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戻ろう

~第七十四章~戻ろう


グラップを倒し、再び復活しない事を確認してから、俺は、像の破片を回収しておく事にした。

像の破片からはもう、威圧感を感じる事は無かった。

破片を回収し終えると俺達はサリオン村へと向かう前に、バンス達の山賊キャンプへと立ち寄る。

山賊キャンプへと立ち寄ると山賊達が出迎えてくれた。


「親分!無事でしたか!?」


「応。心配かけたな。グラップの奴には俺がキッチリ落とし前付けて来た!もう心配は要らねぇ!」


おおっ!!と山賊達の間から安堵の溜息が漏れる。

そんな山賊達をバンスは見渡すと、一息ついて俺達に告げる。


「それじゃあ、此処でお別れだ。」


「えっ!?村まで一緒に行かないのですか?」


声を上げたのはエリナさんだった。


「バンスさんも私達を助けてくれたのに…、村の皆もきっとお礼を言いたがっていると思います!」


「いや、お嬢ちゃん。悪いが俺達は山賊だ。本来は、出会い頭に切り殺されても文句が言えねぇ存在だ。そんな俺達がサリオン村で歓迎されたなんて話が他の町の連中共の耳に入ったら迷惑が掛かるだろう?」


「そ、それは…。」


「良いんだ。俺達は俺達の都合で動いたんだ。嬢ちゃん達が気にする必要はねぇよ。」


そうバンスはエリナさんを諭すと、俺に向き直る。


「山賊のごたごたに巻き込んじまって悪かったな。」


「いや、礼を言うよ。バンスが居てくれなかったら村人を…、エリナさんを助ける事は出来なかった。ありがとう。」


「よせやい。礼なんて言われたら背中が痒く成るぜ!…まあ、元気でやれや。お前らならいつでも歓迎してやるぜ。」


「ああ、又近くに来た時は顔を見せに来るよ。」


ガシッと強めの握手をして、俺達はバンスと別れた。

山賊に預けていた馬を引き取ると一路、サリオン村へと向かう。

サリオン村へと向かう途中、森の中に松明の明かりが幾つも見えた。

如何やら冒険者達の様だ。

そう言えば、冒険者ギルドから討伐隊が来る予定だったっけ。

先に逃げた村人達に話を少し聞いていたらしく、話の内容は簡単に説明するだけで良かった。

俺は討伐隊にアジトの場所と中で麻痺して倒れているであろう山賊の捕縛を任せると、サリオン村へと戻る。


村へと戻ると、先に逃げた村人達は既に帰り着いて、家族と感動の対面を果たしていた。

村の入り口で教会の司祭様と、村長にお礼を言われた。


「ユウシ様。有難う御座いました。お陰で村人達は無事に村へと戻りました。何とお礼を言えば良いか…、本当に有難う御座いました。」


お礼も言葉もそこそこに、山賊アジトで回収しておいた食料を村長へと渡しておいた。

何でも、山賊に襲われた際に奪われていて困っていたらしく、とても喜んでいた。

ただ、渡した食料は奪われた分より多かったらしく…。

その後、村の広場に集まり、「今日は祭りだ!!」と言う掛け声と共に、村人の無事を祝う祭りが模様された。

祭りの主役ともいえる俺は散々にお酒を飲まされた。

助けて貰った人々が代わる代わるお礼を言いに来る度にお酌をして来るものだから堪ったもんじゃない!

ペロも、宴会で出された食事に夢中に成って食べている。

ふと、エリナさんの姿が広場に無い事に気が付く。


「あれ?エリナさんは?」


俺はお酌を躱す為、ソッと隠密を発動させると、広場を後にする。

エリナさんを探して村外れまでやって来ると、焼け落ちた家の前にいるエリナさんを発見したので、声を掛ける。


「…エリナさん。」


「ユウシさん…。」


声を掛けられ、振り向いたエリナさんの瞳には一筋の涙が見て取れた…。

俺は近くに寄り添い尋ねる。


「如何しました?」


「家が…、無く成ってしまいました。」


エリナさんの見ていた焼け落ちた家は、前に尋ねた事のあるエリナさんの家だった。


「そう…、ですね。これから如何するんですか?」


「如何…しましょうか。」


この家は、エリナさんに取って、今は亡きゴータスさんと過ごした思い出の詰まった家なのだろう…。

新しく立て直しました。では、納得の行くものでは無いだろう。

俺は一つの決心をして、エリナさんに声を掛ける。


「あのっ!エリナさん。」


「はい。何でしょうか?」


「もし、良かったらですね。俺達と一緒に行きませんか?」


あ!?昨日から3月だ!

ただ、それだけです…。意味なんて有りません。

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