ギルド登録再び
~第五十六章~ギルド登録再び
「こんにちは!」
「コ、コンニチハ。」
冒険者ギルドの扉をくぐり、挨拶をする。
視線が俺達に集まるが構わない。
此処の空気を吸うのも久しぶりだ。
受付カウンターに向いレベッカさんに挨拶をする。
「こんにちは。レベッカさん。」
「あら?オオトリさん!?お久しぶりですね?今日はお仕事ですか?」
「うん。それも有るんですけど…。今日は連れの冒険者登録をしに来ました。」
そう言ってペロをズイッと前に押し出す。
「エ!?エット、ぺ、ペロ・シーバです。… エット、ドレイです。」
「ああ、はい。宜しくお願いします。登録は奴隷の方でも大丈夫ですよ。では、必要書類にご記入をお願いしています。」
書類がペロに渡され、少し困惑する。
「ワタシ、コノクニノ、モジ、スコシシカ、カケナイ、です。」
「じゃあ、俺が代わりに書くよ。」
俺の代筆にレベッカさんが疑問符を浮かべる。
「あれ?オオトリさん、文字掛けましたか?」
そう言えば、俺も登録の時は、レベッカさんに代筆を頼んだっけ。
「ええ、あれから頑張って勉強しましたから。」
本当はスキルのお陰だが、黙っておこう…。
ペンを借り受け、ペロの代わりに必要事項を記入して行く。
氏名…。年齢…?
「あれ?ペロは今、歳はいくつだ?」
そう言えば俺はペロの年齢を知らない。
聞く機会も無かったからな…。
「ワタシ、16、ナッタ。です。」
16歳と…。
書類に記入する、次は…職業だ!確か、ペロの職業は騎士だったな。
「職業は騎士っと…。」
「エッ!?」
ペロから驚きの声が上がる。
「ゴシュジンサマ。ナンデ、ワタシ、キシダッテ、シッテルデスカ!?」
ステータス欄に記入されて在ったから覚えてる。
「それは、俺がお前の御主人様だからだ。」
「!?スゴイです!ゴシュジンサマ!」
此処で説明するのが面倒だったから適当に誤魔化したが、ペロは納得してしまった…。
ま、いっか。
「後、記入は此処と、此処と…、此処で、終わりっと。はい、レベッカさん。書き終わりました。」
レベッカさんに書類を渡し、内容を確認して貰う。
「はい!確かに!では、ギルドカードの発行に少し時間が掛かりますので、ギルド内でお待ち下さい。」
レベッカさんは、カード発行の為に奥へと入って行った。
カードが出来上がるまで、クエストボードを見て暇を潰す。
火鼠の駆除・薬草の納品・商隊の護衛・ゴーレムの核採取・猫は何処へ行った?…。
猫、まだ捕まえられないのか…、中々にしぶとい猫だ。
依頼内容を見ていた俺達に受付カウンターからお呼びが掛かる。
「お待たせしました。此方がギルドカードに成ります。ランクはFからとなります。詳しい説明が必要ですか?」
「いや、俺が説明しておくから、大丈夫です。」
ペロは恭しくギルドカードを受け取る。
「じゃあ、早速依頼に行ってみようか?」
「ハイ。ガンバリマス。です。」
実は、先ほど、クエストボードから剥して持って来ているのだ。
「じゃあ、レベッカさん。これ、お願いします。」
レベッカさんに依頼書を渡す。
「ハイ、確認します。Fランク任務:採取・薬草を集めてほしい。ですね。」
ポンと受注中のハンコを押して返される。
俺とペロは冒険者ギルドを出て、まずは武器屋を目指す事にした。
もちろん、ペロの装備を購入する為だ。
「ペロは得意な武器は有る?」
スキルに剣術が有ったが、一応本人に武器の好みを聞いておく事にする。
「トクイ、チガウ、ケド、ケン、ナラスコシ、ツカエマス。です。」
ふむ、剣が使えるか…、盾と合わせて立ち回らせれば、安全かな?
「じゃあ、この剣と盾を使うか?」
腰に差していた「妖精の剣」とサイドバッグから取り出した「吸魔の盾」をペロに差し出すが、ペロはフルフルと首を振る
「ソレ、トテモヨイ、ケントタテ!ヨイモノ、ゴシュジンサマ、ツカウ、です。ワタシ、ヤスモノ、ジュウブン。」
頑なに受け取らない。
俺としては最近は、弓を良く使うのでこの際ペロに前衛を任せて、俺は中遠距離をカバーしたら良いのでは?と思って居るのだが…。
「…。なら、これを使うか?」
俺はサイドバッグからロングソードを取出し、ペロに渡す。
「コレモ、ヨイ、ケン。ワタシ、ツカウ、イイデスカ?」
「うん。俺は使って無いから、ペロが使うと良いよ。盾は武器屋で見繕う事にしよう。」
そんな話で纏まった所で武器屋が見えて来た。
「ちわっす!」
ヒゲ親父に気軽に挨拶する。
「おう。兄ちゃん!いらっしゃい。…!?」
ヒゲ親父が疑問符を浮かべている。
「あれ?兄ちゃん…。兄ちゃんの奴隷、足が悪かったんじゃ無かったか?」
まあ、昨日、車椅子で来て次の日、普通に歩いて来たら驚くだろうな。
「アシ、ゴシュジンサマニ、ナオシテ、モライマシタ。」
ペロの言葉にヒゲ親父は「そりゃあ、よかったな。」と返している。
怪我の具合までは説明して居なかったので、軽度だったとヒゲ親父は思って居るのだろう。
「今日はこの子の装備を買いに来たんだ。」
「どんな、装備品が欲しいんだ?剣か?」
「いや、剣は有るから、防具が欲しいな。」
ペロが手に持つ剣を指さすと、ヒゲ親父は納得した顔をして頷く。
「そうだな、お薦め出来るのは、前に兄ちゃんにも勧めた、革の胸当てか、革の鎧だな。」
どうするかな?まだLVが低いペロには防御力の高い、鎧を付けさせようかな?
「革の鎧は、幾らだ?」
「革の胸当てと同じ、銀貨5枚だ。」
「じゃあ、それをくれ。後、剣を掛ける剣帯と安い盾は有るかな?」
俺が尋ねると、ヒゲ親父は店の奥から、ゴソゴソと商品を持って来た。
「剣帯は、これだ。あと、盾なんだが…、試作で作ったウッドシールドが有ったから、サービスで付けとくぜ。」
「そっか、悪いな。幾らになる?」
「銀貨5枚と、銅貨8枚だ。」
俺は、会計を渡そうとすると、ペロが俺に尋ねて来る。
「ア、アノ、ゴシュジンサマ?マモノ、カイタイヨウノ、ナイフ、アリマスカ?」
「魔物解体用のナイフ?いや、無いな。俺、解体出来ないし…。」
「ワタシ、カイタイ、デキマス。ナイフヲ、イッポン、イタデケマセンカ?」
ペロが狩った魔物を解体してくれるのか?
食用にしろ、素材にしろ、解体しない事には手に入らない。
ペロが出来ると言うなら、任せてみようか?
「分った。じゃあ、ヒゲの親父さん、解体用のナイフも一本!」
全部で銀貨5枚と銅貨10枚が飛んで行った…。
そろそろ財布が寂しくなって来た…。
真面目に仕事に取り組まなければ!
ペロはその場で装備を装着させて貰い。
俺達は武器屋を後にすると、狩猟林目指して歩いて行く。
程無くして、狩猟林に着くと、早速、俺は薬草を採取して見せる。
「今日は、この草…。薬草の採取だ。これと同じ草を集めてくれ。」
見本に一株薬草をペロに渡すと、クンクンと匂いを嗅ぐ…。
「イイニオイガシマス。コレト、オナジ、クサ。サガシマス。です。」
俺は盗賊の鑑定眼を使い、見付けているが、どうやら、ペロは匂いで判別できる様だ。
…。犬っぽい…。
「ペロは、足が治ったばかりなんだから、無理はしない様に!」
「ハイ!ゴシュジンサマ!」
俺とペロは薬草を探して狩猟林を歩き回った。
二時間程、歩き回ると、結構な量の薬草が手に入った。
稀に、シビレ茸が混ざっているのはご愛嬌。
後でキチンと分けておかないとな…。
さて、そろそろ街に帰ろうかと思った時、歩みをペロに止められた。
「ゴシュジンサマ!マモノデス!」
ペロが指さす方向には、火鼠が三匹と蠢く木が一本地面に立って居た。
如何やら、火鼠が蠢く木に噛み付き攻撃をしている様だ。
盗賊の鑑定眼で蠢く木を見て観る。
『魔物・蠢く魔木・銅貨1枚』
『魔物・火鼠・青銅貨5枚』
どうしようか?ペロのLVも上げておいて損は無いだろう。
俺がフォローを入れればLV1でも上手く立ち回れるかもしれない。
「ペロ!あの魔物、狩るぞ!」
「ハイ!」
UPしました。
シビレ茸は実は狩猟林で手に入る、レア採取品だったりします。
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