一緒に並んで歩こう
※R15表現が含まれます。
~第五十一章~一緒に並んで歩こう
「えっと…。どういう事?」
本当の御主人様?
俺は既にペロの御主人様では無いのか?
「犬人、ツカエルヒト、ジブンデキメル、ドレイ、ナッテモ、ココロマデ、ワタサナイ。」
つまり、奴隷として買われても心の底から仕える事は無いと言う事か。
しかし、ペロは俺に心の底から仕えたいと言っている…。
「犬人、ツカエルベキ、ゴシュジンサマ、ツカエル、シアワセナコト。」
まいったな…。こんな俺で良いのだろうか?
「ペロは俺なんかに仕えて良いの?」
「ゴシュジンサマ、ゴハン、タベサセテクレタ。カミ、アラテクレタ。ヤサシク、アタマ、ナデテクレタ。ワタシノ、アシ、ナオシテクレタ。アタラシイ、セカイ、ワタシニ、クレタ。オン、カエシタイ…。」
「俺は大した事はして無いよ?」
フルフルと首を振り否定する。
「オン、カエシタイ。デモ、カエセナイ…。オオキイ、オン。ダカラ、ワタシノ、アタラシイ、セカイ、ゴシュジンサマ。アゲタイ。ココロトカラダ、ゼンブ、アゲタイ!ワタシノ、ゴシュジンサマニ、ナテホシイ!」
「でも、又、怖い思いをするよ?」
昨日の夜、尻尾を触って怖がらせた事を思い出す。
「コンドハ、ダイジョブ!ゴシュジンサマ、ヤサシイ、ヒト…。モウ、コワクナイ…。」
ペロはソッと目を瞑る…。
女の子に此処まで覚悟を決めさせたのだ。
覚悟を決めろ!俺も後には引けない!
ペロの腰に手を回し引き寄せる。
「ワゥ!?ッン!?」
そっとペロの唇を奪う…。
ペロは突然の口づけに驚き、目を見開くが、ゆっくり体の力が抜けて行く…。
ペロの頬に一筋の涙が流れ落ちる、ソッと涙を拭いてあげてから、部屋の明かりを消す…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
翌日、目を醒ますと、腕の中にイヌミミを見つける。
ペロが、俺の腕の中でスヤスヤと寝息を立てている。
昨日は少し、ペロに無理をさせてしまった。
初めてで、とても痛かったのだろう、痛さの余り俺の腕に噛み付いていた。
幸い、隷属の首輪の電撃を弱めておいたので、初めての痛さに紛れて気付かなかった様だ。
ペロの寝顔を見ていると、幸せな気持ちに成れる。
頬をソッと撫でてから、ペロの尻尾に手を伸ばし、優しく撫でる。
「(やっぱりペロの尻尾は撫で心地が良い。)」
ペロが目を醒ますまで、イヌミミと尻尾を堪能させて貰う事にした。
「…ンッ?」
尻尾を撫でているとペロが目を醒ます。
寝起き様に俺と目が合う。
俺の腕の中に抱かれている事を認識したペロは、顔を赤くし、俺の胸に顔を埋める。
如何やら、今の状況がとても恥かしい様だ。
「ペロ…。おはよう。」
挨拶をすると、ペロも胸から顔を上げて返事をする。
「オハヨウ、ゴザイマス…。ゴ、ゴシュジンサマ…。」
赤面した顔のペロにソッと軽く唇が触れるだけのキスをする。
少し驚きつつも拒絶はしない。
唇が離れると、少し嬉し恥かしそうに、ニヘヘッと緩い笑みがこぼれる。
「さあ、そろそろ、起きようか?」
少しゆっくり過ごしすぎた。
時間はもう9時を過ぎていた。
もう少しベッドの中でペロを可愛がりたいが、今日は、ペロをギルドに連れて行こうと思って居たので、そろそろ出発をしなければいけない。
俺とペロは身支度を整えるが、ペロの髪が乱れている。
寝起きにイヌミミを堪能した時に俺が乱してしまった様だ。
ペロは手櫛で懸命に整えている。
「ペロ。こっちにおいで。」
ペロをベッドに座らせると、背中側に回り込み、サイドバッグから、べっ甲製の櫛を取り出す。
櫛をペロの髪に充て、解かして行く。
「良し。こんなものだろう。」
「アリガトウ、ゴザイマス。ゴシュジンサマ。」
礼を言うペロにべっ甲の櫛を手渡す。
「エッ!?ゴシュジンサマ?」
「ペロにあげる。昨日、道具屋で見つけてね。ペロにあげようと思ってたんだけど、渡すタイミングが無くて、渡せなかったんだ。」
「…。ゴシュジンサマ。」
「うん?」
「ダイスキデス!」
満面の笑顔で抱き付かれた!
ああ、もう…、可愛いなぁ!
そのまま、ペロをベッドに押し倒し、第二ラウンドへと突入する…。
俺は、昨日、道具屋のおばさんに貰った錠剤を飲む。
これは、所謂、避妊薬であり、男性が服用する事で約12時間の間なら、妊娠させないらしい…。ちなみに天然素材で出来ており、副作用は無いそうだ。
え!?昨日は飲んだかって?はい、突然の事で、忘れてました…。
その時は、俺も男だ!きっちり責任は取るさ!!
まあ、道具屋のおばさんの老婆心に感謝だな!
あの、おばさん、ペロを見るなり、生娘だと一発で見抜きやがったからな…。
その上で、俺にこの薬をくれたのだから、只者じゃない!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
結局、宿を出るのはお昼前になってしまった…。
今日は街の外に出てみる予定なので、ペロには道具屋で買った、布の服とズボンを着用させた。
宿を出て、朝食代わりの少し早い昼食を屋台で済ませると、俺達は冒険者ギルドへと並んで歩いて行く。
もう車椅子は必要無いな…。
車椅子はサイドバッグの中に静かに眠っている。
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