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1+1対2 「ペロ+α対剣・杖」

~第七十一章~ 1+1対2 「ペロ+α対剣・杖」


キンッ!キンッ!

森の中に火花が飛ぶ!


「如何した!?犬人!その程度か!?」


私は、剣士と、魔法使いと戦う事に成りました。

大剣使い相手に剣を打ち合います…、剣の威力が高い分、動きは緩慢な為、受ける位ならば問題は有りません。

剣の威力に劣る私は、その分スピードを生かし、相手を翻弄します!

それにより、得物の違いは有れど、剣の腕前は、ほぼ互角と言って良いでしょう。

しかし、あちらには魔術を駆使してくる山賊が付いており、苦戦を呈しています。

時折、剣士の攻撃を掻い潜り、攻撃しようとすると、大きな火の玉が飛んで来るのでイマイチ攻めきれません。

かと言って、魔術師の方を先に片付け様とすると、剣士が襲って来る…。

何とも厄介です。


「犬人!俺の剣を防ぐとは良い腕をしている!だが、俺は¥;*様から、「全ステータスUP」を与えられている!並の相手と思うなよ!」


全ステータスUP?

つまり、身体能力が向上して居ると言う事でしょうか?


などと考えていると、火の玉が飛んで来ます!?

魔法を盾で受ける訳にもいかず、私は、火の玉から十分な距離を取って回避します。

火の玉は驚く程大きく、只避ける為にも大きく避けなければいけません。

熱風と共に火の玉が、立って居た場所を通り過ぎます…。


「熱っい…、まともに受けたら、黒焦げです…。」


魔術師の方から、チッ!と舌打ちする音が聞こえます。


「何で当たらないのよ!?」


杖を構えたローブから、苛付いた声が私の耳に届く、この声は…女性ですか!?

山賊の一人は女性だったんだ!?

しかし!御主人様に危害を加えるので有れば、このペロ・シーバ!例え女性と言えども手加減はしません!


「前に出過ぎだ!下がれ!」


剣士が魔術師に下がる様に注意をする。

冷静な剣士に比べ、魔術師の方はよほど血の気が多いのか、前に出過ぎる節が有りますね。


「五月蠅い!アイツは私が焼き殺すの!私の魔法を避けるなんて、許せる事じゃ無いの…。折角「魔力UP」を貰ったんだもの!炎に抱かれて、もがき苦しむ姿が見たいのよ!!」


何でしょうか?

女性魔術師の方は、短気な性格の様ですね…。

魔術師が苛付き始め、段々と相手の連携が雑に成って来た様な気がします。

女性魔術師が詠唱を始める!


「食らえ!!ファイヤーボール!!」


大きな火の玉が飛んで来る!


「そう何度も、やらせません!」


大きく横に飛んで魔法を避け、私は装備していた盾を魔術師相手に、水平に投げ付ける!

御主人様の危機に思わず投げ付けた盾…。

思いの外、命中率が良くって、使いやすい技でした。

シールドは魔術師の頭に命中し、気絶する様に倒れました。


「威力に欠けますが、牽制には良いですね。…シールドスローとでも名付けましょうか?」


これで剣士と一対一で、戦えます!


「糞!!役に立たない女だ!!だが、犬人一人如き、俺一人で十分だ!!俺の大剣の錆びと成れ!!」


剣士は今までの援護攻撃を想定した大振り攻撃から、隙の少ない突きを主体に攻撃を変更した様で、今までの様に隙が有りません!


「ホラホラッ!如何した!?反撃して来いよ!?」


大剣の突きはリーチが長すぎて私は上手く剣士の懐に飛び込めずに居ます。

大口を叩くだけ在ってこの剣士…、強いです!

恐らく無理やり懐に飛び込んでも、返り討ちに会うだけでしょう…。

しかし、逆に剣士も私を突きだけで倒せるとは思ってはいない様です。

偶に、攻撃に隙を作って誘って来ているのが解ります!

互いに決め手に欠ける戦いを続けていると、意識を取り戻した魔術師が起き上がろうとしているのを確認出来ました!!


「気付いたか!?サッサと手伝え!魔法で燃やすんだ!」


「不味いですね…、このままじゃ。やられてしまいます…。」


しかし、起き上がった魔術師の様子が何やら変です!?

起き上がったその顔には一筋の血が…、鼻血?

シールドスローが命中した時に打ったのでしょうか?

魔術師の肩がフルフルと震える…。


「許せない…。私の顔に傷を付けるなんて…。ゆるぜないぃぃぃ!!」


魔術師は杖を高々と掲げると、怨嗟に満ちた声で呪文を詠唱する!


「吹き荒れろ!!火口より生まれし竜の吐息!!全てを灰塵へと帰せ!!」


「おっ!?おい!!止めろ!?俺も居るんだぞ!!」


剣士が呪文を聞いた途端に慌てた声で叫ぶ!

慌てる剣士を見て私も、これは不味い!?と、思ったが、避難するには時既に遅く、詠唱が完了してしまった!?


「全員、黒焦げに成って、死ね!!『ファイヤストーム』!!!」


途端に襲い来る熱波の嵐!!


「ぎゃあぁぁぁぁぁあぁ!!」


剣士の身が炎に包まれ、絶叫が木霊する!!

私は魔術師の詠唱の完了と同時に後方へと全力で走り出す!

チリチリと背中が焼かれるのを感じる…。

幸い『ファイヤストーム』の攻撃範囲はそれほど広くは在りませんでした。


「痛っ!?」


背中に熱い痛みが走る!

思わず膝を着き、私は背中を簡単に確認する…。


「クッ!?」


背中は革の鎧が焼け落ち、軽度の火傷を負っていた。


「折角御主人様に買って頂いた鎧なのに…。」


魔術師が私を追ってやって来るのが見える。

いけない、戦わなくちゃ…。

痛みを我慢して立ち上がろうとするが、上手く立ち上がれない!?

思いの外、ダメージが大きい様だ。


「何で、燃え尽きないのよ。サッサと黒焦げに成りなさい!!」


再び杖を掲げ、詠唱を始める。

ですが、その時!私と魔術師の間に割って入る人影が!


「させません!」


人影は手に持っていた棒…、メイスを魔術師に投げ付けた!?

投げ付けたメイスは又も顔面に命中!

余りの痛さに魔術師は悶絶して居ます。


「さあ、ペロさん!今の内に避難しましょう!」


私の肩を担ぎ、ユックリとですが移動します。

人影の正体はエリナ様でした…。

ファイヤストームから逃げる為に下がった所にエリナ様が避難していたのでしょう…。

何という愚かな…、御主人様が守ろうとした相手を危険に晒すなんて…。


「エ、エリナ様…、いけません。私と居たら魔術の炎に焼かれます…。」


「いいえ、ユウシさんと同じく、ペロさんも私達を助ける為に戦ってくれて居るのですから、私だって、少し位はお手伝いをしたいんです!でも、御免なさい…。ユウシさんを治癒した時に魔力を殆ど使い切ってしまって、ペロさんの火傷さえ、治療できません…。」


「いいえ、御主人様を治療して戴いただけで十分ですよ…。」


痛みから立ち直った魔術師が怒りをその顔に浮かべ此方を空虚な瞳で睨み付ける!


「アンタ達は、絶対に殺すわ!!簡単には殺さない!!じっくり手足の先から焼いて上げる!!」


「ファイヤー…」


杖の先に火の玉が浮かぶのが見て取れる!


「エリナ様!私を置いて逃げて下さい!お願いします!!」


「い、嫌です!!ペロさんがユウシさんの大事な人なら…、貴方を守りたいんです!だって、ユウシさんが悲しむ所を…、見たくないから!」


そう言って、私の前にエリナ様は盾を構えて壁に成る!


「…ボール!!」


駄目!あの大きさの火の玉は盾なんかじゃ防げない!


「エリナ様―――!!」


火の玉はエリナ様へと直撃した!!

かに、思われた…。


「な、何!?何が起こったの!?何で燃え尽きて無いのよ!?」


火の玉はエリナ様にかすりもせず、影も形も消えていた。

当のエリナ様も防御の際、瞳を閉じていたせいで何が起こったのか解らずに呆けている。

しかし、私は見た!火の玉が盾に触れた瞬間!一気に火の玉が吸収されたのだ!


魔術師は再び火の玉を此方に飛ばす!

が、エリナ様の持つ盾がすべての火の玉を吸収して行く!


「エ、エリナ様!凄いです!ファイヤーボールを無効化してますよ!?」


「こ、この盾、ユウシさんが渡してくれたんです…。それに何だか、魔法を盾が吸収する度に魔力が溢れて来る様な…?」


さすが御主人様です。

この様な事態を予想してエリナさんに盾を渡していたのでしょう。

しかし、魔法を吸収してしまう盾なんて聞いた事が有りません!

余程の凄い品物なのでしょう。

それにこの盾は以前、私に持たせようとしていませんでしたか?

こんな貴重品を気軽に奴隷に持たせようとする御主人様…、大物ですね。


「ペロさん!背中の火傷を見せて下さい!今なら回復魔法が使えるかもしれません!」


そう言うとエリナ様は私の背中に手をかざし回復魔法を発動します。

背中の火傷は跡形も無く綺麗に治癒してしまいました!


「ありがとうございます!エリナ様!」


「エリナ・ソラトです。エリナと呼んで下さい。ペロさん。」


エリナ様はそう言って手を渡しに差し出します。


「ペロ・シーバです。私は奴隷の身分ですから、呼び捨ては流石に…、ですので、エリナさんと…。」


「分りました。今は、ペロさんが呼びやすい様に呼んで下さい。」


私は差し出されたエリナさんの手をギュッと握る。


「さあ、あの魔術師を退治してしまいましょう。エリナさん!」


「はい!ペロさん!」


其処からは一方的な戦いでした。

自身を守る存在だった剣士は既に自分の出した炎で焼き、自慢の火の玉もエリナさんの持つ盾の前には無力でした。

後は一気に間合いを詰め、魔術師を切り捨てるだけでした。


UPしました。

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