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バンス山賊団

~第六十三章~バンス山賊団


エルフの森に辿り着いた頃には、完全に日が暮れてしまった。

時計を見ると、午後6時を少し過ぎている。

久しぶりに森ドワーフのドランとマヌサに会いに行きたいが、それ所では無いので、諦めよう。


「急ごう!何時までもエリナさんや、村人が無事とは限らない。」


ライティングで明かりを灯そうとして、ペロに声を掛けられる。


「御主人様!?あそこに火が見えます。」


ペロが指差す方向に林の向う側に小さく焚火の明かりが見える。

取り敢えず、隠密状態で近づいて様子を見ようか…?


近づいて様子を見ると、厳つい男達が居るのだが…、殆どが怪我人の様だ。

怪我の大小は有るが皆包帯を巻いている。

横に寝かされ、痛みで唸っている者も居る…。

そんな横に成る、怪我人の中に見覚えのある大男が居た…、バンスだ!!


咄嗟に俺は腰から短剣「闇烏」を引き抜き、茂みから飛び出す!

周りの山賊達は咄嗟の事に対応が出来ない!

一気に大男バンスに詰め寄り、首元に短剣を突き付ける!!


「サリオン村から攫った人達を何処に連れて行った!!」


周りの山賊達が剣を抜く!


「動くな!コイツを殺すぞ!」


周りの山賊に威圧を掛ける、と、バンスが口を開く。


「お前達、剣を引け…。小童、何を勘違いしてるかは、知らねぇが。俺達はサリオン村なんて、襲っちゃいねぇよ。」


「嘘だ!村人が後を付けて、バンス山賊団だと、確認が取れてる。」


「あ~。そりゃあ、たぶん間違い無いな…。だが、俺達じゃ無い。」


コイツ何を言っているんだ?


「如何言う意味だ!?詳しく説明しろ!」


「なに、簡単な話だ。今、俺達バンス山賊団は二つに分裂してんのさ。」


「分裂だと?」


「まあ、分裂と言えば聞こえは良いが、要は、乗っ取りに有って、俺達は逃げ出して来たって訳さ…。」


「じゃあ、村を襲ったのは…。」


「ああ、乗っ取りを計画した、残りのメンバーだ…。…そろそろこの短剣、退けてくれると有難いんだが…。」


「いいだろう。変なマネさえしなければ、此方もこれ以上は手出しは、しない。」


俺はバンスの首元から短剣を引くと、横に成っていたバンスが起き上がる。


「おっ!?おい、小童…。お前、確か前に俺の宝箱を漁っていた奴じゃねえか?」


「違う。いや、違わないけど、別に中身に興味が有った訳じゃ無い!第一、弁解する間も無く矢を射って来たのはそっちだろう?お陰で、崖から落ちて、死に掛けたぞ!」


取り敢えず文句を言う権利位は有るだろう。


「そうか、すまねぇな。で、その矢を射った奴を覚えてるか?」


「どんな奴だったっけ?確か…、「殺してから奪った方が早い!!」とか、物騒な事、言ってた奴だよな?」


「良く覚えてるじゃねえか…。そいつが、今回の乗っ取りを画策した奴だ。「グラップ」と言ってな、俺の右腕だった…。」


右腕に裏切られて如何すんだよ…。


「俺が言うのも変だけど、この山賊団、良く今まで、やって来れたな…。」


「言ってくれるな…。グラップは血気盛んな奴では有ったが、こんな大それた事をする様な奴じゃ無かったんだがな…。ここ最近のグラップは、何処かおかしかった…。俺達は奪いこそすれ基本、人は殺さねえ!だが、グラップは他のメンバ―を連れて、村人や旅人を襲う様に成ったんだ。その事で俺達と意見が反発してな…。結局、山賊団を分断する事に成っちまった。今や、あいつ等は山賊じゃねえ!殺しを楽しむ狂族だ!別れて活動していた俺達も突然の襲撃を受けてな、この有様よ。」


包帯を巻いた体を肩を竦めて披露するバンス…。


「グラップの野郎…、此処まで俺をコケにしてくれたんだ!この落とし前はキッチリ付けてやるぜ。」


額に青筋浮かべて、バンスが吠える。

以前、ディアスさんが街道で山賊に襲われていたが、あれは、グラップの一味の仕業だったのだろう。

何とも迷惑な話だ!


「まあ、その辺は山賊同士、勝手にすれば良いさ。」


山賊同士の確執なんて、ぶっちゃけ興味無い!


「それより、そのグラップって奴が、サリオン村を襲って、村人を攫って行ったのか?」


「ああ、まず間違い無いだろう!」


「そいつのアジトを教えてくれ!俺は今すぐ村人を助けに行かないと行けないんだ!!」


「小童共、二人で乗り込むのか?返り討ちが関の山だぞ?」


「それでも行かなきゃいけない理由が有る!!」


バンスの目を真っ直ぐ見据え答える。


「分った…。俺も行こう。」


包帯を巻いた体で立ち上がろうとして、周りの若い山賊に止められる。


「お頭!?駄目ですよ!横に成って無いと又、傷口が開いちまいますよ!!」


事実、バンスの胸の包帯には血が滲んで来ている…。


「おいおい。無理しない方が良いんじゃないか?」


「バカ野郎!こんな傷、屁でもねぇよ!第一、余所者が山賊の住処に殴り込もうかって時に、暢気に寝てられるか!」


このおっさん、このままじゃ、血を垂らしながら付いて来るな…。

こんな傷で付いて来られたんじゃ、いい足手纏いだ!


「御主人様。この人の傷…、治療しては如何ですか?」


ペロが俺の袖を軽く引き、治療を促す。

…道案内をして貰えば、俺達だけで向かうより早く着くか?


「分った…。小ヒール!!」


俺は、バンスの傷を小ヒールで癒す。


「おおっ!?傷が…、消えた!?有難うよ、小童共!!」


「小童じゃ無い!ユウシだ!」


「えっと…。ペロです。」


「ユウシにペロか…。改めて名前を名乗ろう。俺の名は、バンス!この山賊団の頭領だ!」


互いに自己紹介を終え、俺達はグラップの潜むアジトへと向かう。


UPしました。

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