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野営

~第八十六章~野営


日が暮れ始めたので、今日は街道の脇で野営をする事に決めた。

馬車を止めて、早速、料理の準備を整える事にした。

と、言っても寝床は馬車が有るのでテント等を張る必要は無い。

なので、やる事と言ったら、料理の準備をする位だ。

俺はサイドバッグから仕留めたワイルドボアの肉を取り出す。

解体は既にペロが終わらせてくれているので、調理の手間が省けて助かる。

俺は適当な大きな差に肉を切り分け、フライパンでワイルドボアの肉を焼いてみる。

隣では、エリナが鍋に野菜を刻みいれて、スープを作ってくれている。

ペロは、料理の経験が無いそうでなので、イナズマの世話を任せておく。

今度、簡単な料理でも教えてみようか?


「ユウシさん。スープの味を見て貰っても良いですか?」


エリナが俺に煮込んだスープをスプーンに少量取って差し出してくるので、味見をしてみる。


「うん。美味しい。エリナは料理が上手だね。」


「そ、そうですか?ユウシさんにそう言われると、嬉しいです!」


「うん。エリナはきっと、良いお嫁さんに成るよ。」


「えっ!?そ、そんな!良いお嫁さんだなんて…。」


途端にエリナの顔が紅くなる…。

可愛い。


「御主人様。イナズマちゃんのお世話、終わりましたよ。」


エリナの反応を楽しんでいた俺の元へと、イナズマの世話をしていたペロが戻って来た。


「御苦労様、ペロ。さあ、そろそろ出来るから、お皿を出して貰えるかい?」


「はい。分りました。」


ペロはテキパキと用意した簡易のテーブルの上にお皿を並べ始めた。


「さて、そろそろ、肉が焼け上がったかな?」


仕上げに香草と、塩を振り掛けて味を調えると、ペロが用意してくれたお皿へとワイルドボアのステーキを並べて行く。


「スープも、良い具合にお野菜に火が通りましたよ。」


エリナの方も出来上がった様で、鍋ごとテーブルへと持って来て、お皿に注ぎ分ける。

最後に街で購入しておいた白パンを並べて、完成だ。

普通、野営で食べるパンは長期の保存が効く黒パンが主流なのだが、俺達は食品劣化の心配が無いマジックサイドバッグを持っているので、保存の事を考えなくて済むのは、本当に助かる。


「それじゃあ、いただきます!」


「「いただきます。」」


三人仲良く、夕食を頂く。


「「っ!?」」


ワイルドボアの肉を一切れ口にしたエリナとペロが一瞬言葉を失う。


「「お、美味しい!?」です!?」


俺も一口…。

普通だ。普通に旨い。

二人とも大げさだな。


「な、何ですか?これは…!?」


「御主人様!?このお肉!凄く美味しいです!?」


「ユウシさん!一体どうやって、調理したんですか?」


「如何って…、普通にフライパンで焼いただけだよ?味付けも適当に塩と香草を振っただけだし…。」


「そ、それだけで何故?こんなに美味しく成るんですか!?」


「ンゥ~。…アグッアグッ。」


エリナは俺の料理に興味深々だ。

ペロは肉を食べる事に夢中に成っている…。


「(そんなに、俺、料理上手かったっけ?)」


もう一口、ワイルドボアの肉を口に含み、味わうが至って普通だと、思うのだが…。

そこで思い出す!


「あっ!?そう言えば俺…。料理のスキルを持って居たっけ。ひょっとしてスキルのせい?」


しかし、それならば何故、作った本人である俺には、料理が旨く感じないんだ?

ひょっとして俺の味覚…、おかしいのかな?

確か、エリナも料理のスキルは持って居たよな?

今度SPを振ってみようかな?

そんな考えがフッと頭を過ぎる…。


「クゥ~ン…。」


ペロが物悲しそうに空に成った自分の皿を見つめている。

如何やら、肉に夢中に成り過ぎて、無く成ってしまった様だ。

俺の皿から、肉を移してやると、尻尾を行き良いよく振って喜んだ。


食事も終わり、食器を片付け終わると、お湯を作って二人に渡す。

二人は汗を拭う為に、馬車の中へと戻った。

二人が出て来るまで、俺はイナズマの元へと向かい、ブラシを掛けてスキンシップを図る。

イナズマは、ブラシを掛けてやると、とても喜んでいた。


二人が体を拭き終えて、馬車から出て来る。

その後、三人で他愛ない話に花を咲かせた。

時計が21時を回る頃に成ると、ペロもエリナも眠そうにしてきたので、そろそろ就寝する様に促す。

この世界の住人は基本的に早寝早起きだ。

まあ、TVもラジオも無いから、夜起きていてもする事は無いからな。

二人とおやすみのキスを軽く交わしてから、馬車へと潜り込んで行く。

その日は、火の番の為に俺が、見張りに起きておく事にした。

なに、一日位は、眠らなくても平気だからな。


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