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なくした希望
好きな人が出来たのか
自然な感じの化粧品を
バッチリメイクで
出掛けるようになって
ボーイッシュな服装も
スカートやヒールをはき
大人びていく娘に
私達は驚いていた。
二人で様子を、少しだけ見守ろうと
話していた矢先・・・
あの事件が起きた。
「はい、沙耶は娘ですが
えっ!まさか、嘘ですよね」
「おい、どうした
沙耶に何かあったのか?」
何も、答えられない妻の
震える手から受話器を取り
話を聞く
「はっ? 何で?
今はボランティアに行っているはず
ですが、間違いではないですか?」
少し怒鳴り気味で答える
冷静になれるものではない
「え!そっそんなぁ訳が・・・うっ・・・
分かりました、今から向かいます」
受話器を置き、力が抜け膝から崩れ落ちる