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梅雨

風習

今回の作品は、今まで一番長い作品になります。


え?まだ、一つしか出してないだろって?……過去に作った作品を今後出していく予定なので、気長に待ってください。



さて、その結果、物語の細かい設定がズレたり、謎の表現があります。


しかし今回は、今後の長編を書く際の戒めとあえて修正なしで投稿させて頂きますので、そのところはご了承下さい。


(次回作、誤字脱字・矛盾があったら言い訳が…)

 『風習』。その土地のならわし。しきたり。習慣のことである。

例えば村民どうしの結婚しか認めない、男は畑仕事をして女は家事をすることなどである。

近代では、風習がある市町村はほとんど無い。

この話は、その無くなりつつある風習がある村の話である……。






 今日も彼は蝉がミーンミーンと煩い音を出し、蒸し焼きされそうな暑いところへ飛び出した。


 ○○県○○村。周りは森で囲まれた自然豊かな村。

 見渡す限り田や畑、溝や川、畦道や車が2台ギリギリ通れる細い道、ところどころに家があるド田舎。

 そんな場所に住んでいる数少ない学生、雨崎あまざき りゅう。彼は、この村で唯一ある高校に通う3年生である。

 3年生である彼は、大学に進学するか、就職するか選択して、どちらを選択しても勉強を頑張らいないといけない年であるのに、全く勉強はしない。

 なぜなら、この村には古くからの習慣として長男は家の後継ぎ、つまり農家になる決まりがあるからである。だから、雨崎家の長男である彼にとっては、選択肢はなく、勉強しても意味がなかったのである。


「おはよう!」


 そんな彼が、ショートヘアーが似合う黒髪の小柄なセーラー服を着た少女に挨拶した。


「おはよう、雨崎君」


 少女はニッコリ笑顔をして返事をした。

 少女の名前は、植月うえづき 雨音あまね。雨崎と同じ高校に通う、雨崎の幼なじみである。


「あぁ~あ。なんで夏休みっていうのに、補習という無駄なことをする為に学校に行かないといけないんだ?」


 雨崎は植月より一歩前をダラーンとした格好で歩きながら、植月に問いかけた。


「しかたがないよ。雨崎君は、運動は出来るけど、勉強は全くできないだから」


 植月は笑顔で答えた。


「うるせぇ。俺はお前と違って村の『風習』とか何とかのせいで、勉強をする意味がねぇーんだよ。それに比べお前は良いよな。大学進学という夢があって。俺も夢があったら勉強するのに」


 雨崎は腕を頭の後ろで組み、空を見ながら言った。


 雨崎が言った通りに、彼女は男ではないので、特に決まった風習がないので大学進学を希望しているのである。


 植月は少し笑った。そして、


「雨崎君は夢があっても勉強しないでしょ?」


 と小馬鹿にするように言った。


「ん、なぁ、そんなことない。絶対にしている」


 雨崎は慌てて答えた。

 その様子を見た植月はまたクスクスと笑った。

 雨崎はその間、顔を少し赤くして植月が黙るのを待った。




 そして、植月の笑い声は消え沈黙状態になり、蝉があちこちで、大音量で演奏する音だけが残った。

 雨崎は依然として、腕を頭の後ろで組み、空を見てた。

(この状態はよくない。なんか話題を振らなくては……そうだ、あの事を聞いてみよう)

 そう思った雨崎は、横目で植月を見ながら、


「植月は、明日の祭りに参加するのか? 植月は、奇麗だから選ばれるかもしれないな。祭りの奉納物に」


 さりげなく聞いた。


 この村には、夏休みによくある花火祭りとは別に、他の人は一切呼ばない村民だけの祭りがある。

 その祭りは、昔住みついたと言われる雨を操る龍神様に1年間の雨の恵みに感謝する祭りである。内容は、村民全員でお経を読み、現在村で1番可愛い女性が龍神様への奉納物としてお寺の本堂に入りお祈りするだけである。


「………………。実は今年は私らしい。昨日の夜、村長さんから連絡がきたの」


 植月は、少し間を開けて返事した。


「凄ぇ~な。……ということは、選ばれた植月が現在1番可愛いということだろ?さすが植月だな。それに、聞いた話だけど、奉納物に選ばれた人は欲しいものが1つ手に入ったり、感謝状が贈られたりするらしいな。良いな~」


 雨崎は歩を進めるのをやめて、植月にとても接近しながら言った。


「ははは。良いでしょ? それより早くしないと、補習に遅れちゃうよ」


 植月はそういうと、いきなり走り出した。ぎこちない笑顔で。

 雨崎は「おい待て」と言って、植月を追いかけた。



 その後、二人は何時間も扇風機もない暑い教室の中で補習を受けた。






 時は流れ、陽は沈み、満点の星が見える時間になった。


雨崎は、今日の補習で出た課題をしていた。




「あのクソ先生、俺が一晩でこれだけの量の課題を終わらせると思ってんのか?」




 雨崎は、そう言うと問題を解くのをやめ机にもたれた。


(それにしても、植月は良いよな。優しいし、可愛いし、俺なんかと喋ってくれるし……。それに、奉納物に選らばらたから、願いが一つ叶う。良いよな~)




「本当にそう思ってのよ~?」




 突然、幼い少女の声が聞こえた。


 雨崎は、フと声が聞こえた辺りを見た。


 するとそこには、和服を着た推定年齢6、7歳の少女が窓の外で宙を浮いていた。




「ウワッ!!」




 雨崎はとっさに声をあげた。




「な、何で少女が宙に浮いてんだ?」




 雨崎は後ずさりしながら聞いた。




「何で?って、それは私が神だからだよ」




「か、神様だっていうのかよ? だったら、それを証明してみろよ」




 雨崎は、自称神様だという少女に指をさして言った。




「分った。証明してあげるよ」


 少女は手を前にかざすして、手首を捻った。

 すると、手に回りガスコンロのように火がボッと点いた。


「これで分ったよ?」


 少女は満面の笑顔で言った。

 雨崎からしてみれば、少女が余裕の笑みで自分を騙そうとしているように見えた。

 雨崎はめったに使わない頭をフルに使い、今の現象を説明しようと必死になった。

 すると、一つの答えに辿りついた。


「これは手品だ!最近、触れても熱くない火があるって聞いたことがある。その火を使っているに違いない!」


 雨崎は、「どうだ。俺を騙そうなんて百年早い」といわんばかりのドヤ顔をした。

 それ見た少女は、頬を膨らませ、


「えぃ!」


 と床を叩いた。

 すると、雨崎の体がまるで宇宙空間のなかにいるように浮いた。


「あわわわわ、ちょ、ちょと待った待った。これはどういうことだ?」


「雨崎さんだけを無重力化してあげたのよ。これで信じてくれるよ?」


「わ、分かった。だから、早くもとに戻してくれ」


 雨崎は、空中で手足をバタつかせながら言った。

 少女はそれを見て少しニコッとしてから、パチンと指を鳴らした。

 すると、雨崎の体はゆっくりと元の場所に戻った。


「そんで、自称神様が俺になんか用?」


 雨崎は、はぁ~と溜め息をつきながら言った。

 すると、少女は手に拳を作り、床を叩く姿勢を取った。

 それを見た雨崎は、


「すいませんすいません。神様がいったい俺になにか用でしょうか?」


 慌てて言った。

 それを聞いた少女は、床を叩く姿勢をやめて、そこに座布団でもあるかのように空中にポンと座った。


「実はな、雨崎さん。君にお願いがあるんですよ」


「お願い?」


 雨崎は、首をかしげた。


「うん、お願いよ。植月 雨音さんを今すぐにこの村から連れ出してほしいのですよ」


「え……は? 神様なんだから自分の力を使って村から連れ出せば良いのでは? そもそも、何でアイツをこの村から連れ出さないといけないんだよ?」


「それが出来ないから頼んでいるんだよ。この村を囲むように対神用の強い結界が貼られていて、連れだせないんだよ」


 少女は寝転びながら、ダラーンと言った。


「だから、何で連れ出すんだ?」


「え~と、私的には龍神が力を付け過ぎるから困る。雨崎さん的には、殺されるから助けるためかな」


「はぁ?どういうことだ!」


 雨崎は、少女に駆け寄って胸ぐらを掴んだ。


「落ち着いてよ。雨崎さん。だから、このままにしておけばという話ですよ。明日行われる祭りは、表向きは雨に感謝する祭りだけど、実際は龍神へ生贄をおくる為の儀式なのです。もちろん、そんなことをすれば大騒ぎになるので龍神自ら、色々な人に催眠をかけているんですよ。ですから、このままだと危ないので連れ出してと頼んでるですよ」


 少女は、雨崎の肩に手を置き、顔を近づけて、ゆっくり語った。


「だいたいのことは分かった。しかし、村の外に連れ出しても龍神が追いかけてくる可能性がある……しかも、催眠術をかけられた人は龍神の言いなりだから、龍神が追いかけてこなくてもその人らがくるのではないか?」


「へ~以外にも頭回るんだ| (w)……大丈夫よ。龍神はこの村からは出れないし、龍神の力が及ぶのは村全体までだから大丈夫だよ。だから、早く連れ出してよ」


「分かった」






 雨崎はそういうと、部屋を飛び出して植月 雨音の元へ走って行った。

 ちょうど外は、雨が降り出し雷が鳴っていた……。





雨崎は雨の走った。


 すると、自動販売機の前で座り込む人影が見えた。


 雨崎は不思議に思い駆け寄った。


 すると、そこには体を震わし座り込む植月がいた。

 植月のズボンには跳ね返った土が付いていて、服はヨレヨレになっていた。

 一目見て、大勢の人の手を振り払い、急いで逃げてきたのが分かった。


「おい! 大丈夫か?」


 雨崎はぶっきらぼうに言った。

 すると植月はその言葉に反応して、雨崎を見上げた。

 見上げた植月の顔には、雨とは別の水滴が流れていた。

 それを見た雨崎は、植月の傍について、


「もう、大丈夫だ。俺がお前を守る」


 優しく語りかけた。

 それを聞いた植月は安心して、ヨボヨボの老人みたいに雨崎の服を掴み、まるで子供のように雨崎の服のなかで泣いた。

(植月はかなり怖い思いをしていたんだな。人の気配もないし、もう少しこのままそっとさせてあげるか……)

 雨崎はそんなことを考えながら、黙って植月を抱きしめた。




 そして、雨風は先ほどより強くなっていた。

 雨崎と植月は、村を出る舗装されてない道を走っていた。

 するといきなり、植月が、


「さっきはありがとう」


 照れくさそうに前を走る雨崎に言った。


「え!?あ……どういたしまして」


 雨崎も照れくさそうに返事した。


「ところで、さっきの話は本当?……明日の祭りのことや村の皆が操られているって」


「あぁ、多分本当だ。植月がピーピー泣いている時に説明した通りだ」


「だ、誰がピーピーと泣いていたって? 酷い、泣いてないもん」


 植月は頬を膨らませながら言った。


「それに、手から火を出したりしたという少女が言ったことは本当?」


「さぁ~な。そんなに知りたいなら、前にいるおっさんらに聞けば?」


 そう言うと雨崎は、急に立ち止まった。

 それに続くように、植月が雨崎の後ろで立ち止まった。

 舗装されてない道と舗装されている道の狭間、村境辺りに、一人のメタボ体系の正装した男性が立っていた。


「君たちが言っている少女とは、この村の地主神様のことだろう。その神が言ったのなら、それは本当ですよ。ついでに言うのであれば、明日の祭りも龍神に力を蓄えさせているのも私です……願いを叶える為に」


 男性は言った。


「それはどういうことだ? 後、それにおっさんはこの村長と認識して良いか?」


 雨崎は怒りながら問いかけた。


「これは申し訳ない。私は、この村で村長をやらさせて頂いている、中神なかがみ 太郎たろうと言います。どうか、冥土の土産にお見知りおきください」


 男性はニコッとしながら言った。


「私の願いと言うのは、男に生まれたら誰もが夢を見る『世界征服』ですよ。その為、オカルトという分類を徹底的に勉強してある神について知りました。その神が、この土地に住み着いたという龍神です。その神は、若い女性の肉を食べることにより力を着け、その力はとても強く一国の軍隊とも対等以上に戦えることも調べがついています。だから、その神を使い『世界征服』するのが私の願いです。理解して頂きましたか?」


 男性は低い声で問いかけた。


「そうか勝手にしな。俺達には関係ねぇ。だから、そこをどけ!」


 雨崎は怒鳴った。


「順番というものがありまして、次はそこのお嬢さんの番なのです。それに、そこのお嬢さんにこの村から出て行かれると色々と困るのですよ。事務的な処理をしなくてはいけなくなったり、村が消えたり、あ、でもあなた方の故郷は元々ここではないので関係ないでしょうが、他には」


「おい……さっき何て言った? お前は俺たちに何を隠している? 全て言え!」


 男性の言葉を遮るように、雨崎はまた怒鳴った。


「え?じゃあ、これも冥土の土産に教えてあげましょう。この村にいる全ての子供達は、孤児院出身なのです。だから、君たちの本当の生まれた場所はここではありません。その結果、なぜかその子供たちがこの村から逃げ出すと、龍神の力が不安定になり、村を維持できなくなるのですよ。他にも村の歴史などありますが、これぐらいで……覚悟はできましたか?」


 男性はそういうと拳銃を向けた。

 雨崎は「終わった」といわんばかりの諦めた顔をし、植月は恐怖で腰を抜かしていた。


「それでは、来世では良い人生を……」


 男性はそういうと引き金を引いた。

 すると、


「君がね」


 男性の言葉を遮るように、どこかで聞いたことある少女の声がした。



 バーンと銃声が響いた。



 そして倒れた、銃を持っている男性が。

 

「な、なぜ? どういうことだ!?」


 男性は怯えながら自分に問いかえた。


「ゴメンね。でも、君が悪いんだよ。私に喧嘩を売るからこうなるんだよ」


 男性の後に、神様と名乗る少女が指を鉄砲にみたてて立っていた。


「お前、か、けどお前に、はもう、力が無いは、ず」


「よく言うでしょ。奥の手は最後までとっておけっとね」


 少女は笑顔で応えた。


「な、るほど」


 男性はそういうとバタッと地面に倒れた。


「え、えっと」


 雨崎は次々に進む話についていけなかった。

 それを察した少女は、


「君たちは助かった。そして、この村から出る、分かった? 雨崎さん」


 優しく言った。

 その言葉に、雨崎はすこし落ち着いて理解できた。


「でも、他の村民はどうなるだよ?」


 雨崎はさっきとは違い、落ち着いて聞いた。


「だいじょ~ぶ。私、神様だからなんとかするよ、だから心配しないで」


 少女はいつの間にか、二人の後ろにまわり背中を押した。



「ありがとうございます、神様」


「ありがとう、後は頼んだで」


 二人は笑顔で、少女に押されて村の外を無事に出た。









その後、村は豪雨により土砂崩れが発生し、土砂の中に埋まった。


その数日後には、村があった付近に土砂に埋もれたと思われていた村民たちが一斉に見つかった。




雨崎と植月?……彼らは……。


さて、いかがだったでしょうか?


物語が無茶苦茶でしたでしょ?


今後は気をつけたいと思います。



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