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水魔石と忠誠心

~第五十八章~水魔石と忠誠心


「水魔石か、初めて見るな。どう使うんだろう?」


「ワタシ、シッテマス。マセキ、ショウゲキ、アタエル、ミズガデル。です。」


火魔石と同じ様な感じか?

俺は剣の柄で水魔石を軽く突く…。

すると、水魔石からじんわりと水が滲み出て来た…。

正直微妙な量だ…。

アクアで水を出した方が量も速度も速いだろう…。

これ、どうしようか…?

…そう言えば火魔石は魔法弓に填め込めたっけ?

ならば、水魔石も填め込めるのか?

俺は魔法弓を取出し、填め込んで見る事にした。

カチッと水魔石は見事に填まり込んだ。

魔法弓の弦をゆっくり引き絞ると、鏃回りに水が渦巻く矢が装填される。

俺は近くの木に向けて矢を放つべく、狙いを定めて、弦から、矢を放す。


パァァン!!


瞬間!!撃ち放たれた水の矢は大きな音を立てて、破裂する!!


「キャッ!?」


「うわッ!?」


ペロは突然の破裂音に耳を押さえて蹲る。

俺も少し驚いたが、問題は無い、それに矢が破裂した原因も解った。

そもそも、破裂した訳では無く、分裂したのだ。

一本の水の矢は、放たれた瞬間に無数の小さな水滴と成ったのだ。

無数の水滴はそのまま広範囲に散らばり小さな穴を木々に開けていた。

要するに、散弾だ!弓だから、差し詰め、散弾水弓とでも名付けるか?


「キュウニ、オオキイ、オト、ビックリ!です。」


ゴメンね。とペロの頭を撫でてあげると、撫でられるのが嬉しいのか尻尾を凄い勢いで振る…。

しかし、広範囲に広がり過ぎていて、散弾一発一発の威力は低そうだ…。

必然的に至近距離での使用を求められるが…、離れて攻撃できる弓の利点を殺されているな。

まあ、敵に接近された時などに使えるかな?

水魔石に至ってはこんな所だろう、火魔石の確認は別に良いかな?

それよりも、さっきから試したい事が有るんだよな。

俺はペロを近くに呼んで、一冊の本を手渡す。


「コレハ?ホン、デスカ?」


「うん。これを読んでほしいんだ。」


「ワタシ、モジ、ヨメマセン…。」


ペロに手渡した本は、「ラルシャル王国語本」だ。

俺はこの本に目を通す事でスキルを手に入れられた。

もしかすると、ペロもスキルを手に入れられるかも知れない。


「内容に関しては気にしなくて良いから、まずは、中身を最後まで目を通してくれないかな?」


「ワカリマシタ。」


そう言ってペロはページを捲り始めた。

数分後、ペロはパタンッと本を閉じる。


「ミマシタ…。デモ、カイテル、ナイヨウ、ワカラナイ、です…。」


ペロは申し訳なさそうに頭を下げる。

だが諦めるのは早いぞ!ペロよ!

俺はペロのステータスを開き確認すると、そこには、「言語:ラルシャル王国語 LV:1/10」のスキルが記載されていた。

思った通り!!

早速、SP付与で、ペロのスキルLVを10まで上昇させる事にする。


「ペロ、もう一度中身を確認して貰えるかな?」


「はい。………えっ!?あれ!?」


ペロは、本の内容を確かめる様に見つめている。


「御主人様!私、文字が読めます!?」


やはり!!文字が読める様に成っている!それ所か、喋りもたどたどしさが消え、普通に会話出来ている。


「思った通りだな。これでペロと意志の疎通が楽に成ったぞ!」


「!?御主人様の言葉も良く聞き取れます!?もしや、御主人様のお陰ですか?」


今まで、ペロは俺の言葉が聞き取り難かったのか…。

うん、本当にスキル様様だ!


「うん。ペロには「ラルシャル王国語」を身に着けて貰ったんだ。これからは文字も書ける筈だよ。」


「す、凄いです!そんな事が出来るのですか?御主人様は…。」


俺は、自分のSPをペロに譲渡出来る事を説明した。

いまいち、ペロはSPに理解を示していなかったが、取り敢えずは俺がペロを成長させる事が出来る事だけ、理解してくれた様だ。


「さすが、御主人様です。でも、そのSPとやらに数に限りが有るのなら、どうかご自身へと、優先して下さい。装備品もです。私は御主人様の奴隷なのですから…、御主人様を守る為なら、盾にでも成ります。」


ペロは、俺に忠誠を新たに決意した様だ。

まあ、SPはまだ使い切れない程残っている。

余りの分なのだから、ペロに使用しても文句は無いだろう。


「分った。気を付けよう。で、ペロはどのスキルを上げたい?」


一応、本人の希望を聞いておいた方が良いだろうと思い、ペロに尋ねる。


「いえ、ですから…。ご自分を優先に…、いえ、何でも無いです…。」


折角の忠告も俺には効果無しと気が付いたのか、肩を落とすぺロ…。

しかし、すぐに復活して、此方を向く。


「でしたら、その、スキル?は、御主人様にお任せ致します。私は、身も心も御主人様に差し上げましたから。」


ペロは凄い事をサラッと口にした!

ま、まあ、好きにして良いなら、遠慮なくステータスを弄らせて貰おう。

上昇させたいスキルが有る場合は、その都度、了解を取れば良いか…。

取り敢えず、今、覚えているスキルは、全部LV5程度にまで振っておこう。

LV10にしても良いが、行き成り剣の腕前等が上がっても戸惑うからな。


「所で、ペロのスキルの中に「忠誠心」って言うスキルが有るんだけど、これって、如何いうスキルなのかな?」


普通に考えれば、俺に対する忠誠の度合い何だろうけど…。

忠誠心がスキルって言うのも何だか寂しい物が有る。

しかし、忠誠心については、ペロが少し知っていた。


「えっとですね。聞いた話なのですが。犬人は忠誠を誓った主人の元で戦う時、一人の時よりも力が湧くと、聞いた事が有ります。」


つまり、スキル「忠誠心」とは、俺が近くに居る時にペロの戦闘力が一時的にUPすると言う事かな?

中々に便利そうだけど、俺が居ない時に戦闘力が落ちるのは怖い物が有るな…。

しかし、今、心配しても仕方が無い事だと諦める。


「さて、そろそろ街に帰ろうか。」


色々有ったが、今日の目的は薬草だ。

既に十分な量が確保出来ているので問題は無いだろう。

俺達は狩猟林を出て、街へと帰る事にした。


UPしました。

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