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宗教について

~第八十七章~宗教について


翌朝、日の出と共に起床したエリナとペロ、二人に朝の挨拶をしてから、軽めの朝食と成った。

本日の朝食は、サンドイッチと昨夜の残りの野菜スープを温め直した物だ。

共に、寝ずの番をしていた俺が用意した品だ。

簡単に朝食を済ませ、準備を整えると、俺達は再び馬車をタタラトへと走らせる。

道中、馬車での会話の中から、この世界の宗教についての話と成った。

宗教については、教会で働いて居たエリナが詳しかったので、この際詳しく教えてもらう事にした。

此処からはエリナに教えて貰った事なのだが、この世界の宗教は精霊神教と言うらしい。

教会も、正しくは精霊教会と言うらしい。

精霊教会は、大きく分けて8つの信仰に分けられるそうだ。

火精霊、水精霊、風精霊、土精霊、木精霊、光精霊、闇精霊、そして総合信仰の8つだ。


信仰する精霊は自分で選んで良いらしく、その辺は自由だそうだ。

信仰の対象は、自分の職業で選ぶ人が多いらしい。

火を扱う職業ならば火の精霊を…、水に関係ある仕事をする人は水精霊を…、と言った具合だ。

総合信仰は、全ての精霊を信仰する物らしく、一番信仰者が多いらしい。

因みに、精霊は実在すると、エリナが言っていた。

何でも、俺達が用いる魔法は、精霊の力の一端だとか…。

しかし、この精霊と言う存在、決して人に良い結果のみ与える存在では無いそうだ。

例えば、炎は上手く用いれば、暖を取れるし、身を獣から守る事も出来る反面、制御を誤れば全てを灰に変えてしまう。

水は、清らかであれば傷を癒す力が有るが、淀めば毒と成る。

風は、命を運ぶ運び屋でもあるが、命を刈り取る死神でもある。

土は、鉱石等を生み出し、文明を支える存在であるが、身じろぎ一つで文明を滅ぼす存在でもある。

木は、実りを産み出すが、文明を自然の中に還そうとする侵略者でもある。

光りは、活力を生み出すが、同時に、活力を削る存在でもある。

闇は、安らぎをもたらすが、同時に、恐怖も生み出す存在である。

この様に、良い面と悪い面を併せ持つ両極端な存在だそうだ。


「因みに、エリナは、どの精霊を信仰しているんだ?」


「私ですか?私は、総合信仰者ですよ。サリオン村の教会が、総合教会でしたから。」


「ああ、そうだったんだ。ちなみにペロは?信仰している精霊は居るのか?」


「わぅ?私は…、そう言う信仰心は有りませんよ?…駄目ですか?」


首を傾げて俺に問う。


「いや、悪くは無いさ。俺も基本的には無宗教者だし。」


まあ、典型的な現代日本人だよね?

お盆にクリスマス、初詣には行くけど、無宗教…。とかさ?

この考えって不味いのかな?

ペロと揃ってエリナの方を見る…。


「あっ、いえっ!問題は無いですよ!?ただ、無宗教って言うのが珍しいだけで…。」


ふむ、無宗教は珍しいらしい…。宗教なんて、そうそう口外する事は無いと思うが、咄嗟に聞かれたら総合信仰とでも、言っておく方が良いかな?

俺はペロにも聞かれた時には、そう答える様に言っておく事にした。

若干エリナが、呆れていたが、仕方が無い。

日本に居た頃は、外国の宗教戦争などをネットニュース等で見知っている俺は、宗教の恐ろしい側面も知っている心算だからな!

余計な荒波は立たない事に越した事は無い!


因みに、精霊信仰の話の続きだが、何故、神様では無く、精霊の信仰なのか?

疑問に思ったのでは、無いだろうか?

俺は思った!

すると、エリナがこの世界の神話について、教えてくれた。

簡単に要約するとだな…。


むかし、むかし、この世界を創造した神様が2人いました。

大地を作り、さあ!これから命を創造するぞ!と言う時に、神様達は、どんな生き物を作るかで喧嘩になりました。

喧嘩の末に、一人の神様が勝ち、私達人間を作りました。

しかし、負けた神様が腹いせに世界に種を撒きました。その種から生まれたのが魔物です。

魔物は人間を襲い、困らせていました。

そこで、人間は神様に魔物を何とかしてくれと頼みます。

最初は神様も魔物を何とかしようと頑張りましたが、どれだけ魔物を排除しても、次から次へと魔物は湧いてきます。

その内、神様は、魔物の排除を諦めてしまい、人間達に「後は、自分達でやれ!」と投げてしまいました…。

しかし、それで困るのは人間です。

途方に暮れた人間に、手を差し伸べてくれたのが、精霊達です。


「私達が力を貸しましょう。」


そう言って、精霊は人間に魔術を与えました。

戦う術を得た人間は、魔術を用いて魔物の排除に力を注ぎました。

魔物の存在に怯えなくて良く成った人間は、次第に国を大きくしていくと、今度は、同じ人間同士で精霊から与えられた魔法を用いて、争う様に成りました。

そんな、人間を見て、力有る精霊達は人間の前から姿を消しました。

与えられた強大な魔法により一度絶滅の危機を迎えた人間は、自らの過ちに気が付き、罪を忘れない様に、強大な魔術を封印して、過ちを後世に伝える為に、そして力を貸してくれた精霊に感謝を伝える為に、精霊神教を立ち上げましたとさ…。チャンチャン。


話を聞いて、思う所は多々有るが…、取り敢えず。


「神様…、器ちっさっ!!」


UPしました。

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