表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/153

ペロ・シーバ 4

~第五十五章~ペロ・シーバ 4


朝早く、日が昇り上がる前に目覚め、ベッドを出ると、元の服装に着替える。

貸して貰った服を脱ぎ、綺麗に畳むと、テーブルの上に置いておく。

脱ぎっぱなしの御主人様の服も畳んでおこう。

朝の準備をしていると、モゾモゾと動く気配が、…御主人様が目覚めた様だ。


「ゴシュジンサマ、オハヨ、ゴザイマス。」


「…ン。オハヨウ、ペロ。」


着替えを差し出して、手渡す。


「ゴシュジンサマ、キガエ、ヨウイ、シマシタ。です。」


御主人様は手早く着替え終わると、朝ご飯を食べに食堂へと向かいます。

朝ご飯を戴いていると、今日の予定を話してくれます。


「ペロ、キョウハ、セイカツニ、ヒツヨウナ、シナモノヲ、カイニ、イコウト、オモウンダ。イイカナ?」


「ハイ。イッショ、イキマス。」


買い物の荷物持ち位ならば、私にも出来そうです。

朝ご飯を食べ終え、御主人様と街に出かけます。


「マズハ、フクヲ、カイニイコウ。」


御主人様の服ですね。


「ハイ。ゴシュジンサマ。」


御主人様に車椅子を押して貰いながら、町中を進みます。

途中、武器屋に立ち寄ると、ヒゲが見事な店主と親しげに会話をしています。

邪魔をしてはいけないので、極力、口は挟みません。


「―――――――――。車椅子連れの娘は?…奴隷か?」


話題が私に移った事で、自己紹介をさせて貰います。


「ペロ・シーバ、イイマス。ヨロシク、オレガイシマス。」


その後も、少しお話をしてから、店主と別れを告げ、再び歩き出します。


「マズハ、キゾクガイノ、フクショクヤヘ、イッテミヨウ。」


「ハイ。」


この町には、服屋が幾つか在る様です。

服屋に行く途中、教会の傍を通りました。

風に乗って話が聞こえてきます、何でも教会に泥棒が入ったそうです。

物を盗むのは良くない事です。

服飾屋に着きました。

思ったよりも高級そうな店構えです…。


「イラッシャイマセ。ナニカ、オサガシデショウカ?」


服飾屋に入ると、店主と思しき人がやって来る。


「コノ、コニ、ニアウフクヲ、ミタテテクレ。」


え!?私の服ですか!?御主人様の服では無く!?


「エ!?ワタシ、ノ、フク?イマキテル、ジュウブン、です。」


幾らなんでも、こんな高そうなお店で買わなくてもいいです!

私は奴隷の身分なのですから、今着ている服が有れば十分です!

奴隷にそんな良い服を買い与えるなんて聞いた事が有りません!?


「コレカラノ、セイカツニモ、ナンチャクカハ、イルダロウ?」


それは、そうですけど…。

でも、折角買ってくれると言うのなら、有難く頂戴してべきかな?


「!!…ハイ!」


その後私の採寸を済ませた、店主は一着の服を差し出す。

可愛い…、綺麗なワンピースだ!


「ペロ、コレニスルカ?」


良いのでしょうか?

結構値段が高そうな服ですが…。


「デモ…。オカネ…。タカイフク?」


ワンピースは、銀貨1枚と銅貨5枚の値段だった。

駄目だ…、幾らなんでも高すぎる!

服一着に出せる金額では無い!


「ジャア、コレ、クダサイ。」


あれーーー!?

サラッと御主人様は買ってしまった…。


「エ!?イイデスカ!?フク、タカイです!?」


「アア、キット、ペロニ、ニアウダロウカラネ。」


「アリガト、ゴザイマス。ゴシュジンサマ。」


会計を済ませ、汚れない様に包まれた服を御主人様から、手渡される。

私は服を受け取ると、胸にギュッと抱きしめた。


次に道具屋へと向かう事になりました。

道具屋のおばさんと御主人様は色々とお話をしてから私にポンッと服を手渡しました。


「ペロ、コノフクハ、フダンヅカイデ、キルトイイ。」


「コンナニ、フク、イタダイテ、ヨイ、ノデショウカ?ナンダカ…。モウシワケ、ナイです。」


先程買って貰った服とは違い、活動しやすい普通の布の服の上下です、ズボンには尻尾を出す為の穴も開いてます。

しかし、一日に二着も服を買って貰うなんて、少し申し訳ないです。

と、御主人様が赤い液体の入った瓶を私に差し出す。


「ペロ。コレヲ、アシノチリョウニ、ツカッテミヨウ。ノンデミテ。」


「ハ、ハイ!」


確か、ポーションと言う薬だった筈です。

お手軽に手に入る物から、凄く高い値段がする物まで様々な種類が有った覚えが有ります。

一気に飲み干す気にも成れず、少量ずつ口に含みながら飲み込む。

薬を飲み干し、足に力を込める!が…。


「ゴメンナサイ…。アシ、ウゴキマセン…。スミマセン、コンナニ、ヨク、シテモラッテルノニ…。」


「マア、シカタガナイサ、キニスルナ。」


御主人様は笑って、声を掛けてくれます…。

その後、露店で昼食を取り、買い物の続きに付き添います。


宿に帰宅したのは、夕方近くになってしまいました。

夕食を済ませ、御主人様が出してくれたお湯で身を清めると、御主人様に呼ばれます。


「ペロ、イマカラ、ホンカクテキニ、アシノ、チリョウヲ、シヨウトオモウ。」


足の治療…。

回復魔法に、高価なポーション…。

余り私の為に無理をしないで貰いたいのですが…。


「…ゴシュジンサマ。アマリ、ワタシノアシ、キニスル、ヨクナイ。ワタシノ、オカサン、ミタク、ゴシュジンサマ、タオレル、イヤ…。です。」


大丈夫!そう言って御主人様は私の頭を撫でる…。

御主人様に頭を撫でられるのは結構好きで、思わず目を細めます…。


「コノ、クスリヲ、ノンデミテクレルカナ?」


昼間に渡されたポーションと違い青い液体が瓶を満たしている。


「アオイ…、ポーションデスカ?です。」


見た事の無い薬を恐る恐る口にしましす。


「…。エット、ノミマシタ。」


一瓶すべて飲み干して、御主人様の方を向く。


「カラダハ、ナントモ、ナイカ?」


あれ?少し、体が重い様な気がしますね?


「…エット、スコシ、カラタ、オモイ、カモ…。です。」


「ジャア、ペロ。アシヲ、ウゴカシテミテクレ。」


言われるがままに私は足に力を込める!


「アッ!?」


あれ!?何で!?今までピクリともしなかった私の足が…。

不思議と涙が溢れる。


「イ、アァァ…。ウ、ウゴイタ。ワタシ、アシガ、ウ、ウゴキマスタ。…です。」


涙が頬を伝う、口を震える手で覆い、感動に咽び泣く。

涙を流す私を御主人様は優しく慰めてくれる。

そこで、気が付く!

普通、回復魔法でも治癒出来ない怪我をポーションで治癒するなんて有り得るだろうか?

きっと私が飲んだ青いポーションはとても高い薬なんだ。

そんな薬を私なんかの為に使うなんて…。

また一つ御主人様に返せない御恩が出来てしまった。


「ゴ、ゴシュジンサマ!アリガトゴザイマス!ワタシ、コノゴオン、ケシテケシテ、ワスレナイ。です。」


早速、立ち上がってみましょう!

私は立ち上がろうとして、膝が抜けた!


「オ、オイ。イキナリハ、アブナ、オット!?」


事も有ろうに御主人様の方へと倒れ掛かるが、御主人様はその身を盾に私を転倒から保護してくれた。


「ダイジョウブカ?」


「ハ、ハイ。ゴメンナサ…!?」


しまった!事も有ろうに恩人である御主人様に倒れ掛かるなんて!?

咄嗟に床にひれ伏し、謝罪をする!


「ゴ、ゴメンナサイ!ゴシュジンサマ!!ブレイシマシタ!ユルシクダサイ!」


ひれ伏す私の頭をソッと御主人様は撫でながら、語り掛ける。


「イキナリ、ムリシチャ、ダメダヨ。アシモ、ナオッタ。バカリ、ナンダカラ。」


「…ハイ。ゴメンナサイデシタ。」


「ユックリ、アシヲ、ナラシテユコウ。」


その日は夜遅くまで、御主人様と歩行訓練に費やしました。


「サア、ソロソロ、オシマイニシテ、ネヨウカ?」


「……。」


私は一つの思いを心に決意して、御主人様に告げる。


「ゴシュジンサマ!ワタシノ、ホントノ、ゴシュジンサマニ、ナッテホシイ、です!」


「エット・・・。ドウイウコト?」


本当の御主人様…、心の底から忠誠を誓う存在…。

自身の体だけでは無く、魂までも差し出す契約の言葉…。

死ねと言われれば、喜んでこの命を差し出す事も出来る。

それだけの恩を、新しい世界を私はこの人から頂いた…。


「犬人、ツカエルヒト、ジブンデキメル、ドレイ、ナッテモ、ココロマデ、ワタサナイ。犬人、ツカエルベキ、ゴシュジンサマ、ツカエル、シアワセナコト。」


「ペロハ、オレナンカニ、ツカエテイイノ?」


「ゴシュジンサマ、ゴハン、タベサセテクレタ。カミ、アラテクレタ。ヤサシク、アタマ、ナデテクレタ。ワタシノ、アシ、ナオシテクレタ。アタラシイ、セカイ、ワタシニ、クレタ。オン、カエシタイ…。」


「オレハ、タイシタコトハ、シテナイヨ?」


フルフルと首を振り否定する。

御主人様は私に、返しきれない程の恩を戴きました。


「オン、カエシタイ。デモ、カエセナイ…。オオキイ、オン。ダカラ、ワタシノ、アタラシイ、セカイ、ゴシュジンサマ。アゲタイ。ココロトカラダ、アゲタイ!ワタシノ、ゴシュジンサマニ、ナテホシイ!」


昨日は、咄嗟の事に驚いて拒絶してしまったけど、今なら、大丈夫…。

決意を固め、ソッと目を瞑る…。

少し間を置いて御主人様が私を近くにグッと引き寄せる。

突然の事に驚き、目を見開いた瞬間!


「ワゥ!?ッン!?」


唇を奪われました…。

目の前には、御主人様の顔が…。

私はゆっくり瞳を瞑り、強張った体から力を抜くと、体を御主人様に預けます…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


翌日、御主人様の腕の中で目を醒ましました。

御主人様はまだ就寝中です。

就寝中の御主人様の寝顔を少し楽しんだ後に私はソッと唇を奪う。

そのまま、御主人様の胸に顔を埋めると、御主人様の体の温もりを味わう。

日が昇るまで、まだ少しの間が有ります。

今はもう少し、この温もりの中で微睡んで居ましょう。


「(御主人様、ペロ・シーバは、何処までも貴方に付いて行きます。)」


とりあえずペロのエピソードはこれで一旦終了です。

次回からは、通常のお話に戻ります。

思いの外エピソードが長くなってしまいました。2話位を予定してたのに…。


ユウシとペロの現在のステータスです。

・ステータス・アイテム・設定      金貨:0・銀貨:9・銅貨:48・青銅:5

・NAME「オオトリ ユウシ」     冒険者ランク:D

・称号:駆け出し盗賊・ドワーフの友・キラービーキラー・御主人様

・LV:14

・HP:1400/1400

・MP:1120/1120

・SP:127

・職業:盗賊

・スキル

 ・開錠魔法 LV:10/10       言語:ラルシャル王国語 LV:10/10

 ・隠密   LV:10/10       薬毒草採取       LV:10/10

 ・盗賊の鑑定眼 LV:10/10     視線感知        LV:10/10

 ・スタン  LV:10/10       料理          LV:10/10

 ・剣術   LV:10/10       挑発          LV:1/1        

 ・槍術   LV:10/10       騎乗          LV:10/10

 ・投擲   LV:10/10       ピックポケット     LV:10/10

 ・弓術   LV:10/10         

 ・回復魔法 LV:6/6 (・小ヒール)

 ・光魔法  LV:3/3 (・ライティング)

 ・火魔法  LV:3/3

 ・水魔法  LV:3/3


・ステータス・隷属の首輪設定

・NAME「ペロ・シーバ」

・称号:奴隷

・LV:1    

・HP:150

・MP:20

・職業:騎士

・スキル

 ・剣術   LV:1/10


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ