教会再び…
~第八十二章~教会再び…
翌朝、目を醒ますと既にエリナとペロの姿はベッドに無かった。
「(あれ?二人は…?)」
寝惚け眼で辺りを見回す…。
豪華な内装が寝起きの目に痛い…。(如何いう理屈だ?)
俺は手早く着替えると、テーブルの上に、書置きが有る事に気が付く。
『ペロさんと教会へと行ってきます。エリナ』
置手紙にはそう書かれていた…。
「教会か…。俺はこの町の教会へは余り近づきたくは無いんだが…。」
以前、この教会へと魔法書を盗みに行く羽目に成ったから、いまいち顔向け出来ずに居るんだよな…。
「でも、別に顔バレしてる訳じゃ無し、二人を迎えに行くだけならば、大丈夫だろう。」
俺は、宿を出て、教会へと向かうと、教会からは朝のミサを終えたと思われる大勢の市民が出て来る途中であった。
そんな中に二人の姿を発見!
二人は、司祭らしき人と何やら歓談している様だ。
「(あれ?あの司祭の人は…女性?それに何処かで会った事が有る様な?)」
二人に近づいて声を掛ける。
「エリナ!ペロ!」
俺の声に、更に姿に気が付いたペロが小走りで駆け寄って来る。
「御主人様!お早う御座います。ごめんなさい…。すぐに戻る心算だったのに…。」
「構わないよ。」
そう言って、ペロの頭を撫でる。…ついでに犬耳をフニフニしておく。
エリナは女性司祭と一緒に此方を見ている。
女性司祭がペコリとお辞儀をしてきたので、それに習い、お辞儀を返す。
ペロと一緒にエリナと女性司祭の所へと向かう。
「お早う御座います。ユウシさん。」
「おはよう。エリナ。」
「お早う御座います。ユウシ様ですね?サリオン村の危機を、そして、シスターエリナの危機を救って頂いたとか…、有難う御座います。」
女性司祭が俺に頭を下げて来る…。
突然の事に、対応が取れないでいると、エリナが助け舟を出してくれた。
「ユウシさん。此方、以前、サリオン村の教会でシスター長をしていた、マリエラ様です。」
「以前に一度、教会でお会いした事が有ります。」
「ああっ!思い出しました!」
サリオン村の教会で司祭様と一緒に居たシスターだ!
「あれっ?でも、何でレミアムの街の教会に?」
俺の質問にエリナが答えてくれた。
「ユウシさんがサリオン村を旅立った数日後に、レミアムの街の教会で何やら事件が有ったらしくて、司祭様の交代が行われたんです。しかし、手頃な人材が見つからず…、そんな時に、マリエラ様に白羽の矢が立ったのです。」
そう言われてみれば、山賊騒ぎの時に彼女を村で見掛けた覚えは無いな。
レミアムの街に赴任して、タイミング良く難を逃れたと、言う訳だ。
「ユウシ様。」
「は、はい。」
マリエラさんが姿勢を正して俺に向き直る。
凛とした姿に俺もつい、姿勢を正す。
「事の次第は、シスターエリナに聞き及んで居ます。まだまだ未熟な娘ですが、どうか宜しくお願いします。」
マリエラさんは、深く頭を下げる。
「はい。分りました。」
俺は、静かに…されど、力強く返事を返す。
「シスターエリナ。偶には又、顔を見せに来て頂戴。貴方達なら歓迎するわ。」
「はい。また来ます。」
マリエラさんと別れを告げ、出発準備の為に一度、宿屋の方へと戻る。
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