命の洗濯を
~第九十八章~命の洗濯を
「「「浴槽?」」」
ドワーフ達からさらに疑問の声が上がる。
「しかし、兄ちゃんよ?この大きさだと、お湯を作るのも水を汲むのも大変な労力だぞ?」
確かに、こうして身近で浴槽樽を見ると、大人3、4人は楽に入れる大きさだ。
ドワーフのオッチャンの言う事も解る。
しかし、俺には秘策が有るのだ!
「大丈夫です!考えが有りますから!」
その後、ドワーフさん達に力を借りて、マルルの案内の元、件の小屋へとやって来た。
ペロとエリナは何事かと只静かに見守っている。
「「よっこいせ!!っと!」」
ドンッと浴槽樽が小屋の中へと置かれる。
「兄ちゃん、此処で良いかい?」
「ええ、有難う御座います。」
「なあに、良いって事よ。何か有ったら、又、声掛けてくれや。」
そう言ってドワーフ達は去って行った。
小屋の中には、俺、ペロ、エリナ、マルルの四人が残る。
「さて…、早速、お風呂の準備をしようか。」
しかし、エリナとマルルから待ったが掛かる。
「ユウシさん、少し待って下さい!幾らなんでもこの浴槽の大きさは異常です!もう少し、小さくても良いのでは?」
「うん、確かに小さくても良いんだけど、それだと皆と入れないだろ?」
「皆とって…、っ!?」
エリナの顔が紅く成る。
恥かしいのは、分るけど…、今更じゃない?
それとも、お風呂とベッドでは、羞恥の感じ方も違うのか?
「この浴槽に張るお湯をどうやって準備するんですぅ?」
うん、マルルの疑問も尤もだ。
「お湯は、魔法で作り出す!」
そう言って俺は掌にアクアで水球を作り出して見せる。
「成るほどぉ。水魔法で浴槽に水を溜めるんですねぇ?」
「そう言う事。じゃあ、俺はお風呂の準備をしておくから、皆は着替えとかタオルを宿屋に行って取って来ると良いよ。」
「分りました!御主人様!さあっ!エリナさん、マルルさん、行きましょう!」
「あっ!?私、採掘した鉱石を一旦製鉄所へ、持って行ってから行きますぅ!」
そう言ってマルルは別れ、ペロはエリナを連れて宿屋へと戻って行った。
「さてっ!皆が戻って来るまでに、準備を終わらせておくか!」
その後はひたすらにアクアを唱え続けるだけの簡単な作業でした。
ただ…、やっぱりエリナの言う通り、少し浴槽が大き過ぎたかな?
とも、思ったけどこの後を思えば苦労なんて有って無い様な物だ!
浴槽に水が程良く溜まったので、今度はこの水をお湯に変えなければいけない。
「今度はこれだ。ヒート!!」
右手を浴槽に突っ込んでヒートを唱える。
右手が赤熱するほどまで温度を高めて数分…。
浴槽からは湯気が立ち上り始めた。
左手を湯船に突っ込んで温度を確かめると…、うん!丁度良い温度だ!
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う~ん…、感無量!!




