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雨の夜
雨の降りしきる夜
重い足取りで2人は警察にむかう
キー
ドアから見える白い部屋
駆け寄る妻の後を追う
「あぁぁぁ・・・」
涙を流し口を手で押さえながら
「どうして?」
悲鳴混じりの声を聞き
私も涙を流し続けた
あれから、1ヶ月・・・
葬式も終わり
ただ毎日を過ごす日々
妻の暗い瞳に光が宿ることなく
毎日、私のためだけに食事や世話をする
ある日
「ただいま」
暗い部屋に、足を踏み入れると
カラン
手に持つナイフを床に落とし
こちらを見る妻
「なっ!何して・・・」
「もう、生きる意味なんて何もない
あの子の所へ行かせて・・・」
「駄目だ、
私と一緒に生きてくれお願いだ
1人にしないでくれ・・・」
抱き寄せた妻は、痩せ細っていた
「あなた・・・」
私にすがりつき、泣き出した