺されたのだ。人に殺されるような罪を犯していないのに。私は力を尽くしたけど、やはり日本に生き返らせることはできなかった。でも、私が管理している世界になら、君が望みさえすれば転生させられる」







 「はわわわわわ!! ご、ごめんなさい! 私、同姓同名の人と間違えてあなたを死なせてしまいました! で、でも、カーケル大陸という所に行ってくれるなら生き返ることができます、というかそうしてください! また失敗したってばれたらお姉ちゃんにお仕置きされちゃいます! お願いです、なんでもしますから! すっごいチートだってあげますよ!!」






 いやあ、やっぱり人間おもちゃは扱いやすいものに限るね。きれいな顔の女の子の姿で頼んだらすぐに引き受けてくれたよ。ちなみに一人目はナイスバディのどこかはかなげなお姉さん。二人目は理知的で眼光は鋭いけど、その中に人を気遣う優しい心を持っているクールビューティー。三人目は庇護欲をそそるようなちっちゃくてそそっかしい幼女で、全員私がこの日のために創った私の分身である。まあ、その三人は私とかつて同一だったなんてことは知らないけど。とにかく彼女たちにはカーケル大陸に送った勇者のサポートをしてもらったり、彼らに対する恋愛感情をほのめかしたりしてもらう予定だ。




 「ユピト様、こちらの準備は全て整いました。皆様がユピト様を今か今かとお待ちになっています」 


 ずいぶんとタイミングのいいことだ。さすが、全能神たる私の側近は違うね。


「おやそうか。それじゃあ、今行くよ」


 私、カーケル大陸がある世界のすべてを司る全能の神ユピトは、他の多くの世界の神々が集まっている「神域」の広場に向かった。




 私たち神が住む神域の中心、その大広間にはやはり多くの神々が集まっていた。あまり待たせるわけにはいかない。この中には私と同格かそれ以上の神もいるのだ。



 「さあ、お集まりの皆様、いよいよこの時がやってまいりました」


 魔法で宙に浮かび、魔法を使って声を遠くまで聞こえるようにする。


 「神の、神による、神のための大人気娯楽、『異世界魔王杯』、第二回目の開催をここに宣言します」


 広場を歓喜の声が埋め尽くす。演出のために放たれた魔法も、今から行われることが特別なことだということを示している。私は説明を続けるために再び口を開いた。


 「さて、皆様はもうお分かりだと思いますが、この『異世界魔王杯』の概要を説明します。地球の特別な才能を持った人間を集め、魔王を倒す速さを競わせるものです。勇者たちには私からの恩恵が与えられます」


 歓声はまだ止まないが、私の声は魔法によって歓声よりも優先的に耳に入るようになっているのだ。


 「今回出場する人間は四人。その簡単な紹介を行いますので、詳しい情報はご自分でお調べになってください」


 少し間を開けて、私はカーケル大陸に送り出した人間の名前を思い浮かべた。


 「一番、東堂矢羽。全てを見通す『大地の瞳』とその類まれなる弓の才能で、魔王を打ち破ることができるでしょうか」


 「二番、大垣善光。前回優勝者の逆神駆が持っていた聖剣は彼が手にしました。偉大な勇者に最も近いのはこの男かもしれません」


 「三番、夜闇狂也。彼が持つ神器『隷属の腕輪』は、一国を支配することができるほどの代物です。上手く活用すれば魔王を倒すことも夢ではありません」


 「四番、佐藤一郎。彼の『激震の槍』は、神器の中でも一、二位を争うほどの攻撃力を持っています。これほどの素晴らしい神器を持っている彼は幸運です」


 説明は終わり、今は神々が自分たちで四人のことを調べているだろう。

 もう私の仕事はほとんど終わった。後は最後のあいさつをするだけだ。



 「さあ、では見守りましょう。勇敢な人間たちの世界を救う戦いをただ見守りましょう。そして祈りましょう。彼らの生き様が、我々にとって愉快であることを」




※本編には一切関わりがありません

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