第二十七話 復興作業は進んでますか?
日常回は全然書けないです
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俺は地面に転がっている大量の魔物の死体を『収納』して、冒険者ギルドに運んでいる。そこでは魔物を解体していて、皮や骨、牙などは武具や建材になるらしい。報酬は出ないためただ働きになるが、文句を言っている人は少ないようだ。
「俺達がちゃんと魔物の素材を集めれば、武器屋がいい武具を売ってくれるからな」
とは、一緒に作業をしていた冒険者の男の談である。
俺の他にも『収納』の魔法を使える人が何人かいたらしく、五百匹近い魔物の死体を全て片づけるのにあまり時間はかからなかった。
ちなみに今バーバラは石と投石機の回収をしている。予想通り人々はバーバラを働かせることにあまりいい顔をしなかったが、本人が働きたいと言っているのだから止められるはずもない。人手はいくらあっても足りないのだ。
魔物の死体を運んだ後、俺達はタートから少し離れた場所で集落の再建をしている人たちに合流した。この集落は魔物の基地とタートの間にあり、魔物たちの通り道だったために破壊されてしまった。俺はもう役に立ちそうにないほどに傷ついた木材を『収納』し、町へ向かう馬車に乗せた。その木材は燃料にするらしい。
大きな斧を持った人たちが集落から少し離れた森に木を伐りに行くようだ。俺は役に立てそうにないので、集落を囲む柵を直す作業を手伝った。とはいえ集落の完全な再建まではしばらく時間がかかるに違いないから、この集落に住んでいた人たちの宿屋暮らしはしばらく続くだろう。それはつまり宿屋の無償あるいは格安提供が続くということである。宿屋のご主人は大変な思いをするだろうが、宿屋暮らしをしている俺は大助かりである。どさくさにまぎれて俺の宿泊費も無料になっているからだ。まあ、さすがに罪悪感を覚え始めたので、明日からは野宿をしようと思う。
この集落はさほど広くないため、急ごしらえとはいえ柵はすぐに出来上がった。「こんな柵が何の役に立つのか」と思ってしまうが、今は誰も住んでいないのだから問題はないと騎士の一人が言っていた。じゃあ柵いらないじゃん、とは言わないでおく。できることはやっておきたいという心理はよくわかる。だから俺も文句を言わずに手伝ったのだ。
タートから来た馬車が到着した。三台の馬車から降りてきたのは屈強な二十人近くの男たちである。彼らはこの集落を再建するために集められた大工で、今日から毎日働くらしい。
「おう、すっかりきれいに片付いてるな。使えそうな木はあれだけか?」
大工の一人が木材が積まれたところを指さして騎士に話しかける。
「ええ。皆さんのための仮設の住居を建てれば、もうほとんど残らないでしょう」
「そうだろうな。まあ、森が近くにあるのが救いだな」
「今木材を伐りに行っていますから、もう少しゆっくりしていてください」
「いや、俺達も森に行くぞ。おいお前ら、準備しろ! あ、そうだ。手伝ってくれた冒険者にお礼を言っておいてくれ」
大工達はのこぎりを持ち、馬車に乗って森へ向かった。後のことは大工たちが全てやってくれるらしく、騎士からは「もう帰ってもいい」と言われた。ここを手伝いたい気持ちはあるが町の方も気になるので、お言葉に甘えていったん戻ることにした。
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転がっている石を何個か持って、それを近くの一輪車に積む。竜人のボクにとってこの程度の重さは大したことがないので、休憩なしでずっと作業を続けている。ひたすら単純な作業が続くので、ボクは考え事をしていた。
マリーがヤバネに会いたいと言った時、ボクの心は針で軽く刺されたかのようにチクリと痛んだ。ボクがマリーの言葉に不愉快な気持ちになるのはめったにない。それはマリーが人を傷つけるようなことをまったく言わないというのも理由の一つで、事実マリーがヤバネに会いたいと言ったことには多分深い意味はなかった。それがわかったのはマリーのあの質問のおかげだ。
『ヤバネ君、今恋人はいる?』
『ヤバネ君はどんな女の子が好きなの?』
『ヤバネ君は、恋人が依頼に行っていてしばらく帰ってこない時でも我慢できる?』
その質問を聞いた時、ヤバネはとても面倒くさそうだった。マリーをもっと早くに止めるべきだったのに、ボクはなぜか黙ってヤバネの答えを待っていた。
『好きになった人が獣人だったとして、周りに何を言われてもその愛を貫き通せるの!?』
この質問の答えもかなり気になったけど、ヤバネが無視したから答えを待つのをやめた。勇気を出して聞いておけばよかったかもしれない。気になって気になって、ずっと心がモヤモヤしているのだ。
「バーバラ、お前何で石持ってずっと突っ立ってるんだ?」
「うひゃあ!?」
いきなり後ろから声をかけられてびっくりして、石を落としそうになった。振り返るとヤバネがボクを怪訝そうな表情で見ていた。ボクとしたことが、後ろに人が立っているのに気付かないなんて……。
「い、いやあ、少し考え事をね……。ヤバネはどうしたの? さっき大勢でどこかに行ってなかった?」
「ああ、『帰ってもいい』って言われたから帰って来たんだ。石運びは大変そうだな。俺も手伝うぞ」
「ホントに!? ありがとう!」
なんとヤバネと一緒に作業ができるらしい。これは思わぬ幸運だ。ボクの心のモヤモヤもすっかり無くなっていた。
そう、ボクの心のモヤモヤは、ヤバネといるとどこかへ行ってしまうのだ。理由はまったくわからないけど、考えないことにする。
だって今、こんなに楽しいんだから!




