ペロ・シーバ 1
イヌミミ少女、ペロ・シーバ視点のお話です。
~第五十二章~ペロ・シーバ 1
私の名前は「ペ¥%@・ロ¢♯・シーバ」。
お父さんが付けてくれた名前だと、お母さんに聞きました。
私は、お父さんの事を知りません。
お母さんに尋ねてみた事が有りますが、私が生まれてすぐに死んでしまったと、聞きました。
でも、私にはお母さんが居るので寂しく在りません。
ある日、私は森で魔物に襲われました。
怪我をして、痛かった覚えが有りますが、怖かったので良く覚えてはいません。
私は、その日から、歩く事が出来なく成りました…。
お母さんが私の為に赤いお薬を手に入れて来てくれました。
これで私は歩く事が出来るのかな?
早く森の中をお母さんと散歩に行きたいです。
お薬を飲んでも私の足は、良く成りませんでした。
お母さんは、大丈夫!きっと足は治るからね。って言ってくれました。
でも、陰で泣いているのを私は見た事が有ります。
お母さんは、その日から、色々な薬や、薬草を手に入れて来ては、私に試してくれました。
でも、結果は現れません。
日に日に、お母さんは、痩せて行っている様に思えます…。
「お母さん、無理はしないでね…。」
私の言葉にお母さんは「大丈夫よ。」と答えてくれました。
ですが、その数日後、お母さんが倒れました。
薬代を稼ぐ為に、無理して働いていたそうです。
お母さんが居なく成ってから、私は、村の人達のお世話になる事に成りました。
ですが、数年後、村が飢饉に襲われました。
私は、村のお荷物と言う事で、奴隷商へと、売られる事に成りました…。
売られる際に、村長から、「すまない」と言われました。
仕方が有りません。
私自身、お荷物なのは自覚していますから…。
私は、檻に入れられ奴隷として、商品として見定められる事に成りました。
「――――。――。―?」
奴隷商の人が何を言っているかは分りません。
お客?と思しき、身なりの良い、男の人達は舐め回す様に私の事を見ますが、最後は首を振って檻の前を過ぎて行きます。
「アンタの足が悪いから、買いたく無いってさ。」
不意に声を掛けられました。
其処には、私よりも年上の犬人のお姉さんが居ました。
お姉さんも私と同じ様に檻の中に居ます。
「アンタ、顔は可愛いのに足が悪いんじゃ、愛玩用としてしか価値が無いんだってさ。」
「愛玩用?」
「つまり、ベッドの上でおもちゃにされるって事だよ?」
お姉さんの言葉に体が震えます。
そんな事、考えていませんでした…。
てっきり、普通に働かせられるだけかと思って居ました。
それからは、奴隷商で震えて眠る夜を過ごす事に成りました。
震えて眠る夜は、お姉さんの檻から、静かな歌が聞こえて来ます…。
お姉さんの歌を聞くと、私は、震えを忘れ、眠る事が出来る様に成りました。
お姉さんとお喋りする事が多くなりました。
「アンタは、自分に付加価値を付けるべきよ!」
付加価値とは何でしょうか?
「アンタは、まず、この国の言葉を覚えるべきよ。」
何でも、この国の言葉を覚えれば、会話出来ると言うだけで、私を愛玩用以外の目的で買って行くお客も居るかも知れないそうです。
お姉さんはこの国の言葉が分かるそうです。
私は、その日から、お姉さんから言葉を教わる様に成りました。
「ワタシ、ハ、犬人。です。」
「そうそう。良い感じ。言葉の最後に「です。」を付けるのは、御主人様に対して、尊敬しています。と言う意味が有るから、成るべく着ける様にね。」
「ハイ。です。」
そんなある日、お姉さんが一人の男性に買われて行きました。
別れ際にお姉さんは私に、「良い御主人様に買われる様に祈っているわ。」と行ってくれました。
それから、どれだけの月日が流れたのでしょうか?
私は、未だに奴隷商の店の一角に居ます…。
奴隷商の人がやって来て私に何か言います、まだ、上手く聞き取れません。
「ヤレヤレ。マタ、ウレノコッタノカ。ソロソロ、ショウカンニデモ、ウリトバスカナ?」
如何やら、私は、この奴隷商に長居しすぎた様です。
奴隷商の言葉に「娼館」と有りました。
不特定の男性の相手をしなくてはいけない施設と聞いています。
そんなの嫌です!
無理やり、そんな施設で名前も知らない男性の相手をしなくてはいけないならば、いっそ、自分から売り込んで観ようかな?
怖くない人なら…、優しそうな人だったら、いいな…。
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